青蓮の「マサラをちょいと~人生にもスパイスを効かせて~ VOL.10」
インドの婚活ってどうなのよ?結婚式の実態について
(前編)
日本はこれから夏本番!ですね。こちらデリーはモンスーンの雨が降るごとに気温が少しずつ下がり、ずいぶん凌ぎやすくなってきました。9月には秋らしくなり、10月からは「結婚式シーズン」に入ります。
インドの結婚式は派手派手~というのは皆様もお聞き及びかも。毎年秋になると結婚式の
招待状が届き始めます。招待状も金、銀、赤などおめでたい色使いで色々な形式があり眺めるだけでも楽しいもの。その年の流行色や、流行の模様、フォントなどもあり招待状が届き始めると、どこのが一番おしゃれだろう?って自分の中でランク付けするのが楽しみでもあります。
花嫁側から招待されるか、花婿側の招待か、普段の付き合いの度合いによってどの儀式から参列するかが決まります。なんせ関連イベントが目白押しなので。
例えば・・・花嫁側の場合にはレディースサンギートという女性だけが集まって行うダンスと歌の宴が催され、その際にメヘンディー屋さん(メヘンディーという植物の粉で、手や足にさまざまなおめでたい模様を描きます。2週間くらいでとれてしまいますが・・・)を呼んで参列者にメヘンディーを施してもらったり、嫁入りに持参する金製品やサリーのお披露目があったり。
いよいよ結婚式・・・・に至るまでには色々な紆余曲折もあるわけですよ。
何せインドの90%が「お見合い」結婚だっていうんですから。お見合い係(?)のご近所の
おせっかいオバちゃんや、親戚のすすめで・・・ってのもあれば新聞広告でお相手を探す人も
います。まずは項目別にインドの結婚事情解説をご覧あれ!(注:ここで紹介するのはデリーでの結婚式の場合です。)
お見合い記事
インドの新聞、日曜版には必ず「Matrimonial」というページが少なくとも4~5ページほどあって、色んな項目別に分けられています。出身地・共通言語・学歴・カーストなどなど。一人一人売りこみの台詞がふるっているんです。
「当方身長165センチ、スリムで色白なグジャラート出身25才女性。学歴のある、長身で年収〇〇以上の男性を求む。連絡は〇〇新聞私書箱〇〇へ」「アメリカ在住のNRI男性コンピューター技師、178センチ、パンジャーブ州出身。家族はルディアナ在住。英語に堪能で色白・美人のパンジャビ女性求む。カースト問わず。連絡はルディアナの両親へ」など内容は結構具体的で、「え~、厚かましいなぁ、自分のことこんなに褒めてるよ~」という内容のものもあり。
カースト廃止とは言いつつも、ここではモロにカーストまで書いてあるのがインドの矛盾。実際にこれで結婚が決まった人が多いので侮れないシステムなのです。両親がとても真剣に子供の結婚に口だしするのがインドの常。恋愛結婚はまだまだ比率が低いのが現状です。
私も最初にこのシステムを知ったときには「え~、お見合い?」って思ってたんだけど、生活スタンダードが同程度の家との縁組だから、「価値観の違い」はあまりないようで、意外とうまく
行ってるカップルが多いです。お見合いでの離婚率は2%弱だという統計も出ていました。
いまどきの若者ですら、意外とはっきりと「恋愛と結婚は別物」って割り切っている子もいて、
びっくり。
婚約式
めでたく話がまとまったら、すぐに「婚約式」と相成ります。双方の親族一同の顔見せも兼ねているのです。男性から女性へ婚約指輪や金のアクセサリーが、女性から男性へはスーツ生地や金製品などが贈られます。
花嫁側の準備
ダウリ《持参金》は法律で禁止されたとはいえ、結婚式関連となると花嫁側の負担大です。「娘3人持つと家が潰れる」とは日本でも言いますが、インドは準備すべきものが多くて本当に
大変です。まずは金製品…「金の腕輪ひとつも持たない嫁なんて…」と言われることのないように嫁入り道具として金を選ぶ女性とその家族の真剣な眼差し…インドに金や宝石を扱う店が多いのも頷けます。ネックレスとイヤリングのセット・チュ-リ(腕輪)セットなどなど…。
(花婿もお母さんや姉妹に「結婚式で向こう(花嫁側)にひけをとらないように」と金のセットや新しいサリーを購入したりするのです。参列の親戚達の分まで女性にはサリー、男性にはスーツ生地を贈る習慣があるので双方ともに結婚前はお金に羽根が生えて飛んで行く)
結婚式のサリー選び
品揃えのよい店で次から次に見せてもらいそれでも決まらなければ次の店へ…何せ一生に
一度のことですから家族総出でサリー選びに行く場合もあります。赤や金糸銀糸、ビーズを
使ったものが結婚サリーの定番ですが、家によって「赤」のシェードが決まっていて朱赤・真紅・マルーン(えんじがかった赤)などなど様々。結婚式サリーやレへンガーチョ-リー(スカート・丈の短いブラウス・ショールの三点セット)を扱う店は、たいていが一面布団のようなふかふかマットレスがひいてあり、選ぶ側はゆったりと座って(または寝転んで)時間をかけて選べるシステムになっています。いっぱい見せられて訳がわからなくなることもあるので、いくつかピックアップしてから家に持ち帰り、家族親戚と相談してから決めることもできます。
サリーまたはレンガチョーリーが決まったらすそ上げやふち飾りをつけてもらったり、ブラウスを縫ってもらうのにテーラーに行ったりで花嫁さんは大忙し。披露宴を何日かに分けて行う場合にはその都度サリーやレへンガチョーリーを換えますから選ぶだけでもクラクラッ…
お次は靴も!!きらきらライニングつきや金銀の靴が売っていて、「シンデレラ」もびっくり。
おまけに嫁入り道具としてのサリーやおよばれ用のパンジャビスーツなども新調するので花嫁は買い物だけでもヘトヘト。インドで結婚するのは体力勝負???
レディースサンギートとメヘンディー
結婚式前に花嫁を囲んで女性が集まって歌や踊りで賑わうのが「レディースサンギート。」ここで親戚の女性たちに金製品やサリーなどのお披露目をして、わいわいおしゃべりに花が咲きます。メヘンディー屋さんも雇われて、女性にメヘンディーを施すのもこのとき。
花嫁はお式の前日にメヘンディを描いてもらいます。孔雀やマンゴなどのめでたい模様の中に、各所に小さく小さく花婿の名前のアルファベットがちりばめられるのです。
式当日、親族や招待客は「メヘンディ見せて~!」と花嫁の手を取ります。メヘンディの色が
濃ければ濃いほど、「お姑さんから可愛がられるお嫁さん」なんだそうですよ。
花嫁用のチューリー(腕輪)
10本セットになっている赤い腕輪、両端に白がセットされたものが花嫁用。1セットまたは
2セット重ねつけする場合もあり、両手分を準備します。
チューリーの赤の色もサリーと同じく家によってシェードが決まっています。
結婚式当日、チューリーのプージャ(お清めの儀式)の際には「牛乳」にひたされ、お坊さんが
容器から取り出すまでは花嫁に見せてはもらえません。花嫁の友人たちはこの儀式に招待され、鉄の腕輪にきらきらの飾りを結び付けます。この飾りが多いほど友人も多く、祝福されたということ。下の写真はカリシュマ・カプール(女優・あの「きっとうまくいく」の主演女優、カリーナ・カプールのお姉さんです)の結婚式の写真で「ひゃー、これ何??」というくらいキラキラだったんですよ~。
赤白セットの花嫁腕輪は結婚後1ヶ月(地域やカーストによっては3カ月)何をするときもはずしてはいけません。新婚さんの間は花嫁は家事、特に水仕事はしなくて良いと言われています。チューリーの塗りがはげたりすると「あの家では嫁をこき使っている、結婚してすぐから水仕事させてるからチューリーの色が剥げてるよ」なんて噂されたりするのです。おわ~~~
そんなわけで、次回はいよいよ(やっと!?)結婚式当日編へ。
お国柄が表れているインドの結婚式事情、後編をお楽しみに!
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★猛暑の日本で取り入れたいレシピが紹介されています。ジンジャエールの素が、魅力的!⇒青蓮さんのブログ
こちらには、青蓮さんのレシピページが。ひよこ豆の豆腐とか、もう、おいしそうです。
★青蓮さんへのコメントも、お寄せ下さい。この機会に興味のあることを聞いてみてくださいね♪
★3月まで連載されていた「YUKKEの今日のラテンステップで」を読む方は、こちらをどうぞ。メキシコの女性たちが生き生きと描かれています。
★前回の青蓮さんの記事は、こちらから。
keyaki
青蓮さんの連載再開を楽しみに待っていました!
初めて知るインドの結婚事情にビックリしたり、感心したり、なんだか「日印婚活比較学」なんて名前の講義を一コマ受け終えた気分です。後編も楽しみにしています!
青蓮 Post author
keyakiさま
いや~~、なんと嬉しい励ましのお言葉!ありがとうございます。
あれもこれも~と欲張って詰め込みすぎたかなぁ?と思いつつの
原稿アップでしたが、楽しんでいただけて幸いです。
後半もお楽しみに~!