◆◇やっかみかもしれませんが…◆◇ 第16回 Gu-Guガンモの復活
地元のちょっと大きめの病院に半年に一度通院しているのだが、先日、診療科の待合スペースで自分の名前が呼ばれるのを待っていたら、かつての職場である公立図書館の館長で、数年前脳梗塞で倒れたイワタさん(通称Gu-Guガンモ)が目の前を通ったので、あわてて声をかけた。
「Gu-Guガンモが隣県で倒れ闘病生活を送っている」ということは知っていたが、病後、本人に会うのは初めてだった。とっさに声をかけたものの、Gu-Guガンモがひどく怪訝そうな表情でこっちを振り返ったので慌てた。もう一年以上前とはいえ、友人から「仕事に復帰はしてるけど、やっぱりいろいろ大変そう」聞いていたことが脳裏をよぎり、自分はなんの心の準備もしてないのに声をかけてしまったと不安になったのだ。
が、こちらを認識したGu-Guガンモの顔には見る見る満面の笑みが浮かび、第一声は聞き覚えのある、しかも音量のデカい「おー!月亭さん!なに?どうしたの?」だったので、ホッとして、思わず膝が抜けそうになった。あんまり安心したので思わず「どうしたもこうしたもないですよ。そのセリフは全部お返しします!まったくもう!」と毒ついてしまった。
以前より痩せたものの、Gu-Guガンモは相変わらずGu-Guガンモだった(いや、イワタ元館長だってば)。自分の闘病の悲惨さを面白おかしく話し、現在も身体のあちこちに不具合があること、特に、言葉がすんなり出てこないこと、を明るくよどみなく滔々と語るので、うっかり「どこが“すんなり出てこない”ですか」とツッコミそうになった。
そして、言語の障害で障害者手帳の申請をしたのだが「充分にコミュニケーションがとれる」と判定され却下されたこと、共通の知り合いの悪口、我々のようないいトシになって(Gu-Guガンモはわたしより少し年下)身体にガタがきた人間は、もう頑張らずにテキトーにその日その日を生きてくしかないんだよね…という、かつての職場のバックヤードで交わされたような会話(どんな職場だったんだ?)が弾んだのだった。
人より長生きをしたいという欲はないが、こんな風にトシをとりたい、死にたい、という理想というかイメージはある。でもたぶん、その望みはかなわない。どんなに健康に気をつけ、リスクを回避し、清く正しく美しく生きようとしても、こんなはずじゃなかった自分にガックリすることの方が、これからも多いに決まっている。
なぜ断定できるかというと、まだ若さという武器があった頃からそうだったから。武器がなくなり丸腰になった今後は、ますますそうなるに決まってるでしょう、そりゃあ、ねえ。
しかし、だからといって、ビクビクくよくよ暮らしてもしょうがないのだ。Gu-Guガンモと話したら、あらためてそう思った。
Gu-Guガンモだって落ち込むことはいっぱいあるだろうし、今回は、久しぶりに会ったわたしへのサービス精神で、通常モードより元気に接してくれたのかも…たぶんそうだな、と思う。そして、Gu-Guガンモに勇気づけられたわたしの気持ちだって、時間が経てばまた変わるんだろう。でも、とりあえずそれでいいや。
だって、Gu-Guガンモは大病をしてもやっぱりGu-Guガンモだったから(だから、イワタさんだってば)。どんなにトシをとっても、重篤な病に罹患しても、損なわれないものがいっぱいある。わたしは幸運にも今回、ふだんは見えづらいそれを見ることができたのだ。
これからも、やさぐれて、やっかんで、愚痴をこぼして、人の悪口も言って、暮らしてやる!誰かが、「腐っても月亭つまみ」と呆れながらも笑ってくれるように!?
ところで、このところ話題になっている血液クレンジング、料金を調べたら1万~2万円(検査・初診料別料金)で、この金額設定だと「やってみてもいいか」と思う人がそりゃあいるだろうな。フラシーボ効果かもと思いつつ、試してみたい気持ち、わかる。だって、体調が良くなれば世界が明るくなるもの。絶妙な金額設定だ。わたしには高いけど。
ふん!かかと落としとスロースクワットとプランクで元気になってやる。ロハだし(死語)。
…と、最後に強引に具体的なやっかみをねじ込んでみる。とってつけた感が露骨なので、ちょっと文字の色を薄くしたりして(それはそれで露骨)。
by月亭つまみ
【木曜日のこの枠のラインナップ】
第1木曜日 まゆぽさんの【あの頃アーカイブ】
第2木曜日 つまみの【帰って来たゾロメ女の逆襲 月刊★切実本屋】
第3木曜日 はらぷさんの【なんかすごい。】
第4木曜日 つまみの【帰って来たゾロメ女の逆襲 やっかみかもしれませんが】
まゆぽさんとの掛け合いブログです。→→「チチカカ湖でひと泳ぎ」