2月24日はカレー記念日

カレー記念日

コーヒーも 紅茶も飲んだが やる気出ない

2月24日はカレー記念日

Jane

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カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

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50代、男のメガネは

泣きながらガメラ映画を観る。

小学校の三年生くらいの夏休みだったと思う。僕は自分の部屋で本を読んでいた。年子の弟は、うちと向かいの家の間の狭い路地で、向かいの家の子と一緒に遊んでいた。すると、突然、向かいのおばちゃんが飛び出してきて、「うるさいよ。静かにせなあかんよ!」と怒鳴った。

怒鳴られた向かいのタケノブ君とうちの弟は黙り込んだ。向かいのおばちゃんは、自分の息子だけが騒いでいると思っていたようで、うちの弟がいることに驚いて、「なんやタダシ君もおったんかいな」と急に機嫌のいい声を出した。おそらく、二階で仕事へいく支度をしていた、うちの父親がなにか文句を付けてくるのではないかと思ったのかもしれない。

うちの父親はその時、勤め先である電鉄会社の夜勤に出かけるために、身支度を調えていた。しかし、外の声は聞こえておらず、向かいのおばちゃんも気を遣う必要はなかったのだが。

それでも、たまにへそを曲げるとややこしくなると、おそらく近所でも知られていたであろううちの父親に「うちの息子に文句があるのか」とかなんとかいちゃもんを付けられるのを怖がったのだろうか、おばちゃんは「いまからタケノブと映画行くねんけど、タダシ君も一緒にいくか?」と言ったのだった。

行こうと弟が誘われている映画はガメラ映画。僕が見たくて見たくて、父親に頼んだのにいまだに連れていってもらっていない映画だった。「ガメラを見に行くのか!僕も行きたい!」と僕は部屋の中で立ち上がり、いつ声を僕にも声をかけてくれるのかと待ち構えた。

しかし、誰も僕に声をかけてくれなかったのだ。一瞬、外でおばちゃんの「今日、お兄ちゃんは?」という声が聞こえたのだが、うちの弟は「知らん」と答えてしまったのである。わざとなのか、急な質問におどおどしたのか、もしかしたら、本当に知らなかったのか。とにかく、弟は「知らん」と答え、おばちゃんは「ほな、しゃあないな」とつぶやいた。

そこで「僕はここにいるよ!」と声を上げられるなら、僕の人生ももっとポジティブで明るいものになっていたことだろう。こういう時こそ、声を上げられないのである。僕は部屋の中から「僕はここにいるよ!誰か声をかけて」と念じているだけで、身動きも出来ない。その間にも、おばちゃんとタケノブくんとうちの弟が映画を見に行く話は着々とまとまり、「さあ、出かけよう」というところまで来た。ここで、おばちゃんが気付いたのだ。さすがに、うちの親に許可を取らねばと。

「お父ちゃんか、お母ちゃんはいるの?」とおばちゃんが聞く。弟は「お父ちゃんがおる!」と答えると、家に入ってきて、二階にあがり、父親にことの成り行きを説明した。すると、親父が降りてきて、向かいのおばちゃんに「え?ほんまにいいんですか?」と聞いた。おばちゃんは「1人も2人も一緒やから」と言って、父親が「そしたら、すんません。お願いします」と話がまとまった。

僕はますます、僕が連れて行ってもらえる可能性が低くなったと思い、涙が溢れてきた。そこで、うちの父親が僕を思い出したのだ。僕の部屋のドアを開けて、「お前は連れていってもらわへんのか」と聞く。いまさら「僕には声がかかっていない」なんて情けないことは言えない。そう思った僕は「ぼくは行きたないねん」と父親の顔を見ないまま言った。顔を見たら、鼻を垂れながら泣いている事がバレてしまう。というか、もうバレていたとは思うのだが、父親も出勤を急いでいたせいか、「そうか」の一言で出かけてしまった。

全ての希望の扉が閉ざされた部屋の中で、小学三年生の僕は自問自答していた。なぜ、僕は素直に「僕も行きたい」と言えないのか。なぜ、今から飛び出していって「僕も連れていって」と言えないのか。一番最初に弟が「知らん」と答えたときに、窓をあけて「ここにおるがな」と答えれば、それですんだのに、と思うと、さらに涙が後から後から溢れてきた。

その時だった。いままさに出かけようとしていた弟が、ふと言ったのだ。「あ、お兄ちゃんもこの映画観たがってた」と。すると、おばちゃんはもう一度、弟に聞いたのだ。「今日、お兄ちゃんはおらへんの?」。弟は「おる!」と答えた。この瞬間を逃したら、僕は一生だめ人間になってしまうと思ったのだ。だから、思いっきり全身の力を込めて、窓を開け、外にいる3人に向かって「僕も行く!」と大声で言ったのだ。

おばちゃんはあまりに勢いと、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった僕に驚愕の表情を浮かべていた。弟は「鼻はたれてる」と笑っていた。この後、僕は無事に駅前の映画館に連れて行ってもらい、みんなでガメラを観た。確かにガメラを観たのだが、僕はほとんど内容を覚えていない。どのガメラ映画を観たのかも思い出せない。ただ、映画を観ている間中、もしかしたら、この映画を観ることが出来なかったかもしれない、という情けなさで、泣きじゃくっていたことだけを覚えている。


植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
ネコのマロンとは?→

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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。サイト:オフィス★イサナ

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