小さな子どもが笑っている。
仕事をさぼって、飯田橋駅のラムラという商業施設に来ている。蒸し暑いけれど、風が吹くのでなかなかに心地良い。屋根のあるアーケードのようなところがあって、ドトールでアイスコーヒーを買って飲んでいる。
おそらくアルミ製の軽い、安っぽい丸いテーブルと椅子のセットがいくつもあり、そこに腰を下ろしている。ここには近所の飲食店でテイクアウトしたサンドイッチや弁当を食べる人が多く集まってくる。しかし、いまは、午後1時を回ったところで、会社勤めの人たちは引けてしまい、親子連れなどが少しいる程度。
僕の隣のテーブルにいるのも親子連れ。母親と2歳くらいの女の子。母親は、スマホの画面をじっと見ていて、女の子をあまり見ていない。女の子は最初、母親に話しかけていたのだが、いまは絵本を眺めながら31のアイスクリームを食べている。
そして、女の子は時々、僕を見る。僕はキーボードを叩きながら、時々女の子の視線を感じてそちらに目をやる。僕と目が合うと、女の子はさっと目を伏せて絵本を見ているふりをする。
もう、30分ほどこの繰り返しだ。そして、だんだんと僕を眺めている時間が長くなってきて、視線を合わせても、あまり目を伏せず、僕に笑いかけるようになってきた。僕もニッと笑って、女の子の気を引いて遊ぶ。
女の子が僕を見る。僕が女の子を見る。僕が笑う。女の子が笑う。そして、また互いの手元にある絵本やキーボードを見る。この繰り返し。
とても楽しい。自分の子どもたちの小さな頃を思い出す。上の女の子が3歳の頃に僕は単身赴任で東京に出たので、ちょうどこの年頃の娘と長い時間を過ごせなかった。そんな負い目があるのか、いまでも、3歳から5歳くらいの女の子を見ると、ついつい相手をしてしまう。
子どもと年寄りは国の宝物だ、ということを誰かに聞いた覚えがある。その通りだと思う。間違いなく、子どもと年寄りは国の宝物だ。そして、子どもと年寄りに優しくない国に未来はないという気持ちにもなる。気持ちにもなるが、それを人のせいにばかりはしていられない。
とりあえず、小さな子とお年寄りに笑いかけるところから。それだけで、何かが互いに救われるような、そんな気がする。
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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はしーば
私もラムラのドトールをたまに利用するので、あの外席でのうえまつさんを想像して、クスりとし、幸せな気持ちをお裾分けいただきました。
はしーば
あ、ストーカーではありませんのでご安心下さい(^-^)
uematsu Post author
はしーばさん
あ、そうだったんですね。
なんか、あのゆるい空間がいいですね。
uematsu Post author
はしーばさん
ストーカーって(笑)。