大阪の地震のこと。日本のえらい人たちのこと。
あえて、のんきな話題でお茶を濁そうと思い、別の話を書き始めたのだけれど、いやいや何を書いとんねん、という心の声が聞こえてきたので、素直に地震のことを書こうと思う。
6月18日の朝、大阪で震度6弱の地震が起きた。
阪神大震災があったので、大阪はここしばらくで2回目の地震に見舞われたのだなという印象があるかもしれないけれど、阪神大震災で大阪はそれほど大きな被害はなかった。
瀬戸内で発生した地震は淀川あたりで、北の方へ抜け、大阪方面に広がらなかった、という記憶がある。もし、そうではない地域があったら申し訳ない。
どちらにしても、今回の地震は正確な観測が始まって以来、もっとも大きな揺れだったそうだ。
地震が起きて、まず伊丹の実家に電話すると、老いた母が「揺れたけど、大丈夫」とのこと。京都の息子に電話すると「ちょっと揺れたけど、大丈夫」とこちらは寝ぼけた声を出す。テレビのニュースを見ると、朝の間はそれほど大きな被害がなさそうな雰囲気。しかし、これは阪神大震災の時も同じだった。
あのときは、地震が大きすぎて、連絡網がずたずたでまるで被害がまったくなかったかのような印象になってしまったのだ。でも、数時間経つと、崩れたビルや焼けた家々、そして、倒れた高速道路の映像が続々と放送され呆然となったものだ。
今回も時間が経つにつれて、少しずつ被害の全貌が見え始めている。見え始めて、なんとなくため息が出てしまう。地震で亡くなった人。崩れた壁。半壊の家。避難所となった体育館。疲れ切った人々の表情。はっきりしない対応。政府首脳の曖昧な答弁と、「まいかた」という聞き慣れない地名。
そんなあれやこれやを見聞きしていると、深く長いため息が出てきて、「一緒やなあ」とつぶやきそうになる。阪神大震災の時も、東北の震災も、熊本の時だって。ずっと同じことをやってきたのだ、この国は。「すぐに、仮設住宅を建てる。被害のあった生活はすぐに国の予算で元に戻す」そういえば良いのに言わない。その予算はどうする、ということを考えはじめると、もごもごする。
その予算はどうするのだ、と問われたら、「そんなこと知らん。でも、国民が困ってるんだ。偽札すってでもやる」と言えばいいのに。そして「その代わり、一生懸命働いて、みんなですぐに復興しよう。みんなで力を合わせよう。当面のことは心配するな」と言ってくれればいいのに。
この国はそんなことは言ってくれない。東北の震災で原発事故が起こった時、ドイツは「もう原発は辞めよう。日本に学ぼう」と言ってくれたのに、この国のトップは外国に原発を売り込む算段に必死だった。
なにか大きな災害が起こるたびに、なにか大きな決断を迫られる外交があるたびに、僕はこの国の偉い人たちに幻滅し、悲観し、呆然としてしまう。
そして、大阪の地震だ。どうせ、またこの国は民間の活力だのみで、適当な対応しかしない。最初のうちだけ、心配顔をして、後は適当なお金をよくわからないばらまき方で目減りさせて最後は「そろそろ出て行ってもらわないと」と仮設の人たちに言うに決まっている。
民間人が、自分たちの力を合わせるのは当たり前だ。でも、それ以上に国が力を発揮しないと動かないことがたくさんあるのだ。事業のことや税金のことや金融のことは、国が主導しないと、結局「そこそこ恵まれて、運の良かった人しか復活できない」という不公平が生まれる。そして、その不公平が国を不幸へと追い立てるのだ。
安倍さん、民間人だっていつまでも「絆」や「希望」だけを信じられるお人好しじゃないし、あんたたちの非道を見て見ぬふりしてられるほど、馬鹿じゃないんだぜ。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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爽子
よくぞ言ってくださいました!
「まいかた」市民としましては、もうそれほど反応はいたしませんですが。
ひらパー兄さんも「おれもまだまだやってことやな。」と言っておりますし。
(勝手に言わせてる)
やっと丸一日余震がありませんでした。
土曜の深夜の大き目の余震は、揺れても、小さいに違いないとなめてた私に、
打撃が大きかったです。
ケガしなかったことがしみじみありがたいです。
uematsu Post author
爽子さん
まあ、官房長官だからと言って、すべての市町村の名前を言えるわけではない、ということはわかってるんですけどねえ。
でも、やっぱりと思っちゃいますよね。
どちらにしても、お怪我がなくて何よりでした。
しばらくは、街中に危険な箇所もあると思いますので、気をつけてください。