『容れ物のような家にいて〜Days of COVID19』を作って。
緊急事態宣言が出ている東京を撮影して短編映画を作り、それをYouTubeで公開した。20分程度の短い映画である。
4月の終わりに発令された緊急事態宣言は、本当にこのタイミングでいいのだろうか、という疑念を残しつつも、先日解除された。ずっと自粛生活を送っていた人々はあっと言う間に町に出てきて、この土日はどこもそこそこの人出になっていた。
僕が緊急事態宣言の東京を撮ろうと思ったのは、なにも「いまを記録しておかなければ」とか「この異常な世の中を確かめに行こう」という大層な気持ちからではなかった。いつも撮っている日記映画の延長線上で、「自粛生活で腐っていても仕方がないので、撮影にでもいこうかな」という気持ちだった。卒業生の三澤くんに「ちょっと撮ってみない」と誘うとやってくれるという。
同時に、それぞれの部屋にこもっている卒業生たちにも声をかければ、いろんな自粛生活も見れるじゃないかと思い立ち、こちらもSNSで声をかけてみると2、3日で10人以上から連絡があり、それぞれに自粛生活を自撮りしてもらうことになったのだった。
三澤くんが撮った品川や浅草、上野、秋葉原、銀座などの風景、僕が撮ったとても日常的な風景、そして、十数人の卒業生や在校生が撮ったそれぞれの風景が並ぶ、とても不思議な短編映画が出来上がった。ドキュメンタリーといえばドキュメンタリーなのだが、見せ方を考えている時点でフィクションと言えばフィクションという妙な作品だけれど、緊急事態宣言下の空気を色濃く反映しているのは確かだと思う。
ラストシーンは鉄の彫刻をつくっている娘のアトリエで撮影した。娘にも出てもらい、真剣に物づくりをしている場面を、真剣に撮影しようとしているカメラが対峙する、という場面にした。
この作品をYouTubeで公開してから、いろんな人から感想をもらっている。作品を作って感想をもらうのはとてもうれしいし、YouTubeでの公開だから、見ず知らずの人からもコメントが付いたりする。でも、それよりも僕が楽しみにしているのは、新型コロナウイルスの騒動が落ち着いた後に、この作品を見たら、どんな感想をもつのだろう、ということだ。
容れ物のような家にいて 〜Days of COVID19〜
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
ネコのマロンとは?→★
「ネコのマロン」販売サイト
https://store.line.me/stickershop/product/1150262/ja
クリエイターズスタンプのところで、検索した方がはやいかも。
そして、こちらが「ネコのマロン、参院選に立つ。」のサイト
http://www.isana-ad.com/maron/pc/
植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。サイト:オフィス★イサナ
★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。
Jane
うーん、この映画を見なかったら私は日本の緊急事態宣言下の日常風景を垣間見ることもなかったでしょう。ニュースだと刺激的な場だけ切り取るし、インタビューされる人もできるだけ喋るから。
いろいろ不思議な気持ちで見ました。結構人が歩いているとか、大部分の人のマスクが白いとか、総理も保健所のアナウンスも「お願いします」調で丁重な感じで話すのだなとか、淡々と日常生活をこなしていく人達の諦めとか受け入れ感(映画の外では大騒ぎしている人とか反発している人もいたのかもしれませんが)が伝わってきました。
ともあれ、緊急事態宣言解除おめでとうございます。
uematsu Post author
返信が遅れてごめんなさい。
感想をいただけて嬉しいです。
それぞれの場所で、それぞれの気持ちで
そして、それぞれの事情で、
この災難への対応も何もかもが違う。
そのあたりが残せればと撮影していました。
撮影してから1ヶ月もたたないのに、
もうあの頃とは感覚が全く違いますね。