メラビアンの法則②
12月はツリーやリースがあちこちに飾られて目を楽しませてくれます。一緒にケーキを食べる人がいなくなってしまったけれど、それでもクリスマスはちょっと心が弾みますね。
さて前回、キッチンスタジアムの中にいる料理長さんにどうしたら美味しかったと伝えられるか、デザートのマンゴーのかき氷を食べながら考えていた私。
まず思いついたのが手持ちのメモ帳に「美味しかったです!」と書いて見せること。でもメモ帳は手のひらサイズでいくらかぶり付きの席でもそこそこ距離があり、マサイ族でもなければちょっと読めないでしょ。
次に考えたのがゼスチャー。手を握り親指を立てて「グー」なら伝わりそう。でも仲間うちならともかく、ちょっとカジュアルでありきたり。何に対して「グー」なのかも不明確。
考えているうちにかき氷を食べ終わって、ジャスミン茶で冷えた口を温めていると一つの動作が思い浮かんだのです。あれですよ、あれ。イタリア人が美味しい時に使うといわれている、人差し指でほっぺをぐりぐりする「ボーノ」
中華料理で「ボーノ」、ちょっぴり?変な組み合わせだけど斬新な気が。「ボーノ」面白いかも・・・。という訳で「ボーノ」に決定です!
マスクをつけて荷物を持って立ち上がると、料理長さんがにっこり会釈をしてくれました。そこでわたしもにっこりと笑顔で会心?の「ボーノ」を繰り出したのです。
私の「ボーノ」を見た料理長さんはビックリした顔からみるみる笑顔に変わって大きくお辞儀をしてくれました。「ボーノ」作戦成功!私は足取りも軽く会計に向かいました。
作戦成功の余韻に浸りながら会計をしていると後ろに人の気配が。ここに立っていると邪魔かしらと思って軽く振り返ると、「えっ!?」そこにはキッチにいるはずのあの料理長さんがニコニコしながら立っていたのです。
さっと周りを見てもお客さんは私だけ。どうやらわざわざ挨拶に来てくれたようです。「いかがでしたか」と笑顔で尋ねられたので、「美味しかったです!」と即答する私。そして「料理長さんもフライパンを洗うんですね、びっくりしました」と食事しながら気が付いたことを口にすると、側で聞いていた会計係の女の子が「そこですか~」と言って噴き出しました。
そうこの料理長さん、お料理の仕上げに添えるほんの少量のソースを温める為に使った小ぶりなフライパンを、ササっと自分で洗っていたのです。
私の中で料理人の世界は昔ながらの厳しい上下関係があって、見えない調理台の下では下働きの新人さんが先輩に足を蹴られているようなイメージを持っていたので、一番偉い料理長さん自ら洗い物をしている姿にちょっと驚いていたのです。キッチンのスタッフさん達の様子も穏やかな感じだったし。
「見られちゃいましたか!」といたずらを見つけられたように答える料理長さんが面白くて、「見ちゃいましたよ~」「見られちゃいましたね~」と答えながら3人で笑ってしまいました。
そして「ごちそうさまでした」と言って帰ろうとする私に料理長さんは名刺まで渡してくれたのです。よく来る客でもない、大人数で高級なコースを食べにきたわけでもない、冴えない中高年のおばちゃんなのに。
帰りの地下鉄の中で先ほどのやり取りを振り返りながら、少し前に美容院で読んだ雑誌に載っていた「コミュニケーションをとる場合、見た目やジェスチャー、話し方や表情がとても大きな役割を果たすというメラビアンの法則」を思い出していました。
おそらく帰り際に、料理長さんの会釈にたとえ笑顔だったとしても同じように会釈を返していただけだったら、料理長さんはランチタイムど真ん中の忙しい時間に会計まで挨拶には来なかったでしょう。そう思うとメラビアンの法則というかゼスチャーの威力、恐るべし・・・。
その後この出来事を職場で話したら、話した直後に景気のいい会社に転職した仲良しの年下の元スタッフが「予算を気にしなくてよい食事会を会社でするのでボーノのお店の名前を教えて」と少し前に連絡をしてきました。くぅ~っ、うらやましい!
もちろんすぐに教えましたが、あれれ?私は結局お店の宣伝していたみたい。あの料理長さん、実はなかなかの商売上手だったようですよw
さて前回、仕事の発表の時にゼスチャーを使いたいと書きましたが、結果発表~。残念ながら緊張と読み上げるのとで精一杯で、ゼスチャー無理でした。ゼスチャーの道は思っていたよりハードルが高かった・・・。
私の職場では12月いっぱいで退職するスタッフがまた1人。この一年で5人も退職です、とほほ。お別れのメッセージカードはメラビアンの法則を活かして?見た目でインパクトを与えるものにしようと思い、
前回載せたにゃんこ先輩と行くご褒美ドライブの情報収集のためにもらってきた、こちらのチラシを表紙に貼って、白くした吹き出しには「〇〇ちゃんが辞めちゃうなんて!」と入れる予定。
内側にはメッセージとギフトカードと、シャネル展のチラシを縮小コピーしたこちらを張り付けようと思っています。辞めていく若いスタッフたちの明るい未来を願う気持ちはいつも変わらないけれど、お別れのメッセージを伝えるのはいつまでも上手になりませぬ。さみしいなぁ。
okosama
ゆみるさんが、笑顔で会心の(!)ボーノ!
惚れてまうやろー!(笑)
私が料理長なら、ゆみるさんがチャイニーズレストランを再訪したあかつきには、なにがしかサービス付加しちゃいますよ!
爽子
いい話だわ~~。
メッセージカードもすごくいい。
印象的で、いただいたら、とっても嬉しいと思います。
ゆみる Post author
「okosama料理長」なら、うちもやろ~(関西弁的にこれで間違ってませんか?)
okosama料理長、お言葉に甘えて赤の桂花陳酒をロックでお願いしてもいいかしら。
ゆみる Post author
爽子さんにそう言っていただけて嬉しいです♪
料理長さんが機嫌のいいノリの良い人だったから、
とても楽しい出来事になったんだと思います。
今回のカードは今までにないインパクトを出せたなと
自負しております^^
mikity
わあーゆみるさん、心温まるお話、ありがとうございます!知らない人でも、気持ちが通じ合うとすごく嬉しいですよね。
美味しいもの食べるのもそれはそれでいいけど、気持ちが通じたときの喜びってそれを上回るものがあるなーと感じます。
ゆみる Post author
mikityさん、コメントありがとうございます♪
そうなんですよね。
料理を食べるだけではなくて
雰囲気やサービスもコースの中の
ウエイトの大きい一皿なんだと思います。
思い返すと時々お店で親切にしてもらえることがあるのですが、
それもこちらの雰囲気も大切なのかもと思います。
ほらmikityさんもいろいろなお店で店員さんと楽しそうに
過ごされてるじゃないですか^^