3月2日はカレー記念日

カレー記念日

二重顎 ズームで観察日記かな

3月2日はカレー記念日

Jane

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カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

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50代、男のメガネは

それを言っちゃあ、おしまいよ。の巻

 

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言霊という言葉があって、言ってしまった言葉には魂が宿ると教えてくれる。確かにため息混じりにネガティブな言葉を吐いていると、なんだか余計に暗い気持ちになってしまう。

 

でも、人間というのは言ってしまうのであって、言ってしまったことは取り消せないのだということに、言ってしまった後で気付いて後悔するのである。

 

東京で仕事をし始めてすぐの頃、まだ僕が三十代の半ばだった頃に、聞きたくない言葉を聞いたことがあった。おそらく、僕も聞きたくなかったし、言った方も言いたくなかった言葉だろう。と、いうよりも自分がそんなことを言うとは思ってもみなかったのかもしれない。

 

夕方6時頃からの打ち合わせ。営業の男性一人と、ディレクターの女性が一人、そして、コピーライターの僕が約束をして集合することになっていたのである。

 

ところが、僕が別件で一時間ほど早めに約束の場所に来ると、ディレクター女史が言うのである。

「すみません。この後の打ち合わせなんですが…。実は大切な友人が亡くなって、今日がお通夜なんです。どうしても参列してあげたいので、今日の打ち合わせをお任せしてしまってもいいでしょうか」

できるだけ冷静に話してはいるが、あきらかに動揺している。

「行ってあげてください。今日は概略を聞くだけだし、僕が聞いておくので、行ってあげてください」

と、僕は女史に伝えた。僕だって、同じ状況になったら、お通夜を優先すると思うから。

 

ところが、しばらくしてそこに現れた男性営業は、そうは思わなかったのだった。まだ、その場にいたディレクター女史から事情説明を受けた彼は、こう言い放ったのだった。

 

「そのお通夜は行かないと駄目なお通夜なんですかね」

 

彼は怒気を含む声でそう吐き捨てた。ディレクター女史は一瞬、なにを言っているのか理解できなかったのだろう。キョトンとした表情をしたあと、呆然とした表情になり、そして、泣き出した。

 

僕は僕で、「それは、言うたらあかん奴やろ」と言うのが精一杯だった。知らない仲でもないし、当時、三人とも三十代で同年代だし、コミュニケーションもうまく取れていたと思う。それなのに、なぜ、彼がそんなことを言ってしまったのか、いまだにわからない。

 

言ってしまった営業も、泣き出したディレクターを見て、「しまった」という顔をした。そして、小さな声で「すみません」と謝った。でも、謝ってももう遅い。いったん、口から出た言葉を引っ込めることはできない。

 

ディレクターはお通夜へ出かけ、僕は営業と打ち合わせをして、その仕事は無事にやり遂げた。小さな仕事だったので、その後、三人で顔を合わせることもなく、メールと電話のやりとりだけで終了した。

 

もちろん、その男性営業とは二度と仕事はしなかった。何度か、仕事の依頼はあったが断った。いくら、その後、丁寧な対応をしたとしても、仕事の仲間の友人のお通夜に対して、あんなことが言える奴なんだ、という目でしか、僕はそいつを見ることが出来なくなった。

 

もしかしたら、それまでの営業とディレクター女史の関係で、なにかがあったのかもしれない。僕の知らないところで。それでも、やっぱり、あの一言は言ってはいけない言葉だったと今でも僕は思う。

 

そして、言った本人にしても、どうして言ってしまったのか、いまだにわからないのかもしれない。それでも、聞いてしまった僕のなかにその言葉は重い石のようにいまだにある。

 

少なくとも僕は誰かのお通夜やお葬式の度に思い出すし、誰かと打ち合わせをするときに、相手がそわそわしていたりすると、あの日のことを思い出してしまうのである。

 

そして、その度に、言ってはいけない言葉を言わないようにしなければ、と思うのである。もちろん、思うのだけれど、決して言ってはいけない言葉を言わなくて済むというものではないのだけれど。嗚呼。

 


 

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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。

★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。


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コメント、ありがとー!

  • nao

    以前の職場で、アルバイトさんが上司に「義父が亡くなったという知らせが来たので帰りたい」と言ったとき
    上司は「では手をつけている仕事が一段落したら帰っていいです」と答えました。
    その直後アルバイトの同僚の年配女性が上司に、「何故すぐに帰ってよいと行ってあげないのか」、と怒ったのです。亡くなった方とのお別れがどんなに大切なことか分かっていない、と。
    上司は「いやすぐに帰りたいということならそう言ってくれればよいのに」とびっくりしていましたが
    心のどこかに、いやもう亡くなってしまっているならそんなに慌てなくても、とか
    仕事の方が大事だし、とかいう気持ちが悪気はなくてもあったのだと思います。

    こういったとき咄嗟に出てくる言葉は、こわいな。

  • uematsu

    uematsu Post author

    naoさん
    「言ってくれれば」とか、「こういうつもりで」という説明を後ですればいいなら、
    人はいくらでも何を言ってもいいことになってしまいますね。
    本当に怖いことだけど、言えばお終い。その時の言葉足らずの一言が全て。
    だけど、逆に心を配りすぎてしまうのも、それはそれで、、という気もします。
    誤解を恐れず、時には悪者になりながらも言わなきゃいけないこともあったりする。
    難しい、怖い、ややこしい。でも、おもしろい。
    こういうのを、「人間だもの」という言葉を使わずに説明する言葉がほしいなあ、と思います。

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