10月20日はカレー記念日

カレー記念日

老眼だ! そりゃ老眼だ! と強要す

10月20日はカレー記念日

うえまつ

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

晴れ、時々やさぐれ日記

〈 晴れ、時々やさぐれ日記 〉 ああ、マイホーム。妄想と現実のあいだ

 

――— 46歳主婦 サヴァランがつづる 晴れ ときどき やさぐれ日記 ―――

  

山形から山口へ。越して来た夏も暑かった。移動が決まったのは5月。住まいの選択肢は驚くほど限られていた。

 

8月初旬の引っ越しのあと、12月に子どもが生まれる予定だったので、ともかく日常生活の利便性を優先した。あの頃はまだ、子どもの幼稚園や学校のことなど、具体的なイメージの中に組み込むことができなかった。またすぐどこかへ異動になるかも知れないし…。ともあれ、どうしても、住まいを探す必要があった。

 

a1180_006124

 

引っ越し当日、お隣だとおっしゃるおばあちゃんが、お水のペットボトルやお手製のお豆ごはんのおにぎりを持って来てくださった。「こういう時はねお互いさまですよ。これからはご近所なんだしね。遠慮はご無用」。さばさばとしたおばあちゃんはお一人住まいでいらっしゃるとかで、段ボールの迷路をぬって、お水とおにぎりの包みを台所まで運んでくださった。

 

もうひとつのお隣は、もともとお年寄りのご夫婦が住まわれていたけれど、今はお二人とも施設に入られ、長いことお住いではないのだと話された。「うちもね、わたし一人でしょ。わたしはお花が好きで、ベランダにも玄関先にも植木鉢をたくさん置いてるの。でもあれ、息子がいい顔しないの。最後は誰が片付けるんだって。鉢がひとつ増えただけでもうるさく言うのよ」

 

a1180_000108

 

「こっちのお隣は、わたしはよく知らないの。なんだか変な動物を飼ってるみたい。このマンション、動物はダメなはずなのにね。マンションってダメね。中のひとが入れ替わってしまって。分譲だなんだっていっても、結局今は賃貸のひとと半々よ。玄関のオートロックもよしわるし。この間も下の階に警察が来てたしね。そうそうわたし、〇〇町のスポーツジムに行ってるの。奥さん仕事されるの?されないんなら、あそこのジムいいわよ。わたしなんか昼間はずっとジムにいるくらい。あら、初めての方にこんなにおはなししてしまって。ともかく、何かあったら声かけてくださいね。お気遣いはご無用よ」

 

屈強な引っ越し業者の男性たちと入れ替わりで、小柄なおばあちゃんは帰っていかれた。台所からひととおり、素早い視線を室内に走らせながら。

 

a1110_000007

 

マンションの9階。生まれたての乳児との見知らぬ土地での新しい暮らし。夕方、ベランダ側と通路側の窓を閉めると、お隣の窓からフェレットが数匹顔を出していた。毎日だいたい同じ時間にベランダでゲージを洗う音がして、お隣との仕切り越しに排水が流れてくるのは、あの手のペットがまだ室内に数匹いるためらしかった。これは困ったなと思いながら、食事の支度に換気扇を回す。あとはシュジンの帰りを待つだけという段になって、小さな用事を思い出して乳児を抱き、サンダル履きで玄関を開けようとするとドアがピタリとも動かない。気を落ち着けて再びノブを回すけれど、ノブは回ってもドアは寸分も開かなかった。

 

a1180_006124

 

思い直して室内にもどり、ベランダ側のサッシを開けようとしてまたギクリとした。開かない。。。なぜ、開かない?

 

静まりかえった室内に、換気扇の音がしていた。あれだ。あのせいだ。

 

a1180_000108

 

ヤレヤレ、気密性のせいだ、と気がつくとそれまでの大げさな閉塞感に風穴が開いた。換気扇のスイッチを切れば、ドアもサッシも開くのだ。

 

 それにしても。「家」を手に入れるということはたいへんなことだ。                                    家の内と外、「完璧な買い物」がこれほど難しいものはない。。。

 

PT350001

 

あのマンションの住人だった頃、わたしは妄想にはげんでいた。チラシの住宅情報、雑誌やムック本の「住宅」記事。子どもが寝てる間にあり合わせのお昼をかきこみ、「この間取りは…このキッチンは…この脱衣室は…」とあれこれ思いをめぐらせた。たしかそう、「妄想建築」というノートを書いていた。食事まわり、洗濯まわり、収納まわり…理想の間取り図もパーツ別にいくつか書いた。中村好文さんの「住宅読本」なんていうのが、あの頃のわたしの妄想のパートナーだった。

 

今の借家へ越したのは一年後。チラシも見ておくものだ、とあのとき思った。

 

 a1180_000108

 

子どもが大きくなりはじめると、「家」そのものより「落ち着きどころ」が欲しくなった。移動があるにしろなんにしろ、どこかに「帰るべきところ」が欲しかった。

 

帰省のたびに物件をのぞきに行く。この町に住んだら…幻想の鼻っ柱を次から次へと折るのはシュジンだ。「ここはダメだな。環境はいいけど駅から遠い。道から数段のこの階段もダメ」

 

ダメ出しばかりをするシュジンの言い分はこうだった。年をとって、車にも乗れなくなったとき、駅から近いことは行動範囲を広げるから駅寄りがいい。年を取って足腰が弱ったら、玄関前の数段の階段でさえ負担になるから避けるべきだ。

 

a1110_000007

 

このひとは若い頃から転居が多かった。このひとはそもそも家の「内」に関心がない。このひとはそもそも「今」の快適さに関心がない。こと「家」に関して、わたしになくてシュジンにあるのは「老後」のイメージだけだ。。。

 

そう考えると腹が立ってきた。わたしはここで何をしているのか。わたしはなぜ今ここにいるのか、と。

 

リビングのソファーに座って庭を走る子どもを眺めるとか、夜には天窓のあるお風呂から星空を眺めるとか…。せめて幻想の中で「夢」を見ることくらい、付き合ってくれたっていいじゃないか。。。

 

 a1180_006124

 

ねーねー、おうちへの夢ってあるよねー。こういう窓にこういうカーテン。こういうキッチンにこういうダイニング…

 

転勤族ママたちで「妄想ホーム」の話題で盛り上がっていたとき、あるママがにっこりと言った。

 

ごめん。わたしは興味がないの。洋服にもお化粧にも興味がないから、友達には「女じゃない」って言われるけど、興味があるのは「月のものと女性の関係」。三砂ちずるさんなんかがおもしろいと思ってるの。

 

a0027_001509

 

目鱗の発言だった。「家には興味がない」という彼女はいつも泰然としていた。

 

「家には興味がない」。そうか、そりゃそうだ。世の中のすべてのひとが「家」に関心があると思っていたわたしの発想の根源はなんだったのだろう。マイホーム、マイホーム、そういえばむかしほど耳にしなくなった言葉だ。

 

 a1180_006124

 

高峰秀子さんは晩年、港区の豪邸を「減築」されたそうだ。老いの身に始末のいい住まいを求められて。

 

そうか。「豪邸」はどだい無理だとしても、「減築に減築に減築を重ねた今」と妄想するのは悪くないのかも知れない。どこにいても、どんな住まいでも、マイホームはマイホーム。

 

スイッチを切ればいい。「家がなければ。」という息がつまるような圧迫感は、スイッチを切りさえすれば「プシュッ」と気圧が抜けたように風通しがよくなった。

 

「家」って「時間」だ。ときおりそう思う。若い頃はずっと、人生なんてスパンが大きすぎて、幻想とも妄想ともつかない「未来」の中に時間が伸びているような気がしていたけれど、自分の人生の縮尺が現実の中でつかめてくると、「家」に対する感覚が、ぐっとこう縮まってきた。。。

 

a1180_000108

 

夏からこちら、家の前の田んぼがどんどん造成されていく。新しいおうちも建てられている。

 

「あの新しい家に、男の子が越してきてくれるといいなー。一緒に遊べるし、野球もできるかも知れないしー」

 

おいおい、5年生。5年生としてその発想はどうなのよ。

 

 

 

スポンサーリンク

 


晴れ、時々やさぐれ日記 記事一覧へ


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。また、コメントは承認制となっています。掲載まで少々お待ちください。


コレも読んでみて!おすすめ記事

このマンガがなんかすごい。

第11回:マンガに見るフェミニズム

お悩み相談!出前チチカカ湖

【File No.21】義母の嫌がらせにぐったりきています。

なんかすごい。

無限の想像力

50代、男のメガネは

やくざの筋が通るまで。

これ、買った!

落款のゴム印買った!

ミカスの今日の料理 昨日の料理

妹のこと・外伝 : 揚げれんこん

今週の「どうする?Over40」

じじょうくみこさんの「崖のところで待ってます」再開!次の日曜から始まります。

黒ヤギ通信

忘れられない手紙~私の小さな応援団

これ、入るかしら?

vol.42 over40のロングヘア

いどばた。

暮らしの便利グッズ教えて

ゾロメ女の逆襲

【月刊★切実本屋】VOL.6 麗しき通俗小説界のニューカマーはなっちゃんだ!

着まわせ!れこコレ

ジャズフェスの秋

ただいま閉活中

(56)閉活総括~メンタル編

四十路犬バカ日和

療法食デビュー‼︎

おしゃれ会議室 ねえ、どうしてる?

ミキティ&桜子の『これいいよ』~必見!眉間のシワ撃退法~

あの頃、アーカイブ

【エピソード16】 50年前のペット事情

KEIKOのでこぼこな日常

あらら、こんなところにも…

ラジオブースから愛をこめて

サウンドストリート

昭和乙女研究所

ファンクラブ入っていましたか?

ワクワクしたら着てみよう

インラインで目力アップ~♪

夫婦というレッスン

津端英子さんの一筋縄でいかない個性と行動力がすごい著書「キラリと、おしゃれ」

ハレの日・ケの日・キモノの日

暑くじめじめな7月

眉毛に取り組む。

総集編!眉毛ケアグッズ&お手入れ用品のご紹介

さすらいの旅人ゆりの帰国&奮闘日記

グアテマラ。そこで見た不思議な光景と懐かしい味

じじょうくみこの崖のところで待ってます

シン・ゴフジンラと、ドクターK。

新春企画 輝く!カレー記念日大賞2017

輝く!カレー記念日大賞2017

≪往復書簡≫SEX and the AGE 

「女性の健康を守り、5歳若くなる抗加齢医療」だって。ボーっとしてたら、すごいことになってるね。

最近、映画見た?

第12回 「海よりもまだ深く」

Over40からの専門学校 略して「オバ専」

【オバ専インタビュー】今まで知らなかった「責任感」も含めて、人生が大きく変わりました。

じじょうくみこのオバサマー

四十九歳の春だから。

華麗なるヅカトーク

第8回 型、色、数! 嫌なことがあったら、また観に来る!

サヴァランのやさぐれ中すday ♪

in her SHOES ~ おばばは何を考えて? #8

器屋さんのふだん器

ふだん器-38  飛びかんな

2016 みんなのこれ欲しい!

サヴァランの「これ、欲しい!」。

2015 みんなのこれ買った!

【じじょうくみこ】低反発リクライニングソファ、買った!

ブログの言葉

「別冊 どうする・・・」はこんなことを大事にします。(過去記事より転載)

今日のこていれ

「今日のこていれ」最終回。1年間のご愛読に感謝を込めて。

いろんな言葉

空気が流れれば、クヨクヨも消えていく。

崖っぷちほどいい天気

崖っぷちより愛をこめて〜最終回はカピバラとともに。

アラフ ォー疑惑女子

「もったいないお化け」の世代間連鎖

とみちっちの単身ベトナム&中国

ベトナムって、ハノイって、どう?

晴れ、時々やさぐれ日記

ああ、感謝。巳年と午年のあいだ。

中島のおとぼけ七五調

中島。の気ままに更新「おとぼけ七五調」12

ムーチョの人生相談「ほぐしてハッケン!」

【主夫ムーチョの相談】娘がご飯を食べません・・・。

ミラノまんま見~や!

連載最終回!「駐妻のここだけの話」にしようかと思ったが…災難に遭う!

ウェブデザイナーとの対談

大きな旗は振れないけど、小旗はパタパタと振れるだけ振っていこうと思ってます。

「最高の離婚」ファントーク

<対談「最高の離婚」最終回>ホームから電車に乗ってしまってキスして・・・ロマンチックでしたね。

スパコレ

美味しい缶詰を教えて!

2014 新春企画

どうする?Over 40 新春企画「物欲俗欲福笑い」♪( メンバー編 )

フォルモサ(台湾)の女

あずみの台湾レポート「やっぱり紅が好き!フォルモサの女たち」(13)〜不景気顔卒業します

ゾロメ女の図書館小説

帰って来たゾロメ女の逆襲 場外乱闘編 連載図書館ゴロ合わせ小説  『ライ麦&博 完結編』 後編

青蓮の「マサラをちょいと」

青蓮の「マサラをちょいと~人生にもスパイスを効かせて~ VOL.12」

Tomi*さんの最適解

「Tomi*さんの最適解。 ・・・白髪とコムデギャルソンとヤフオクと」  マインド編②

YUKKEの「今日もラテンステップで♪」

YUKKEの今日もラテンステップで ~VOL.13

Member's Twitter


  • カリーナのBILOGはこちら!「どうする?年齢とおしゃれ。それからすべての生き方」

  • Cometさんこと米谷さんの著書「ウチの失語くん」が電子書籍で出版されます!
  • 植松 眞人さんの本がでました♪「いまからでも楽しい数学―先生と数学嫌いの生徒、35年後の補習授業」
  • 「出前チチカカ湖」連載中 まゆぽさんの会社「シリトリア」

Page up