年とともに「初対面でもうちとけられる」理由を考えてみた。おじさんが頑なな理由も。
ある年齢に達すると、女性たちは初対面でもうちとけておしゃべりするけど、男性たちはじーっと黙って座っていることが多いですよね。もう、これは常識みたいになっているし、私も、そんな風景をあちこちで見てきたので「そういうものなんだろうな」と思ってきました。
が、高校2年の娘の周囲にいる男の子たちを見ると、男同士、体を寄せあってふざけたり、互いの家に泊りに行って「おかんのご飯を食べさせてもらった」り、とにかく、いつでもいっしょにいたいという雰囲気。しかも、何時間いっしょにいても飽きない感じなんですよね。「そうかあ。たしかに男の人も学生時代は、こんな感じなんだよなあ。いつから変わるんだ?」と疑問に思うようになりました。
そんなとき、<いどばた。>「おばちゃんで良かった」と思うときは?のコメント欄でコーナー担当のCometさんが、「私は仕事で、初対面の方々が集まるイベントのお手伝いをすることがあるんですが、(女性も)20代、30代だと最初は皆さんよそよそしくてガードがある感じ、会場の雰囲気も硬いんですよね。それが40代、50代になってくると、皆さんにこにこフレンドリーで、最初から雰囲気がいい。60代、70代になると「前から知り合いだったの?」っていうぐらい、いきなり話がはずんでる(笑) 男性だと年齢に関係なく頑なな感じだから、やはりおばちゃん力なのだと思います!」と答えているのを見つけたのです。
あ。
と思いました。
そうだ。自分が大学生のころとか、ちょっと硬かったな。あのころ、女子たちが一斉に集まると何となく牽制しあう雰囲気があった。あれは、「美貌の格付け空間」だったからかもしれないな。暗黙のうちに、それぞれが「顔」「スタイル」「センス」「華やかさ」などなどをビミョーに男性目線でチェックしあって「自分と同じ世界の住人か否か」を判断していたような気がする。
女性にとっては歴史的にヒジョーに長い間、「最大の権力」であったところの「美貌」をめぐって動物的な戦いが行われていたってことだろうか。
それが、まあ、年をとるにしたがって「平等化」するんですよねー。美醜の差は、決してなくなることはありませんが、たとえば、うちの姉は80歳を超えても美しい岸惠子さんに対して「なんか、あの人、あんまり好きじゃない」と言うようになりました。「美しいことは認めるけれど、あの美しさ、そんなに大事?」「自分のまわりの同世代は恋愛もしているとかさ。もう、そんなのいいやって感じ」なんて言うのです。姉は64歳。岸惠子さんは姉にとっても大先輩の年齢ですが、それでも「維持されている美貌」に対して、一家言もつようになる。一言物申すようになる。異議を唱えるようになる。
「その美貌、いりますか?」と。
「しょせん、若い子に負けてますよね」と。
考えてみると、なんて大胆な問題提起でしょう。20代じゃ決して言えませんよ。「その美貌、いりますか?」と問うた瞬間に「いりますね。はい」とすごすご帰るしかないでしょう。
まるで平民が選挙権を得たような自己主張。問題提起。女性たちがある年齢以上になると到達してしまう同世代間デモクラシー。あらかじめもっていなかった人も、最初はもっていた人も、いつの間にか「権力」の座から滑り落ち、ここにこうして集っているのさ感。もう、みんな、平等さ。それが、「初対面でもすぐうちとける」の根っこの、根っこのところにあるような気がします。
それに比べて男性は、デモクラシーから階級社会に移行するんでしょうかね。高校時代の男子は、だーれも、なーんも、もってないからね。それ以降、いろいろ「持つ」ようになり、「持てるとモテる」ようになるから、いろいろややこしい。男性同士の初対面では、相手の「地位」が顔じゃわかりませんからね。目の前の人が本当のところ何をもっているのか。もっていないのか。自分よりもっているのか。もっていないのか。上なのか、下なのか。名刺を交換しない年齢になると、さらにわからない。気を許せないんじゃないのかなあ。勝手な想像だけども。
そんな具合に<いどばた。>のコメント欄を楽しみました(コメントも残しています)。みなさんもぜひ、遊びにいってみてください。今日は、メルマガも配信しました。テーマは「みんなファンデーションはどうしてる?&欲望をあぶりだす『言葉』」。こちらからバックナンバーをご覧いただけます。無料で購読でき、いつでも簡単に解除できますから、気軽に登録いただければと思います。
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Comet
私の荒っぽいコメントを、丁寧にすくい上げてくださって、ありがとうございます!
階級社会にどっぷり浸かった男性は、定年後、初対面の相手との距離感(上下関係?)のとりかたがわからず、途方にくれることが多いですよね。NPO団体つくって自分で肩書きつけて名刺作ったり、自己紹介で「以前はこういう仕事をしてた」と延々語ったり。
なんて、おやじのことは放っておいて(笑)
以前、作家の沖藤典子さんが、外国にこういう言葉があるとおっしゃっていました。
「40歳になったら、美人も不美人も同じ」
「50歳になったら、学歴があってもなくても同じ」
「60歳になったら、夫がいてもいなくても同じ」
「70歳になったら、金があってもなくても同じ」
元ネタを探してみたら韓国のジョークのようで
「50歳になると、美人不美人の差がなくなる。60歳になると、学歴の差がなくなる。70歳になると、未婚既婚の違いがなくなる。80歳になると、お金のあるなしが問題でなくなる。90歳になると、生死の別があまりなくなる」
年齢が10歳ずつズレてますが、ま、オオムネこういうことでなんでしょうね(^ ^)
ふみ
すっごく、納得いきます。私は、55歳。若い時とは比べようもないくらい、日々、ラクになりました。とにかく笑顔さえあれば、なんとかなるだろうって感じでしょうか。
以前、男性の上司が「男は犬族だから、常に、自分の立ち位置を意識している。」と言った時は、目からウロコでした。その場には、その上司を筆頭に、4人の男性がいたのだけど、全員、反応はしないけど、それは事実なんだ!と言う空気感がありましたし、家に帰ってから、夫(日体大出のバリバリ体育会系)に、話したら、「当たり前だ」と、言われましたし。
我ら、女性、猫族には、考えられませんね。