<いろんな言葉> 己が愛に迷ったか、ハルストレム監督
「このキャスティングで、この凡作。
己が愛に迷ったか、ハルストレム監督」
最近、家の本棚から発掘した『石川三千花の勝手にシネマ2』 (世界文化社)。
刊行は1996年9月ですと。
ひゃ~!
今から17年前ってことは、そのとき生まれた赤子も今では高校生です!(←ベタな表現)。
現在も三千花さんは絶賛活躍中ですが、当時は今以上にテレビや雑誌などで彼女のイラスト、文章、おしゃべりに接することができ、私は日々刺激を受けていました。
とにかく彼女の「悪口」は面白かった。
その真骨頂がこの「勝手にシネマ」シリーズだと思います。
今回、あらためて読んで気づいたのは、言葉のムダのなさとリズム感。
反射神経を駆使して書いている感じでカッコイイです。
・・それにしても口が悪い。
この本の中でも、自分で自分のことを「今、ちょっと口が凶器状態」とおっしゃっています。
まさに、ダメなものはダメ!
そこに遠慮会釈はありません。
文頭の言葉は、名作「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」や「ギルバート・グレイブ」を撮ったスウェーデン出身のラッセ・ハルストレム監督の新作(当時) 「愛に迷った時」に対しての三千花さんのキツい一言です。
「悪いことはいわない。さっさとスウェーデンに帰ったほうがいい」とも言っています。
ぶった切るなあ、まさに凶器だなあ、小気味いいけど怖いなあ。
もちろん、その結論に行き着くまでの見解はきちんと書かれていて、その説得力に感嘆してしまうわけですが。
(その後、ハルストレム監督は「サイダーハウス・ルール」や「ショコラ」で名誉挽回しました・・よね)
【※上の文、当初「汚名挽回」と書いてupしましたが、「その後の映画が好評であれば、汚名返上か、名誉挽回では?」とメールをいただきました。
今まで、汚名挽回も汚名返上も名誉挽回も、同じような意味で使っていました。訂正させていただきます。申し訳ありません。「己が言葉に迷ったか、つまみ」ですね。】
ところで、この『勝手にシネマ』、1はのちに文春文庫になったものの、2以降はその道をとらず、今回取り上げた2は現在絶版のようです。
なにか大人の事情があったのでしょうか。
ちょっと気になります。
by月亭つまみ
みるみる
【愛に迷った時】は観てませんが、ハルストレムさんは振れ幅が大きい?っていうか、ムラがあるイメージありです。むしろけちょんけちょんにされてるその作品が気になってきたりしちゃうかも。
出版社も一年ごとに経営が厳しくなってきていそうですから、石川さんのような切れ味鋭いナイフ系の著書は断崖絶壁に追いやられつつあるのかもしれませんね。
もったいない!今ある本は図書館でぜひ保存をしてほしいもんです。
つまみ Post author
みるみるさま
「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」と「ギルバート・グレイブ」は大好きなので、私もむしろ、「愛に迷った時」がどんな「凡作」だったか、気になります(私もまだ見てません)。
出版不況だったりネットが普及すると、鋭い人は棲息しづらくなりそうって確かにあるかもしれませんね。
安全策に走りがちかもしれません。
悪口って「芸」にまで昇華しないと聞いてらんない、というのもありますよね。
垂れ流せばいいってもんじゃないです。
要するに・・・才能と努力の結晶?