あずみの台湾レポート「やっぱり紅が好き!フォルモサの女たち」(7)〜縁起のためぇならぁエーンヤコーラ
そう、私は今、複雑なお年頃。
プリ子さんが書いてくださっている「閉活」も気になるし、
高度生殖医療の発達のおかげでまだまだ「妊活」も可能なお年頃。
台湾では、既婚者とバレると必ず聞かれることがあります。
「你有沒有小孩?(子供はいる?)」
ここで「沒有(いない)」あるいは「還沒(まだ)」と答えると、
次の質問は決まって
「你幾歲? 剛快生!(あなた、何歳? 早く産みなさい!)」
となります。
うちには子供がいませんから、明らかに子供ができないと分かる年齢、または容姿になるまで、これに耐えなければなりません。
例えば私が「なかなかねー」なんて言おうものなら、
ぜひとも情報をお伝えしたいフォルモサレディー(台湾の女性)たちは黙っちゃいません。
マシンガンのように、いろんな情報を提供してくださいます。
不妊に効く漢方、食べ物、旦那の下着の種類、いい婦人科、いい先生……
よかれと思って情報を提供してくださいますが、
わたくし、とても複雑な心持ちでございます。
いろいろ事情があって子供がいないのですから、なんとなーくでもいいからそれを察してほしいものなのですが、フォルモサレディーにはこのようなデリケートな「察し」は遥か彼方……。
何しろ、耐える。それしか方法はありません。
極端な言い方ですが、子供を産んでしまえば嫁の役割はほぼ完了です。
縁起のいい年に産んだなら、なおよし。
それが男の子ならば、「よくやった!」と賞賛を受けるでしょう。
昨年は辰年で「龍」にあやかりベビーブーム。
もちろん、辰年に産まれるように、卯年の後半から子づくり作戦が激化していました。「辰年に身ごもった子も縁起のいい子よね〜」ということもあってか、蛇も龍の親戚っぽい立場ってことなのか、今年もプチベビーブーム。
というわけで、この数年は婦人科と産科と産後ケアセンターは大盛況。(産後ケアセンターはどこも予約がいっぱいだったそうです)
そうそういえば、8年前の戌年のときに初めて、この「縁起のためのバースコントロール」を目撃したのでした。
あのときは中国大陸の深圳(シンセン)という所に住んでいて、私は別の用件で婦人科にお世話になっていたのですが、夫婦で婦人科に来てる人の数にたまげてしまいました。あとで事情を知ってさらにびっくり。
戌年の次は、当然、「亥年」。
その時の「亥年」は、と・く・に!縁起がよかったのです。
日本の十二支では「猪」は当然「イノシシ」と読んで、イノシシが干支になってますが、中華圏の十二支では、まるまると太ったブタちゃんが干支です。中国語の「猪」は「ブタ」を意味しています。
中華圏では、猪(ブタ)は子を一度にたくさん産むので子孫繁栄の象徴。
そこに数年に一度回ってくる「金」の年が重なりました。
60年に一度巡ってくる「金のブタ」。
子孫繁栄の上に、さらにお金に困らない子が産まれるとあって、中華圏の産婦人科は大盛況でした(韓国もそんな感じでもりあがっていましたよね)。
「金ブタベイビー」のために、その前の年から
必死に子作りにいそしまなくてはならないのですっ!
(中国本土の場合は一人っ子政策のせいもあってか、余計に真剣になるのでしょう)
フォルモサの嫁は、縁起なんかも気にしながら「女のシゴト」をこなし、会社で「仕事」をこなし、なにしろ忙しいのです。
フォルモサレディーは、妊娠しても仕事を続けます。当然、出産間際まで。
出産後も、前回お伝えした「坐月子」を終えたら復帰準備開始です。
長くても出産後2ヶ月で復帰するケースが多いようです。
子育てはというと、
たいがい近所におじいちゃん、おばあちゃんがいて、率先して孫の世話をしてくれますからその点はまったく心配する必要はありません。そして、パパも協力的です。昼間、ベビーカーを押してるパパもよく見かけます。学校に通うようになっても、こちらは送り迎えが必要なのですが、それもおじいちゃん、おばあちゃん、パパ、ママ、その他家族、一丸となってサポートします。
そして近所のフォルモサレディー、通りすがりのフォルモサレディーまでもが、
かわいいベイビーのための世話を焼きます。
こんなに子育てに恵まれた(?)環境があるのに、
台湾の出生率は、低い。
数年前には1を切ったこともあります。
なぜだろう、なぜかしら。
それでは下次見!
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あずみさんのプロフィール:
長崎県出身、現在は台北在住。40代前半。
職業:あるときは日本語教師、またあるときは編集者、またまたあるときは主婦
家族:台湾人の旦那+台湾人の義父母、ノラ出身の猫3匹
環境適応能力を遺憾なく発揮し、ほぼ現地化完了(語学は除く)。
台湾レディー事情を地元民&日本人の目線からレポートしたいと思います。
おおおお、台湾の女性たちも大変ですね~。縁起のいい子どもを産んで、出産後2か月で仕事に復帰するなんて神業!頭が下がります。でも、だからこそ、少子化が進んでいるのかなあ。
(by カリーナ)
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