秋にいろいろやろうとしてしまう、のココロ。
食欲の秋だ、というもんだから、あれもこれもと美味しい物を食べたくなる。スポーツの秋ですよ、なんて誰かがいうので、そんじゃ走るか、と走り始めてしまう。秋なんだから読書でしょ、とおっしゃるのももっともだ、ということで本を買いに行く。本を買いに行くと今度は、芸術の秋だってんで、美術館のポスターが貼ってあったりするので、そうか、じゃあ、来週あたり印象派の画でも上野に見に行くか、なんて柄にもなく思ったりする。
いやもう忙しい。いくら秋の夜長ったって、食べて走って読んで見て、その他ついでに、眺めたり話したり笑ったり聞いたり歩いたり行ったり来たりもしていると、秋がいくらあったって足りやしない。
こういう気持ちは夏休みや正月休みにもあるんだけれど、夏休みも正月休みも期限がはっきりあるので話がはやい。いくらいろいろやろうとしていても、夏休みが終わったら「ああ、今年も買った本は積ん読だったなあ」とか、正月休みの終わりは「結局、食っちゃ寝、食っちゃ寝の寝正月だったなあ」なんて言いながら、♩日常という、うすのろ〜♩(by佐野元春)のなかへ強制的に戻っていくから。
秋の場合は、そこが曖昧なんですよねえ。いつから秋なんだかはっきりしないし、読むのも食べるのも見るのも、別に冬になってからやっちゃいけないっていう法律もないしね。
まあ、つまり自由度が高い。大人になればなるほど、自由度は高くなるのに集中力がなくなるから、余計に切なくなる。で、秋の気配がその切なさを黄昏に変えて、ぼんやりしてるとゾッとするほど寂しくなったりするんですよねえ。まあ、これまた大人だから寂しいなんて声には出しませんけどね。
せめて、昨今、どこの学校でも春にやっちゃう運動会を秋にやっていただきたいもんです。遠くの学校から聞こえてくる賑やかな行進曲と嬌声を聞いていれば、ちょっとは「人の営みってぇものは、僕らの子どもの頃から変わらず受け継がれていくもんじゃあ、ありませんか」なんて、寅さんみたいに感じられたりするもんで。
というわけで、秋はあれもこれもで気持ちばかりが焦って大変なんです。あ、新栗のおいしいモンブランを食べる時だけは、なんの憂さもなく笑ってられるんですけどね。
植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、オフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京神楽坂で暮らしてます。
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okosama
ホンマですね。
特に10月は自治体のスポーツイベントやら美味しいものイベントが重なってどれに参加したらいいやら…?私は
もっぱら芸術の秋を堪能しております。
それはそうと、運動会。
もともと西日本では秋が多く、東日本では春が多い? 西から東へ引っ越してなんとなーくそう思ってました。
uematsu Post author
okosamaさん
もともとは、東京も大阪も秋に運動会をしていたようです。
それが受験などに影響しないように、
春の間にやってしまったほうがいい、
ということになったんじゃないでしょうか。
最近は西でも春にやるところが増えたようです。
でもまあ、イメージとしては運動会は秋が似合いますよね。
okosama
地方だと、稲刈りと学校の運動会と地域の運動会が毎週ある、とかね(笑)今日のブログの言葉で、ああ、そやそやと思ったんですが、いろいろ忙し気でも、気候が良いと身体も動きますわな。最近、どこかで走らはりましたか?
uematsu Post author
okosamaさん
こないだ帰宅時に15km走りました。
死ぬかと思いました
okosama
帰宅時に15キロ⁈
それは私が車通勤している距離…
都会の人はめっぽう歩かはるというのは聞きますが…。
やっぱりスポーツの秋やからですか?
マラソン大会の練習?
それとも、何かに追われて?
uematsu Post author
okosamaさん
まあ皇居三周で15kmですからね。
マラソンシーズンが近くなると、
たまにはそのくらいの距離は走りますです。