風街レジェンド
8月の終わりに『風街レジェンド2015』に出かけた。
松本隆の作詞生活45周年記念のコンサートなのだけれど、どうしても大瀧詠一追悼的な側面も大きくなってしまう。
国際フォーラムの大きなステージには、スクリーンがおろされ、そこには細野晴臣、大瀧詠一、鈴木茂、松本隆の似顔絵がかかれた、あのはっぴいえんどのレコードジャケットが大きく映し出される。
舞台の上には、大瀧詠一以外のはっぴいえんどがいる。そして、『夏なんです』が演奏される。さながら、はっぴいえんどの再結成コンサートか、大瀧詠一の追悼コンサートの様相だが、唯一、松本隆のドラムの力強さが、湿っぽさを吹き飛ばしてくれる。
さらに、佐野元春が呼び込まれて、『はいからはくち』を歌う。そこでいったん、はっぴいえんどが終わる。太田裕美が『木綿のハンカチーフ』を歌い、原田真二が『てぃーんずぶるーす』を歌い、徐々にステージは松本隆を通じて昭和歌謡史をタイムマシンでさかのぼっているようだ。
早見優、石川ひとみ、大橋純子、斉藤由貴、南佳孝、吉田美奈子、安田成美、山下久美子、稲垣潤一、水谷豊、寺尾聰などなど、錚々たるメンバーが揃った、ということは特筆に値するのだけれど、それよりも会場全体を包む、松本隆の詩を噛みしめようとするような、そんなムードがとても面白かった。
そして、最後に『風をあつめて』を全員が歌い、ユーミンが登場して、松本隆をねぎらう。松本隆がマイクを握って少したどたどしく話し始める。
「今日は90になる僕の母が会場のどこかにいるはずです。小学生の頃、妹は心臓が悪かったんです。だから、妹が小学校にあがると、母に『妹のランドセルもお前が持ってやるんだよ』と言われて、毎日、二つのランドセルを持って学校に通っていました。自分のためだけじゃなくて、誰かのために、というその時の経験が、作詞をするときに役立っていると思います」
松本隆はそう言うと、少し涙ぐんでいるように見えた。
昭和だな、と思った。まったく他意はなく、昭和だな、と自然に思った。45周年記念に、これまでに一緒に仕事をしてきた仲間が集まることも、コンサートの最後にみんなが同じ歌を歌うのも、母親に感謝の言葉を述べて、みんながとても、あたたかい気持ちでそれを聞いているのも、全部、昭和だな、と思った。
良くも悪くも、とか、そういうことではなく、なんだかそこには昭和というものの一番いいところが凝縮されているような、そんな気がしてならなかった。古くさいというのではなく、この感覚がこれから世の中から薄れて行ってしまうような、そんな予感がしてしまったのだった。
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
ネコのマロンとは?→★
「ネコのマロン」販売サイト
https://store.line.me/stickershop/product/1150262/ja
クリエイターズスタンプのところで、検索した方がはやいかも。
そして、こちらが「ネコのマロン、参院選に立つ。」のサイト
http://www.isana-ad.com/maron/pc/
植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。
ごまぷりん
いいな、行かれたんですね。私も行きたかった。
BSでのテレビ放映を心待ちにしているところです。
uematsu Post author
ごまぷりんさん
楽しいコンサートでした。
僕も放送が楽しみです。