サヴァランは見た。この街のひとびと #5
10月の弘法さん。
朝は8時ごろから、近所の参道がにぎわい始める。
しまった!
先月おじさんに包丁を研いでもらう約束をしたんだった。
おじさん。ごめんなさい。来月また来ます!
えっと。
弘法さんには包丁を持って来ること、と。
月に一度。
弘法さんの日はたいていお天気がいい。
この日、お店の店先に小さな山になって売られていた古い布。
急須のお座布団(?)用に
朱赤の鹿の子絞りなんてないかな~と物色。
目当てははずれたもののきれいなうす桃色の絹地を見つけた。
「これ、おいくらですかぁ?」
「それ、1グラム1円。だからこれ、ぜ~んぶで、、、、100円ね! 」
ぜんぶで100円!の蝉の羽みたいに薄い絹の古きれ。
うちで広げてみたら、端縫いをした洗い張りの後の生地だった。
これだけ絹地が薄いのは、お着物の胴裏かなにか?
それにしてはシャンタンみたいなシャリ感がある。
もとはどんなお着物だったのだろう。
きれいなひとのきれいなお着物だったんだろうな~。
紗合わせみたいに合わせて、旅行用の仕分け袋でもまずは縫おうか。。。
10月下旬の某日。
吉谷桂子さんのNHKカルチャーセンターでの講座へ。
吉谷桂子さん。
わたしはガーデナーでもなんでもないが長年の大ファン。
カルチャーセンターの一日講座。
テーマは「美しい暮らしをつくるひけつ」。
ガーデニングもインテリアもファッションも。
こういうおはなしをさせていただくのは
お金持ちに見せたいとか、自慢がしたいとかそういうんじゃないんです。
大事にしたいな~と思うのは〈 眺めの喜ばしさ 〉。
〈 眺めの喜ばしさ 〉は、ひとのこころを豊かにすると思います。
〈 眺めの喜ばしさ 〉、それをずっとイメージし続けることは、
寂しさや辛さからときにはひとを救って もくれる。。。
だから。
美しい景色を見たいし作りたいし、愛していきたいんです。。。
思っていたとおり。。。
思っていたとおりの素敵なおはなしに感激しすぎて
講座の様子をカメラにおさめることを忘れていた。
美しい方だと思った。
嘘のない誠実な方だと思った。
ミューズに会った!!!とあの日思った。
握手していただいたとき
「土いじりで黒くてごつくて」とおっしゃっていたけれど、
吉谷さんの手は、とても繊細で神経の細やかさの伝わる手をなさっていた。
弘法さんの日のご近所の参道の「眺めの喜ばしさ」
吉谷桂子さんというひとりの女性の醸し出す「眺めの喜ばしさ」
「見る」こと「会う」ことは「喜び」だな~と思う。
ああ、今年の秋もたけなわ。。。。。
【サヴァランのやさぐれ中すday 】更新予定~
第1火曜 …「もってけBENTOU」
第2火曜 …「おばばの靴」
第3火曜 …「サヴァランは見た!」
第4火曜 …「やっぱりおやつ♡」
いつでもどこでもやさぐれサヴァラン♪
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