趣味のひとつは読書。点字より便利なものがあるんです。
前回の記事でお願いをしていたユニバーサルシアター「CINEMA Chupki TABATA」。おかげさまで皆様からの多くのご支援のお陰で9月1日のオープンを迎えることができます。
以下のページでご案内している通り、北区内のホールにてプレオープンイベントを開催します。団体設立のきっかけとなったチャップリンの名作「街の灯」の上映も行います。暑い季節ですがお一人でも多くの皆様にいらしていただけると嬉しく思います。→ 2001年の団体設立から15年。City Lightsが追い続けてきた“夢の映画館”を、ようやく叶える時がきました!
さて、ここからは今月の記事。何を書こうか迷っていたのですが、前回、私の趣味はいくつかありますと書いたので、映画のほかには何なのかと気になっている方もひょっとしていらっしゃるかもしれないということで、その万が一のために引き続き趣味について書いてみます。
と、もったいぶったわりには極めて平凡ですが、私は読書が趣味です。いわゆる読書家というほど冊数は多くはありませんし、系統的に読んでいるわけでもない、本当に平凡な読書好きと言ってもいいかもしれません。なんとなく面白そうなタイトルを見かけたら読む。友達が面白いと言っていたから読む。そんな感じです。
その読書。私は普通の大きさの活字は読むことができませんので、本屋で買ってきて読むとか、図書館から借りて読むという具合に簡単にはいきません。そこで皆さんの頭に浮かぶのは「点字」ではないでしょうか?もちろん、それもあるにはあります。
私は小学生のころからうん十年、点字を使い続けているので比較的速く読めるのではないかと思ってはいます。なので、しっかり確認して読みたいようなものは点字で読むこともあります。ただ、点字には基本的に漢字がないため非常にかさばります。一般的な単行本でも点字にすると、B5サイズの厚さ3~4センチの本4冊くらいにはなってしまうのではないでしょうか?これは図書館から借りたり、返したりするのも大変。それに何より年齢と共に点字を読むと肩がこるようになってたまらないというのも正直なところです。
そこで、便利に使うのが録音図書。様々な理由から、点字を読めない視覚障害者が9割以上を占める現代では、点字よりこちらの録音図書での読書が主流とも言えるかもしれません。
録音図書とは文字通り、本の内容を朗読して録音して作られた声の図書。少し前まではカセットテープに録音されていましたので、点字ほどではないものの、やはりそれなりにかさばっていました。そして、困ったことに読みたい場所をぱっと開いたり、しおりを挟んだりすることがとても困難でした。それが最近ではデイジーという形式でCD1枚に収まるような時代になってきました。ページチェックをつけるなどの編集作業によって、ある程度自由に本の中を移動できるようになりました。長年「巻物」だった本が、普通の「本」に近づいたという感じです。
日本にはこれらの点字図書や録音図書などのコンテンツを集積した「サピエ図書館」という大変便利なものがあり、私たち視覚障害者は会員登録をしてコンテンツをダウンロードして読むという夢のようなことも実現できています。もちろん、多くの図書は人の手によって点訳(点字データ入力)や、朗読がなされているので、出版後すぐにとは行きませんが、できあがってさえしまえば、パソコンのハードディスクやSDカードに何冊ものデータを入れて持ち歩くことも簡単。まあ、私などは「積読」ならぬ「入れ読」になってしまっているのですが…。
また、最近では音声合成技術もどんどん進歩し、かなり肉声に近いストレスの少ない音も出てきているので、こうした機械の声での読書の機会も増えてきています。さきほど点字を読むと肩がこると書きましたが、点字データを機会に読ませればそれも解決です。とはいえ、日本語には同音異義語なども多く、本をスキャンして読ませただけではどうしても誤認識も出てきてしまうのでそこは永遠に近い課題かもしれません。
私が最近読んだ本の中で何がよかったかなど、そんなお話もしたいところですが、あまり読書記録をつける習慣もなくあやふやになっているところも多いので(言い訳)、その辺りはまた今度にしようかと思います。
川井美奈子
点字、手話、ともに身近にありますがなかなか覚えないので、使い勝手がピンときません。私は幼児の頃からメガネで読書を楽しんできたので、朗読でお役に立ちたいです。ラジオの朗読番組なども楽しんで利用しています。
KEIKO
川井美奈子様
コメントありがとうございます。
点字で読書を楽しむにはそれなりの速度で読めて理解できる必要があるので、大人になってから見えなくなったような場合は難しいこともあると思います。それでも、ちょっとしたメモを書いたり、読んだりできるのとできないのとでは生活の便利さがずいぶん違うと思います。その意味では点字は大事なんだと思います。
朗読に興味を持っていただけたこと、嬉しいです。図書館の蔵書のようにきちんとした形式で1冊を読み通すのには、学んでいただかなければならないことがいろいろあります。でも、それとは別にもっと気軽に手を貸していただけることがあるのではないかなあと考える今日この頃です。