縦書きと横書きと。
縦書きと横書きとどっちが読みやすいかと言われると、僕は圧倒的に縦書きが読みやすい。実はこの文章もポメラで縦書きで書いている。
ただ、普段目にするパンフレットなどの印刷物もほとんどが横書きで、SNSなどWEB上の文章などほぼ100%が横書きだ。
この文章だって、横書きになることがわかっているのに縦書きで書いているというのは、ちょっと不思議な感じがする。さっき書いたSNSとかWEBとかいう英字は、縦書きのままなら全角文字にするし、横書きになるとわかっているこの原稿の場合は半角の英字として打ち込んでいる。
そういえば、以前、iPad、iPhone用のアプリで、縦書きのテキストアプリが出たことがあった。しかし、そのアプリの最大の欠点は、入力そのものは横書きで、その後、縦書き表示で確認するという仕様になっていたことだ。
縦書きで入力できないと意味がないんだ、とその時はっきりと理解できたのだけれど、それほど縦書きの入力は心地良い。最終的に同じような文章になったとしても、僕自身は縦書きの心地よさはなにものにも代えがたいと思ってしまう。
これもだいぶ前のことになるけれど、確か、iPadが発売されて、電子書籍元年と言われたあたりのこと。ある電子出版をしている会社の技術者の小さな講演会を聞いたことがある。そのときに、そのエンジニアはちょっと調子に乗りすぎて、「もう、日本語は縦書きを捨てれば良いんですよ。横書きが世界仕様なんだから」と軽口を叩いた。僕はこのエンジニアにはプライドもなにもないのかと憤ってしまったのだった。
エンジニアなら、どんなに手間がかかっても「日本でリリースするなら十二分の機能を積んだ縦書き機能を装備します」と言うべきだし、実現すべきだと思うのだが、大方のグローバルスタンダードな考え方で縦書きという一つの文化を切り捨てることを軽口として言えるところまで、来ているのだと僕は驚いたのだった。
ようするに、自分の道具を持つ、ということなんだろうと思う。昔なら、たくさんある鉛筆の中から自分の好きな鉛筆を選んで、好きな濃さを選んで、好きな削り方で削って、好きなノートに好きな書き方ができたのだろうけれど、今はそうはいかない。
好きな物を選んでいるようで、結局はWindowsかMac、AndroidかiOSという二者択一を迫られる。以前はたくさんあった、縦書きができるワープロソフトも、今はほとんどなくなってしまった。横書きで入力できるからいいじゃない、と言ってしまえばそれで終わってしまう。だけど、それで終わらせてはいけないものが、ここにはあるんだろうな、と今日も僕は縦に書くのであった。と、それを横組みで読んでいるあなたに伝えるのであった。(ややこしい)
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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眼鏡A
へぇ、じゃあこれ、縦で読むとどんな感じ?とスマートフォンを横にして、文字も横なのに気づくマヌケな私。
私も段落で大意をつかむには、縦向きの方が楽な気がします。文字が横でも。
uematsu Post author
眼鏡Aさん
文字横のまま縦読み!
なかなかのツワモノですね(笑)。
でも、やっぱり慣れ親しんだ縦書きにホッとします。