幸せの黄色い道
いきなりの不明なタイトル。皆さんは何を想像されたでしょうか?
実はこれは岡山県のお菓子屋さんが売り出して密かに話題になった(かどうかは分かりませんが…)お饅頭の商品名だそうです。では、なぜそんな名前のお饅頭が岡山で売られることになったのでしょうか?今月はそんなお話をしてみたいと思います。
今でこそ駅のホームや道路で見かけることもそう珍しくない「点字ブロック」ですが、日本で初めて敷設されたのは今から約50年前の1967年3月のことだったそうです。これが早かったというか、遅かったというかは何ともいえませんが、世界的にみても珍しいことだったのは確かのようです。
そのきっかけはと言えば、岡山県で弟さんと二人で事業をされていた三宅さんと大阪の日本ライトハウスの岩橋さんという視覚障害者との偶然の出会いというのですからドラマチックです。なんでもお二人は無類の犬好きだったとのこと。
当時の日本ではまだ珍しかったシェパードを三宅さんが飼っているというニュースを、どこでどのようにしてか知った岩橋さんがはるばる岡山まで訪ねて行き、そこで意気投合。以前から自宅近くの交通量の大変多い道路を横断する視覚障害者のことを気に留めていた三宅さんは、岩橋さんたちになんとか少しでも安全に歩いてもらう方法はないものかと考えたそうです。そして生まれたのが弱視の人にとっても視認が容易で、全盲の人が足で踏んでも分かりやすい、黄色い点字ブロック(幸せの黄色い道)だったというわけなのです。
ところで、この点字ブロックには2種類のものがあるのはご存じでしょうか?ひとつは1枚のブロックに数個の点が並ぶもの、もうひとつは数本の線が並ぶものです。この2種類を区別する意味で、点が並んでいる方を「点ブロック」、線が並んでいる方を「線ブロック」と呼ぶこともあります。点の数や線の数はJIS規格で決められています。
「点ブロック」はホームの端などに敷かれていることからも分かるように警告を表しています。ここから先は危険なので止まってね、ということです。それに対して「線ブロック」は進む方向を示しています。この方向にたどって行くと目的地に着くよ、ということです。
↑点ブロック(止まれ、という警告)
↑線ブロック(進む方向を示す)
このように便利な点字ブロックですが、真上に足を乗せて歩くとやはり凸凹しすぎて歩きにくいものです。なので、歩行訓練などの際には片足を乗せて確認しながら歩くのがよいという指導がなされたりもします。また、少し見えている人の場合は、文字通り目印として横目に観ながら歩く方が安心だったりもします。
ですので、街で点字ブロックの横を歩いている視覚障害者を見かけても「もっと右(左)…」などと点字ブロックの真上に無理に誘導していただかなくても大丈夫。もしも、どんどん外れて行きそうになっていたり、分かれ道で迷っていそうなときには声をかけていただけると助かります。
※栗まんじゅう「幸せの黄色い道」は、こんなお饅頭。こちらからご覧いただけます。