テレビを見て記事を書くライター。
まさかね。まさか、テレビを見て、そいつを適当に要約して記事を書くような仕事がライターの仕事になるなんてね。驚きでございます。しかも、そこそこ稼げるらしい。というか、取材に行って、じっくり話を聞いて、編集方針に合わせてあれこれ気を遣いながら指定されたワード数通りに仕上げる。そこまでする従来のライターの仕事よりも、よっぽど稼げるらしい。
いやはや、恐ろしい時代になったもんであります。びっくりした。驚いた。なんだか泣きそうだ。
僕はエディトリアルではなく、広告制作からキャリアがスタートしたので、コピーライターという肩書きで仕事をしている。でも、クライアントと打ち合わせをして、コンセプトを練って、取材を重ねて、文章を仕上げる、という手間は変わらない。ライターにしても、コピーライターにしても、テレビ番組のように、誰かが作ったものを要約して仕事にするような、そんな職種ではなかったはずです。リーダーズダイジェストにだってちゃんと記事の真贋を確かめるプロセスがあったんだぜ、ほんとに。
これもやっぱり、SNSとか、ネットでの情報収集が主流になって、しかも、個人からものすごく小さな世界へと発信しているつもりだから、できることなんでしょうね。
いくらなんでも、自分がテレビから情報収集して、ちょっとした刺激的なフレーズを大きく取り扱って、読む人たちに緊張を与えるなんて仕事が生業になるなんて、十年前までは誰も思ってなかったはず。たぶん。きっと。
ダウンタウンの松本がテレビで、「ええ~!それはないわ」と笑いながら叫ぶと、数時間後には「松本人志、女子アナに『それはない!』と怒りあらわに」なんてタイトルが付いてネットニュースのランキングに登場する。どう見たって怒ってないシチュエーションを捉えて、あえて挑発的なタイトルを持ってくる。しかもそれが、ただただページビューを稼ぐための手段だなんて、なんと恥知らずな。
なんか、こういう仕事って、料金も発生して成立してるんだろうけど、個人的には仕事として成立していないんだと思う。たまたま、あだ花のように咲いてる仕事かもしれんけど、人として目をつむっちゃいけないことって、あると思うんですよね。で、こういう行為は僕の中では明らかに、自分のなかで「まあ、とりあえず今はいいか」と、ルールを緩めちゃいけない行為だと思うんですよね。
こういうのは死んでもやらないぞ、と思っているんですが、若い人でライターを目指す人なんかは、うかつに手を染めちゃうかもなあと思うと、なかなか怖いですね。で、一回手を染めると、なかなか抜けられない気もします。だって、絶対楽だし、それで食えるなら他のいろんなややこしいことも覚えなくてもいいんだもん。
少し前に問題になったDeNAの「まとめサイト」。若いライターたちを集めて、低いギャランティでコピーペーストのオンパレードで作らせていたって話がありましたよね。あれにしても、トップから見れば、末端の些細なミスってことになるのかもしれませんが、あれを「ライターのモラルの問題」で片付けられる経営陣がいる会社って、やっぱり悪い会社なんじゃないかと思ってしまいます。
というか、ライターという仕事がびっくりするほどお手軽に思われているんでしょうね。こういう仕事って、たぶん、Googleの「世界中のテキストをスキャンしてやるぜ計画」が完了した時点で人間の仕事ではなくなるのかもしれません。
僕はエディトリアルのライターではなく、広告のコピーライターとして仕事を始めましたが、状況的には似たような部分も多々あります。あるけど、やっぱり最期のプライドだけはきちんと持っておかないと、生きていけませんからね。
ようし、頑張るぞ!
そして、やせ我慢もしてやるぞ!
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
ネコのマロンとは?→★
「ネコのマロン」販売サイト
https://store.line.me/stickershop/product/1150262/ja
クリエイターズスタンプのところで、検索した方がはやいかも。
そして、こちらが「ネコのマロン、参院選に立つ。」のサイト
http://www.isana-ad.com/maron/pc/
植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。
okosama
そや!uematsuさん、頑張ってや!
uematsu Post author
okosamaさん
頑張りまっせ!お金は欲しいけど(笑)。
やせ我慢でも頑張ります!(きっぱり!)
はしーば
「やせ我慢」今の若い人、する事自体が少なそう。
せめておっちゃんやらおばちゃんは、やせ我慢文化の灯を消したらアカンかもしれませんね。
uematsu Post author
はしーばさん
最近、「そんなん仕事ちゃうわ!」という仕事が増えてますねえ。
「でも、ビジネスモデルとして成立してますから」とかなんとかいう奴が、ワシは大嫌いじゃ!ハアハア。
というわけで、頑張りましょう、みなさん。