『花戦さ』と都議会議員選挙。
『花戦さ』という映画を観た。池坊某が生け花で、暴君と化した豊臣秀吉をぎゃふんと言わせるというエンタテインメント時代劇である。
映画自体はとてもよくできていて、千利休が茶の道を芸術の域にまで高めていくことの孤高や、それに対する秀吉のいらだちなど、それぞれがしっかりと破綻なく描けていて面白い。
もちろん、ラスト近く、映画のポスターにあるように、秀吉が生け花にギャフンと言わされる場面にはカタルシスもあり、ちゃんと一本の映画を観たという満足感もある。
しかし、これは僕自身の問題だと思うのだが、いつもはこの手の映画に「そうだ、最後は芸術が勝つんだぜ」と拍手をおくるのだが、今回はどうしてもそうは思えなかったのである。
生け花で暴君に勝てるか、という問いに、「絶対に負ける」と僕が言うのだ。「芸術が勝つんだぜ」と思うとしている僕に、別の僕が「いやいや、そんな甘くないことはお前が一番知っとるだろうが」と言うのである。
そうなんだよなあ。理想と現実は違う、ということをあまりにも数多く見せつけられてきたからだろうか。五十代も半ばになって、やっと本当の大人になったのだろうか。
翌日、都議会選挙があり夜には都民ファーストの圧勝が伝えられた。このときに、僕は映画『花戦さ』を観たときと同じ既視感に包まれたのだった。以前にもこんな感覚に襲われたことがある。社会民主党が政権をとったとき、日本新党が政権をとったとき、民主党が政権ととったときにも、同じように感じ、そして、そのすべてが裏切られた。
都民ファーストが勝ったと言っても、勝った議員たちは顔も見えない、都民ファーストブランドの議員たちに過ぎない。きっと、彼らは、いま問題を数多く起こしている自民党の二期目の若手たちと同じようにいろんな問題を起こすことだろう。そんなふうに思ってしまう。
夏が来る。新しい夏が来る。きっと、今までと同じような過ちを繰り返す夏が来る。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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