「心を鬼に」すべきなのか。正否わからぬまま、撤退する。(犬のことです)
スーが「犬の幼稚園」に通いはじめた先々週の水曜日、お迎えのバンは午前7時半ごろに来るというので、まだ暗いうちから準備をはじめました。
いよいよお迎えのとき。バンの奥のほうにある横向きのバリケン(移動用ケージ)に入れるよう指示されるのですが、予期せぬ状況に、スーは暴れ馬のように飛び跳ね、水揚げされたブリのようにのたうちまわってまったく入ってくれません。
しかしなんで、こんなに奥?しかも、なんで横向き?恐怖のあまり、わけがわからなくなっているスーを抑えつけながら「もっと入れやすいところに入れさせてください!初めてなんで!それにこんなに恐怖からはじめるなんて間違ってませんか?」と悲痛な叫びをあげてしまいました。冷たい視線を感じます。
それでも、なんとかスーを格納して車は出て行きました。帰ってきたのは、およそ12時間後。「いい子でしたよ」とほめられたわたしは、たちまち有頂天になり、「そうか。トレーナーさんもいい人だな。お願いしてよかった!」と思いなおし、先週も暴れ狂うスーを強引に格納して送り出したのです。
その翌日からです。スーは、もう、その道を決して通りたがらなくなりました。似た感じのバンを見ると、それがどこであろうと理性を失い、尻尾を巻いて逃げだそうとします(脱兎の勢い)。お迎えのトレーナーさんと似たウィンドブレーカーにも敏感に反応し、違う人物だとわかるまでテコでも動きません。
あああ。次回がユーウツだ。幼稚園に行くときには、いくつかのサインがあるのです。まずひとつは、ハーネスではなくて首輪をつけること。いつもと違う時間に外に出ること。次回、スーはこの小さな違いをかぎつけ、間違いなく事態を察知し、家を出る段階で暴れ狂うに違いありません。
それをどうやって抑えつけようか。どうやって、だまくらかして車内に格納しようか。
頭のなかでいろいろシミュレーションしても名案は浮かびません。大人しく上機嫌に幼稚園に行こうとしないスーが憎い。お前なんて嫌いだ。犬なんて飼うんじゃなかった。あー。ほんとにどうやって通わせよう。
…あれ?
なんか、わたし、おかしくなってないか?これといって問題のある犬じゃないスー。穏やかで甘えん坊のスー。留守番も上手になってきたスー。なにを、こんなに焦って「抑えつける」だの「だまくらかす」だの考えているんだろう。
理由のひとつは、「これから一人で犬を育てるので、万が一のときの預け先を確保しておかねばならない」という使命感と責任感です。
もう一つは、幼稚園のトレーナーさんの「おかあさん(わたし)が、気にしすぎ」「ほら、もっと、首輪をガッとつかんで抱いて乗せる!」というような言葉の端々に表れる、飼い主であるわたしへの厳しい視線。決して悪い人じゃないだけに、その期待に応えたいような、「たくましい飼い主」へと成長したいような、神経質じゃないってところを見せたいような、そんな気分にもなっていたのです。紹介してくれた人に悪いとも感じていました。
「幼稚園、行かすのやめようかな」そう思った瞬間、自分でも驚くほど肩の荷が下りました。そうだ。もう一度、はじめに戻ろう。犬を慣らすときは、スモールステップで、じゃないか。インターフォンにも、掃除機にも、人にも、そうやって慣らしてきたじゃないか。なんで、いきなりここで強引に、力任せにやるんだ!?信頼関係、崩れるぞ。
「こんなに怖がらせて大丈夫でしょうか」「もっと楽しく車に乗る方法を考えられないでしょうか」…小さな不安をいっしょに考えてもらえない(もらえなさそうな雰囲気)に飲まれて(本当にそうかはわからないけど、本当のような気がする)、こちらが合わすことばかり考えていたんですね。
「心を鬼にして」あと少しがんばれば、「いつでも預けられる場所」が見つかるというバラ色の未来が待っているのかもしれません。あー。わかんない。でも、撤退しよう。いまが、つらいから。
わたしは、万事、「小さな不安」に耳を傾けてもらえないのはダメだ、と改めて知りました。犬のこともしかり。人のこともしかり。なんでもしかり。「そんなの気にしすぎ!」という言葉ほど、わたしを抑圧するものはないのです。
スーの預け先は、時間をかけてゆっくり探すことにします。多少の留守番は耐えろよ、スー。
オバフォーは、今週もコツコツとほぼ毎日更新します。今日は、視覚障がいのあるKEIKOさんの記事(「PCの前で自分に拍手!」https://dosuru40.com/category/keiko-dekoboko/ )が公開されています。この行動力、解決力!すごいです。元気が出ますよ。ぜひ、お読みください。
火曜日は、SHOJIさんの「OIRAKUのアニメ」。次は、どんなアニメが登場するかお楽しみに。「いどばた」のお題は、甘くて辛い食べ物について語りませんか?コメントお待ちしています!
Kay
心を鬼にする必要は全くないと思います。
自立させること、社会の中でやっていけるようにすることが、子育てのゴールですが、犬は家族と仲良くやっていければ、取りあえず飯野ではないでしょうか。
震災とか家庭内でも何かあった時のために、社会性が身についていることは大切ですが、それは出来てるみたいだし。
住んでいるところが離れているので参考になるかわかりませんが、家の方では一般的な家で放し飼いで預かってくれるところがあって、そこに預けています。
もちろん資格もお持ちです。
ペットの命も自分一人の責任と思うことは大変でしょうけど、無理しなくても、なんかあっても何とかなると思います。
小さな子供も頑張って手伝ってくれるように。
無責任ですいません。