ぜんぶ自分のなかにある。
土曜日の朝に放送されている『サワコの朝』という番組が好きでよく見ている。阿川佐和子がホストとなって、芸能人や作家、時には科学者など幅広い分野の人たちと対談する番組だ。以前はこういう対談番組がたくさんあったような気がするのだが、最近は少ない。あったとしても、対談番組という趣向ではなくゲストを呼んでネタをやらせたり、みんなで遊んだりという内容になってしまう。おそらく、阿川佐和子のようにちょうどいい立ち位置で、穏やかにそして抑揚をつけて相手の話を聞ける人が少なくなっているのかもしれない。
その『サワコの朝』に女優の奈良岡朋子が出演していた。90歳になった名女優は、かくしゃくとしていて発せられる言葉のすべてが名言のようだった。中でも「演じるときに気を付けていたことは」という質問に対する答えが素晴らしかった。
彼女は『太陽にほえろ!』で石原裕次郎のピンチヒッターとして短期間、ボス役をやったことがあるのだが、「警察の役をやるときにでも、自分の中には犯罪者も差別主義者もいるんだ、という気持ちで演じていました」というのである。もちろん、役者なのだから、いろんな人物を自分の中に置くことはあるのだろうが、一つの役をやりながら同時に様々な人格があるはずだと思うというあり方はとても面白いと思えたのだった。
自分で何かを書くときにも、学生と映画を一緒に考えるときも決して一つの考え方に偏らないようにとは考える。しかし、奈良岡朋子が言っていることはそこから少し踏み出したもののように感じるのだった。
善悪や好き嫌い、人の気持ちの裏表を想定して取り組むということなのではなく、すべてを受け入れ身につけてからしか表現できないことがある、と言ってるように思えてならなかった。それは、ものすごく端的に言えば、演じることをなめるな、ということなのかもしれない。
それにしても、すごい人だなあ、と改めて思うのだった。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。サイト:オフィス★イサナ
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kokomo
演劇経験もないし、特に観劇が趣味ということもないのですが、俳優さんたちは何を考えながら演じているんだろうということがなぜか最近気になり始めました。
奈良岡さんのお答えは私の想像をはるかに超えていました。「太陽に吠えろ」のころだと、奈良岡さんは40歳そこそこというような年齢でしょうか?すごい女優さんですね。
uematsu Post author
kokomoさん
僕もテレビを見ながら、
すごいこという人だなあ、と驚きました。
でも、そんな凄みのようなものが、
あの時代の役者さんには
あったような気がしますね。