バスのなかであれやこれや。
バスが割と好きなのである。わざわざ乗りたいとは思わないけれど、乗ったら乗ったでぼんやりと乗りたい。で、乗るなら長めに乗りたい。歩いて15分のところをバスに乗るくらいなら歩いたほうがいい。乗るなら30分以上、なんなら1時間くらいぼんやりバスに揺られていたい。それも、路線バス。まあ、乗るなら1時間くらいがちょうどいいかな。それ以上になるとバス旅行になってしまう。暮らしの中で、ちょっと用事があって、そこがバスでないといけないところで、40分ほどバスに揺られる。そんなのが理想である。
そのくらいの長さがあると、ちょっと本を読んで、ちょっとウトウトしてという時間が楽しめる。あ、もちろん、座席に座れるのが大前提。ちゃんと席に座って、しばらくの間は文庫本かなんか読んで。「ああ、バスは揺れるから本を読むと目が疲れるね」なんて思いながら文庫本を閉じて、ちょっと窓に頭を預けて目をつぶってみる。すると、バスの揺れで痛いくらいに頭がゴツゴツ当たって、眠るに眠れない。てな感じが好きなのである。ちょっと、アホっぽいけれども。
今日もそんな感じでバスに乗ったのだけれど、なんとなく、ああ、そうかそれでバスが「割と好き」なのか、と思い至ったのだった。たぶん僕はバスの雑な感じが好きなのだと思う。電車ほど時間が正確でもないし、乗り心地も運転手によって全然違う。乗客も年寄りが多めで、話す声もでかい。決して快適とは言えないところがバスの魅力だ。
で、今日、一番の魅力に気付いたのだった。それは降車ボタン。ワンマン運転のバスは、降車ボタンを自分で押して停めるなんて、なかなかに面白い。出来れば、誰かに押されるよりも自分で押したい。押したいけれど、子どもじゃないので我先に押すのはためらわれる。しばらく様子をみて、「あれ、誰も押さないのですか。じゃあ、僕が押そうかな」というタイミングで自分で押したいのだ。しかし、いつもいつもそんなタイミングでボタンを押せるわけじゃない。まあ、だからこそ、押せると嬉しいだけれども。
ということで、楽しいのだけれどちょっと邪魔くさい、そんなバスが割と好きなのである。
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
ネコのマロンとは?→★
「ネコのマロン」販売サイト
https://store.line.me/stickershop/product/1150262/ja
クリエイターズスタンプのところで、検索した方がはやいかも。
植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。
かおるん
植松さんの連載、楽しみにしています!
バス、めったに乗らないんですが、私も降車ボタン押したいチーム!
しかも植松さんほど遠慮しないで、むしろ誰よりも早く押したい。
大人になれば、押したくなくなるんだと思ってましたが、違った。
仲間がいてうれしいです。
uematsu Post author
かおるんさん
そうなんですっ!
大人になればなくなるんだと思っていたことで、
意外にそのまんまなことって多いですよね。
こんなにも人生が不安だらけなのは、まだまだ若いからだ!
と思っていたのにいい歳のおじさんになったのにまだまだ不安だらけだし、
誰かを羨んだり、嫉んだりするのも、歳をとれば落ち着いていくはず!
と思っていたのに、なんだかそんなことはない気配だし。
でも、楽しいことで子どものころと変わらないのは、
むしろ喜ばしいことかもしれません(笑)。
僕もたまに誰よりも早めに押してやろうと狙うときがあります(笑)。
きゃらめる
以前は最寄り駅まで車か自転車でしたが、
赤字路線バスがなくなると高齢化著しい街の大問題なので、路線バスの利用が増えました。
しれっとした顔で、いち早く押したい派です。
でも押し負けてばかり。
ただ、手前のバス停の最寄りがマンションなので大勢降りる。あんなに乗ってたのにマンションすぎると私ひとり、なんて事が、半年に一度くらいあります。もう有頂天!降車ボタン押せるだけでなんでこんなに興奮すんねん(笑)
uematsu Post author
きゃらめるさん
どっと人が降りていくバス停ってありますね。
あと、ここで降りる人はいったいどこへ行くのだろうって言うくらい周囲に何にもないバス停とか、すごい気になります。
あ、それか僕は「どうせ誰かが押すのさ。僕は押し負けるのさ」と思っているうちに、降りるバス停を通り過ぎたことが何度かあります。
寝てないのに。起きてるのに(笑)。