みんな、ちゃんとしてるのだ。
時々、どうすればいいのかわからなくなる。なんて書き出すと、まるで若いシンガーソングライターの書く、薄っぺらい歌詞のようだが、いやそれと同じくらいに本気でどうすればいいのさ!と叫びたくなることが未だにあるのだ。もう来年還暦だというのに。
若い頃は、こんなふうに悩むのも若いうちだけさ、なんて思いつつ流してきた感じがするのだけれど、もうすっかり若いなんて言えなくなっているのに、いまだに同じくらいの強度でどうすりゃいいのかわからないのである。
例えば、僕は映画が好きで自分でも小さな作品を撮ったりするけれど、仕事ではあまり映像作品には関わらないようにしてきた。なにしろ、作りたい映像と儲かる映像は全然違うから。むしろ、僕が苦手な映像が仕事ではもてはやされていたりする。でも、自分で作っておいて、「いやまあ、好きで作ってるんじゃないんで」なんて言うのも嫌なので、それじゃあ一切関わらなければいいじゃないか、と思ってきたのだ。
しかし、ここしばらく必要があって、というか背に腹は代えられなくなって、ちょっとばかり受けを狙ってビジネスとしての映像を作っている。最初は、苦手だけれどもウケる映像に徹しよう、そうすれば心も痛まないだろう程度に考えていたのだが、これがもうどんどん自分が出てくる。嫌いだと思っていたカットとカットの間に、自分の匂いがプンプンする大好きなカットが交ざってしまう。なんなら、苦手なカットの中に自分が色濃く見えてくる。
もう、最初は身も心もねじ切れそうだった。しかし、そんな話をコピーライターの先輩に話すと「みんな好きなこと言うからねえ。自分勝手にやればいいんだ」と言うし、卒業生と話していると「先生!そんな子どもみたいなこといってると、お金にならないじゃないですか」と叱られる始末。
そういえば、僕がこういうややこしい考え方をするようになったのは、映画の恩師から「お前が仕事で作ったというプロモーションビデオを見たけど、なんか、コピーライターが作りそうなムービーだねえ」と嫌みったらしく言われたのがトラウマになったのであった。しかし、その恩師だって、尖った作品を作っては、資金稼ぎにカラオケビデオをヘラヘラ笑いながら撮影してたっけなあ、と思い出した。
というわけで、みんながちゃんとしてきたことを今頃になってやり出した来年還暦のおっさんです。ほんと、生まれてすみません。
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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okosama
uematsuさん、こんにちは
うわー。映画の恩師のお言葉は、今風にいえば「のろい」ですね!
uematsu Post author
okosamaさん
そうなんです。
もう、呪いの言葉です。
でもなあ、心の底で自分でもそう思ってたんでしょうね。