介護者の謙遜:ポテトチップス
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、現在私は、父と二人で暮らしています。
85歳の父は、初期の認知症で、足腰が弱っており、介護認定は要介護2となっています。
「初期の」と書きましたが、一応、認知症によってどの程度日常生活の自立が障害されているかを表すこのような指標があります。
※ウェブサイト 『看護roo!』より
この表を眺めてみると、父は「誰かが注意していれば自立可能」のようであり、でも「着替えができない」「排泄に失敗する」こともある。1人暮らしはどう考えても無理です。
となるとⅢaに近くて、初期よりは更に症状が進んだ状態なのかもしれません。
先日、妹に車で来てもらって父を皮膚科に連れて行きました。病院に到着すると、駐車場はほぼ満車。外から見ても待合室に人が溢れているのが分かります。認知症を発症してからというもの、父は堪え性がなくなり、「待つ」ということができなくなってしまいました。「これは無理だ」と判断した私たちは、午後に出直そうと父をまた車に乗せて家へと向かったのですが…。少し走ったところで、父が「あのお寺の前の通りにも皮膚科があるじゃないか」と言い出しました。私たちが住む町に皮膚科は一つしかありません。そう言っても、父は「いや、あるよ」と言います。お寺の通りではないけれど、その先には新しくできた耳鼻科があるので、「お寺の通りをまっすぐ行くとあるのは耳鼻科よ」と言うと「そうだよ」。「お父さんが行かなきゃならないのは皮膚科よ」と言っても「そうだよ」。一体、何を理解していて何を理解できていないのかがわかりません。そのうち、「俺があるって言ったらあるんだよ!」と苛立ち始めました。妹が「じゃあ道案内してよ」と言うと、そこを右、あそこを左、と指図して、訳の分からない道を走らせた後、何のために走っているのか忘れてしまったのか何も言わなくなり、私たちは家に帰りました。
最近の父は一事が万事こんな調子です。全く筋の通っていない話をしては、こちらが理解できないと怒り出す。これはレベルⅢの「意思疎通の困難さ」になるのかもしれません。
とはいえ、不思議なことに、介護をしている人間はどうしても他の人と比べてしまい「もっと大変な人はたくさんいるだろし、そう考えたらウチなんてまだまだ「初期」なんだろうなぁ」と考えてしまいがちなのです。
そう、介護する人って妙に「謙遜」しがち。
この不思議な謙遜が、介護する人を苦しくさせてしまう要因のひとつであることは明白なのですが(実際、カイゴデトックスの場では「でも、もっと大変な方がたくさんいますから」と言ってご自分の黒い気持ちを封じ込めようとする方も結構いた)、一体どうすればこの介護の謙遜から脱却することができるのか。
そんな辺りをみんなで考えるためには、そろそろカイゴデトックス・セカンドステージを始めなきゃいけないかなぁと思い始めています。
さて、今日ご紹介する一品は、食事のおかずになるわけでもなく、この酷い暑さの中であなたに揚げ物作りを強いるレシピでございます。皆さんの台所での安全を考えると、9月に入って暑さが落ち着いてから作ることをお勧めします。家で作った揚げたてポテチは最高ですよ。
ポテトチップス
- じゃがいもは皮をむいて、スライサーを使って薄くスライスします。
- スライスしたじゃがいもを水につけます。
これをちゃんとやることでポテトチップスがさっくりと揚がります。 - じゃがいもを水から上げ、ペーパータオルや清潔な布巾に広げてしっかりと水分を切ります。
- 深めのフライパンに油を2センチくらいの深さに入れて火にかけます。
- 油が170℃になったら火を中火にして、じゃがいもを揚げます。
一気にたくさん入れてしまいたくなりますが、そこは我慢。油の温度が下がってしまいます。
特に、じゃがいもの量が多い時は何度かに分けて揚げましょう。 - 揚がったものはバットに上げ、塩、好きなハーブ、ガーリックパウダーを振り掛けます。
揚げたて熱いうちに食べてください。食べ止まらなくなること請け合いです。
カイゴデトックスについては、セカンドステージとして「介護する人」から「介護される人」に移っていくことも意識した新しい何かをやってみたいなぁと考えています。
皆さんも、カイゴデトックスにこんなことをやって欲しいという事があれば、遠慮なくご連絡下さいね。
ミカスでした。
アメちゃん
ミカスさん、おはようございます。
私の母も軽度の認知症ですが、実家に帰省した時に
お隣のドラッグストアへ買い物に出掛けようとすると
「巻き寿司買ってきて!」って言うんです。
そこは食品も売ってるけど、巻き寿司やお惣菜の類は売ってないんですよ。
だから「隣は巻き寿司は売ってないよ」と言っても
「いやぁ……前行った時、巻き寿司見たよ」と言い張る。
通い慣れてたスーパーと混同してるんですね。
じゃ、あったら買ってくるわ・・と話を合わして誤魔化してました。
お父様の話を読みながら、思い出しました。
介護する人が謙遜しがちって、なんだかわかります。
私は、介護じゃなく、私自身のことで「助けて」と声をあげるのが苦手です。
以前臨床心理士の方の講座で、その先生(女性)から体を触られた時
なぜか涙がポロポロ流れて泣いてしまったんです。
そしたら何も知らない先生が「辛かったね」って言ってくださって。。
ちょうど母を東京の施設に入所するのに見送った直後で、
自分の仕事のことでも色々悩んでたから
私は平気なようで、いっぱい詰まってたんだなぁと思いました。
別の整体師の方も、体を触ってるうちに号泣するお客様が居るんだとか。
私は介護をほとんど経験せずですが(←こういうのもきっと『謙遜』)
介護している方がなんとか心と体を緩められるように・・と思います。
ミカス Post author
アメちゃんさん
ああ、お母さまの「思い込み」、うちの父と同じですね。
違うとどんなに説得したところで相手は認めないだろうし、そもそも認知症なのだから仕方がないじゃないかと思おうとするのですが、どうしてもイライラしてしまったり、「あー!!」と思ってしまいます。
「あったら買って来るわ」と話を合わせるアメちゃんさん、素晴らしい。
大人になると思いのこもった優しい手で触られることがあまりないので、思いがけなく触られると感情の堤防が決壊しますよね。私も、ヨガの最後に呼吸を整えるために仰向けに寝ていたら、先生がそっとおでこに触れてくれて、その瞬間じわっと涙が出てきたことがありました。
お仕事で色々悩んでいらっしゃる中、お母さまの入所を見送られたのですね。十分介護なさってますよ。お疲れ様です。
いつかお会いできることがあったら、「がんばったよねー」とお互いの背中をさすり合いましょう。
ぱろる
コメントしようしようと思っていたら、あっという間に1週間。
新しいブログがあがったのにびっくりしながら、遅ればせながらこちらにもお邪魔しますね。
認知症は、どこに症状が出るか、同じ等級でも人それぞれなのだなぁ…と、お父様のご様子を読んで思います。
義母は要介護4(アルツハイマー型認知症。歩行、食事、排泄、風呂、着替え等生活全般に介助必要。意思表示の発語ができない)で、愛妻家の義父が懸命に老々介護していたのですが、8月下旬、夫と私が帰省しているときに意識を失い救急搬送、硬膜下血腫で急性期病院に入院中です。
昨日病院から電話があり、リハビリを行っても意識の回復が見られないので、今後の転院先の施設を考えて下さい、と言われました。
ああ、こういうことってあっという間に進んでしまうんだなぁ…
近々、入院中の病院のソーシャルワーカーさん(義父と私で一度ご挨拶に行って、我が家の状況はお話済み)にお会いして、いろいろ決めなくっちゃだな…
日々の介護をしてこなかった分、私は謙遜しようもないのですが、待ったなしで決断しなければいけないことが一気に押し寄せてます。
ここでカイゴ★デトックスが始まった時、いつか行く道…とはいっても当事者じゃなかったので、読んだ先から忘れてくような状態でしたがm(__)m、それでも「否定しない」「非難しない」「美化しない」の三箇条はしっかり心に刻まれていきました。おかげで、割と冷静に夫や義父と話し合うことができていること、これまでの蓄積がありがたいなぁって思います。
そして、もうひとつお話したいことがあります。
今年、東京藝大の履修証明プログラムで「ケアのためにアートはなにができるか」について学んでいます。その中で、施設でケアに当たる人たちがネットワークを作り、情報交換をしながらよりよい介護を生み出していることを知りました。ああ、頼もしいなぁ…と思うとともに、「ケアの最前線は家族であり、孤立しがちなケアするひとたちをケアするカイゴ★デトックスって、ものすごく先駆的な取り組みなのだ」と気づかされました。介護渦中の同級生も「そんなのあるんだ、それいいね!」と。
私はやっとこさファーストステージですが、
.>セカンドステージとして「介護する人」から「介護される人」に移っていくことも意識した新しい何かをやってみたいなぁと考えています。
…とミカスさんご自身が書いていらっしゃったこともまた、とても必要となっていく視点だとひしひし感じています。日々足腰弱ってくしね、歯もメンテしないとあやしいし。
新たなスタート、お待ちしています!
まずは、カナダ、楽しんでいってきてください(^_-)-☆
ミカス Post author
ぱろるさん
お義母さま、大変ですね。そして、愛妻家でいらっしゃるというお義父さまも心配です。
介護って状況の変化によって「その先」を探して、決めて、手続して、という作業をしなければならないので本当に厄介です。
転院先を探すのもそう簡単ではありませんよね。
お義母さんが快適に過ごせて、お義父さんが安心できる転院先が、ひどく時間や労力がかからずに見つかることを祈っています。
デトックス、今はお休みをいただいていますが、やはり、介護する人と介護される人のどちらにもなり得る私たち世代のために動きを止めてはいけないなぁと思っています。
黒い気持ちを吐き出せて、持っている情報をシェア出来て、少しでも気持ちが明るくなることをそろそろ始めなくてはね。
お勉強されている内容、とても興味深いです。
「ケアのためにアートは何ができるか」いつかぜひお話を聞かせてください。
それにしても、皆さん前向きに新しいことに取り組んでいらっしゃる。とても刺激を受けます。
新たなスタート、もう少しお待ちください。少しでもパワーアップしたデトックスになればと思っています。
カナダ、少し先ですが、今から楽しみです。