【エピソード26】結婚にまつわるエトセトラ
さてさて、聞いた話を形に残すことを仕事にしている
「有限会社シリトリア」(→★)。
普通の人の、普通だけど、みんなに知ってほしい
エピソードをご紹介していきます。
今回は何人かの方から聞いた結婚にまつわるエピソードをご紹介。大正時代の見合いの話、昭和の初めの嫁入り道具、戦後間もない頃の結婚のご挨拶、そしてバブル期の豪華結婚式など、結婚の様子も時代を映して変わっていきます。
・大正時代のお見合いは…
明治29年(1896年)生まれのエイさんのお見合いの話です。
お見合いは、大正5年(1916年)夏、エイさんの家で行われました。
見合い相手のヒデオさんは同じ職場に勤める友人と二人で来宅。
当時のお見合いの型の通り、エイさんは数回、お茶を運びました。
お昼になっても帰らずエイさんのお父さんと話し込んでいるので、
昼食を出したら、それも食べて、ようやく帰りました。
結婚してからその時のことをエイさんがヒデオさんに聞くと
「嫁さんを紹介してくれないから、いつまでも座っていたんだ。
見合いに行って、見合いをしないで帰ってきてしまった。
お茶や食事を持ってきた娘はいたが、女中だと思ってろくに見なかった」
と失礼なことを!
エイさんは、「女中がちりめんの着物で出るもんですか!」と思ったそうです。
縁談は、お父さんがヒデオさんの人柄をすっかり気に入って、
めでたくまとまり、
63年間の長きにわたり、二人は仲睦まじく連れ添いました。
©Deskgram
・昭和初期、嫁入り道具に持たされたものは…
ユミさんの父方の大叔母であるヒサコさん(生きていたら100歳くらい)の話です。
ヒサコさんは近所の方の紹介で見合い結婚しました。
お相手は北関東の養蚕農家の長男坊ソウキチさん。
昭和14年(1939年)、ヒサコさんが20歳の時です。
ソウキチさんの家の辺りには川も湖も田んぼもなく、
周囲は一面の畑が広がっています。
農作業は江戸時代に開削された用水路の水に頼っていました。
水は貴重品です。大きな家の井戸まで水を汲みに行き、
重い桶を運んで家庭用に使っていたそうです。
水汲みは一般的に嫁の仕事。
ヒサコさんの両親はその重労働から娘を解放したいと考えました。
ソウキチさんちの庭に井戸を掘り、嫁入り道具としたのです。
井戸は長く家のみんなに愛され、
後年、ユミさんも、「おばちゃんの井戸」で手を洗ってから家に入るのが
決まりだったそうです。
・戦後間もない結婚の決め手は…
65年あまり前のこと、サナエさん(現在88歳)が結婚することになり、
お相手のお母さんがご挨拶にいらっしゃいました。
戦争は終わって数年経っていましたが、まだまだ日本は豊かではありません。
食糧事情もそれなりに厳しかった時代です。
手土産にいただいた箱を開けると、大きな卵がぎっしりと並んでいました。
それを見て、サナエさんのお母さんは「これなら大丈夫。
いい家にもらわれることになって良かった」と喜んだそうです。
昭和30年初め、卵をたくさん持ってこられるおうちはお大尽だった
というお話です。
©tenki.jp
・バブル時代の〝お嫁入り〟は…
ちょっと時代は下って、昭和50年代後半。
名古屋出身のヨウコさんは、実家から勧められたお見合いで、
大学卒業後すぐに結婚することに。
お相手は岐阜の出身。二人ともすでに東京暮らしでしたが、
なにせ実家は冠婚葬祭では絶対手を抜かない名古屋と岐阜。
結婚式はヨウコさんにとって想像を絶するハードな一日となりました。
早朝、まずは新郎の実家である岐阜に白無垢姿で出向きます。
ということは、お仕度は真夜中から始まっていました。
新郎のご親族への挨拶を済ませて、
その姿のまま、県をまたいで名古屋市内の式場へ。
披露宴では、色打掛け→着物→ドレス→着物と、
白無垢から数えて合計5回のお色直し。
お料理も引き出物も聞きしにまさる豪華さで、
列席した友人たちも驚くばかりでした。
東京で二人で始める結婚生活。
にもかかわらず、形はあくまで「嫁入り」。
早朝に白無垢で夫の実家に向かうという儀式がなにより
そのことを表していました。
長い一日を終え、無事、〝お嫁入り〟を果たしたヨウコさん。
クタクタながら、幸せいっぱいでした。
@かしいしょうAYA
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つまみ
ここ何年も、1話たりともまともに見ていなかった朝の連ドラですが、「まんぷく」は2回も見てしまっています。見ようとしているわけでもないのですが、生活環境(テレビがどこにあるか、とか)が変わるってそういうことかも。
今回の記事は、四者四様、それぞれ連ドラの導入になりそうなエピソードだと思います、しみじみ、ほのぼの、ちゃくちゃく、しゃかしゃか、イメージするオノマトペは違っても。
あれ、オノマトペの使い方、間違ってます?
夫の父母のなれそめも人の紹介ですが、初めて義父が義母の家にひとりで行ったとき、界隈を歩いても家が見つからなかったそうです。
諦めて、最後に、集落の入口の家に寄って、そこでわからなかったら帰ろうと思ったそうですが、その家がたまたま義母の親戚で、なんなく話が通じ、そのまま結婚の話も進んだそうなのですが、義父がその後言うには、最初に自分が界隈を回ったとき、なんかの木に登っている色の黒い若い女がいて、それが義母だったと。
義母はそれをまっこうから否定します。「あたしは色黒なんかじゃなかった」。
否定するのはそっち?
まゆぽ Post author
あはー。
コメントありがとうございます。
結婚って、どんな結婚にもエピソードありですねえ。
やっぱり人生ドラマの一つの山場なんでしょうか。
変なエピソードほど印象に残っていて、
しかも当事者の記憶の仕方が違ってたりして楽しいです。
「まんぷく」、私も観てます。
テレビ観てる時間が著しく減少している日々の中で
朝ごはん食べながら観ています。
福子ちゃんはかわいいけど、
母娘、3姉妹の似てなさっぷりがすごいなあ、と思いながら。
4つのお話をオノマトペで端的にまとめてくれてうれしいわ。
仕事で「ビジネスシーンでオノマトペを上手に使う講座」を提案して
ボツになったとこでした。