『聖の青春』を観て、自分の青春を振り返る。
映画『聖の青春』を観た。29歳で急逝した棋士・村山聖を主人公とした映画である。天才・羽生が恐れた男として漫画にもなり、映画化もされるほどだから、切羽詰まったまさに死闘とも言える彼の生き様は多くの人の心に迫る、一つのヒリヒリするほどの感動を与える青春なのだろうと思う。僕も羽生との対戦シーンで思わず息を飲んで見入ってしまった。
しかし、今回は『聖の青春』について書こうということではない。『聖の』の後についている青春についてだ。
『聖の青春』は29歳で亡くなったこともあり、まさに青春期の真ん中で亡くなったというイメージがある。そうなると『聖の青春』というタイトルにもなんの文句もない。ただ、個人的に言って、自分には青春と呼べるようなものがあったのか、と言うことなのである。
たとえば、学生時代に運動部に所属して、燃え尽きるまで打ち込んだのだ!とか、ひとつの研究に没頭して驚くような成果を上げたのだ、とか、ナンパしまくって数え切れないほどの異性と遊びまくったのだ、とか…。僕にはそういう覚えがない。
青春だったなあと振り返るような明確な期間がない。森田公一とトップギャランのように「青春時代が夢なんて、後からほのぼの思うもの」と思う時期に来ているはずなのに、ほのぼのと思うことがない。
正直、今まであまり考えたこともなかったのだけれど、というかたぶんあえて避けてきたのだろうけれど、青春という言葉がややこしいのは、はっきりとした定義もないくせに、なんとなくみんな青春という言葉から受け取るものが明確にあるということなんだろうと思う。
ほろ苦い恋愛や友情、そして、死ぬほど打ち込んだあれやこれや。その一つ一つが青春なのか、それとも複合体なのか、そんなことはわからないけれど、なんとなく「青春やなあ」とか「青春やったなあ」とか思える何かがあるわけで、そして、それがみんなの最大公約数として認知されているということなんだろうな、と思う。
そして、改めて、自分にそんな最大公約数に入るような、青春と呼べるような体験や出来事があったのかと言われると心の底から心許ないのである。
勉強はまったく打ち込めなかったし、映画が好きで映画の学校にも通ったが、『聖の青春』を青春だと言われてしまうと、打ち込んだなどとおくびにも出せないほどだ。
ああ、だからか。だから、いまだにあれもしたい、これもしたい、などと、中高生のように思うのか。若い頃に燃え尽きるような体験をしなかったからこそ、いまだに青臭いままなのか。ということはあれか? 気付かず、整理できないだけで、今もって青春が続いているということなのか。
それは辛いなあ。体力も落ちて集中力もなく、若気の至りであれこれ思い切って始められないとこに来ているのに、いまだに青春期が続いていると言われたら、余計に立ちゆかないじゃないか。
などと、『聖の青春』を見てから、一人、気持ちが右往左往しているのである。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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やまゆ
uematsuさん、こんにちは
その気持ち、私の場合は「朱夏」です
アラフィフとなった現在、さすがに青春は終わってると自覚があるけれど、朱夏はどうなの、はて?と
白秋にはまだ全然早いよね〜と思っているけど、今アタシ、真っ赤に燃えてるところなの〜?もう枯れてきてない!?…いやいや、まだまだ燃えなくては!?と妙に気持ちの焦るお年頃かも
青春と聞くとそのまま朱夏、白秋、玄冬…と連想して今の自分はどの辺りかと思ってしまいます
uematsu Post author
やまゆさん
なんだか、突然自分を俯瞰してしまうことってありますよね。
まあ、「人生折り返しなんてないんだ」と言われても平均寿命を半分にした年齢あたりになると「人生半分来た!」と思っちゃいますしね。
それよりも何よりも、若い頃より、徹夜もできなくなってるし、集中力だって確実に衰えてますから。
でも、若さゆえの無謀はなくても、おっさんゆえの遊び心はまだまだあるぞとあれこれ頑張ろうと思います(笑)。