黒川博行のせい。
直木賞を受賞した黒川博行の小説は面白い。彼の小説の舞台はほとんどが大阪で、やくざ、半グレ、やくざのような警察が右往左往する。
最新刊は疫病神シリーズの「泥濘(ぬかるみ)」。いつものイケイケ極道の桑原と、建設コンサルタントの二宮が主役である。
こいつらは、いつも自分の金のために動いているのだが、それがだんだんと世のため人のために動き始めるのである。しかし、最後までそれで突っ走るのかと言うと、そうでもない。最後の最後、やはり自分の金に執着し、結局、足下をすくわれる、というパターンが多い。
黒川博行の小説の魅力は、絶妙な関西弁である。イケイケなだけの会話ではなく、互いを慈しんだり、怪しんだり、傷をなめ合ったり。そのさじ加減が最高なのである。東京にいて、黒川博行を読んで一人ほくそ笑んでいると、なんだか心地よくなってしまい、「ああ、しばらく東京でもやっていける」と思ってしまったりする。
で、少し元気になって、言葉も少しイケイケになる。先日、大阪の学校で教えている時に、学生が少しなめた口をきいて、小馬鹿にしてきたので、思わず「君は、僕にゴロまくつもりか」と言ってしまった。幸いにして、学生が「ゴロまき」の意味を知らなかったので九死に一生を得たかたちだ。
もちろん、「ゴロまき」とは、ケンカのことで、「僕にケンカをふっかけているのか」という感じの意味合いだ。
ブルース・リーの映画をみると、「アチョー」と叫んでいたし、やくざ映画を見ると、肩で風を切っていた。自分で自分のことを相変わらずやなあと思ってしまう。
さすがに「ゴロまくつもりか」と言った時には自分で動揺した。しかし、これは僕のせいじゃない。黒川博行の小説が面白かったせいだ。ああ、くわばらくわばら。(あ、登場する極道が桑原だから、という意味ではなく)
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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ひろっくま
植松さん、こんにちは。
大学生の頃のレポートを思い出しました。
当時の私は椎名誠さんの小説やエッセイを毎日のように読んでいました。
特にエッセイの方の椎名さんの文体がそのままにレポートに表れてしまいました。
「〜〜なのである、いや、そうだそうなのだ」的な。
私は医療系出身なのですが、公衆衛生学の教授、すごく厳しくて
バッタンバッタンと学生を切り捨てており、
1度でレポートが通ることはほぼ無かったのです。
私は椎名誠節を炸裂させて、たったかたったったー!とレポートを書き上げて提出し、見事に突破したのでした。
後でその教授にこっそり「君のレポートはなかなか面白かった、
将来は文章を書けば良い。内容はともかく面白かったから通したんだ」
と言われました。
「ごろまくつもりか」・・・ふふふ、学生さん知らなくて良かったです。
その場にいたかったなあ。
私、何かの映画かテレビかを見た次の日の飲み会で、
男友だちに「なんや、眉毛つなげたるぞ!コラ」と言ってしまいました。
これはどうにも誤魔化せず、当時「お嬢」と呼ばれていたのが
「姐さん」に変わってしまいました。
okosama
uematsuさん、こんばんは
早速「疫病神」をよみました。で、映画を見たことがあるのに気付きました。佐々木蔵之介が桑原役で、めちゃくちゃ怖いひとでした。かなり原作のイメージに近いと思います。小説も映画も面白かったです。
uematsu Post author
okosamaさん
映画、僕も見ました。
面白かったですよね。
僕の桑原のイメージはもう少し恰幅のいい感じだったんですが、佐々木蔵之介もいい線いってました。
あのシリーズはどれも面白いので、ぜひ!
uematsu Post author
ひろっくまさん
いい先生ですね。
いまは、そういう先生がなかなか生き残りにくい時代かもしれません。
それにしても、「眉毛つなげたるぞ」はいいなあ。
ぜひ生で聞いてみたい。