去ってさっぱり、来てしあわせ。
いやまあ、驚いた。よその会社のことなら大笑いするのだけれど、自分の事務所でまさかメールを一本送りつけて辞めるような輩が現れるとは思わなかった。思わなかったけれど、驚愕するわけでもなく、ああ、なるほど、と思いつつ、慌てふためいてはいた。
しかし、そんな騒動も去って行き、残ったのは一緒にこの騒動に立ち会って「なんだあのガキ!」と一緒になって憤ってくれる仕事仲間たちだった。
結局まるまる十日間ほど収束にかかってしまったのだけれど、たぶん、こっちサイドの結束は強くなったという気がする。よかったよかった。いやもう、とりあえず、近場で歩いてるところをみたら、シャーッと猫のように威嚇してやるからな(笑)。
どっちにしても、そして人生は続く。続くけれど、別に不安はない。なぜだろう。もしかしたら、また同じようなことが起こる可能性だってあるのに不安が全くない。むしろ、どうなっていくんだろう、という希望のようなものが大きく広がっていく。
もしかしたら、僕はずっとこんな状態になるのを待ち望んでいたのかと、思うような心持ちだ。
振り返って、メール一本送って辞めてやろう、と思っていたであろう、君の気持ちを考察する。
自分は若い。これから何でもやれるという気持ちもある。今やっている仕事は、どうも自分のやるべき仕事とは思えない。歳が一番近かった先輩も(というほど、歳も近くないけれど)、つい最近会社に来なくなってしまったし、以前、私が嘘をついたことも社長夫妻だけではなく、取引先の人もみんな知ってしまっている。普段は忘れているけれど、ふとした弾みにそのことを思い出すと、いたたまれない気持ちになる。ああ、辞めたい。辞めさせて欲しい。でも、仕事を受けているので、急に辞めるわけにはいかない。いかないけれど、辞めたい。来週入稿の原稿がそこそこあるけれど、やっぱり限界だ。もう辞めよう。限界が来て壊れてしまうくらいなら、今辞めよう。辞めると直接会って言おうとすると、結局説得されてしまう。だからメールを書こう。そこそこそっちが悪いんだぜ、ということを書き綴って辞めよう。そうすりゃ、向こうも反省して、とやかく言ってこないだろう!
という気持ちで書かれたメールが送られてきたわけだが、もうはっきり言うけど、仕事を途中で投げ出したという時点で、言い訳のしようもない。
ああ、とりあえず良かった。何よりも仕事仲間たちのありがたい気持ちに感謝したい。そして、メールを書き綴って仕事を放棄した君の側に墜ちてしまわなくて良かった。
ということで、いまはただただ素直に幸せになりなよ、と思う。今回の一件を引き起こしたことで、きっと幸せへの道は確実に遠のいたはずだが、それでも頑張って幸せになりなよ、と思う。
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
ネコのマロンとは?→★
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クリエイターズスタンプのところで、検索した方がはやいかも。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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