優しさとか絆とか。
映画の学校で、学生が撮影した短い作品を見た。阪神大震災の慰霊祭の模様を撮影した作品だった。この作品の中で、モニュメントにある文字が映し出される。
震災が奪ったものとして「命」「団らん」「町並み」などが列挙され、その後、震災が残してくれたものとして「やさしさ」「思いやり」「絆」「仲間」と続く。
素直に「本当だろうか」と思ってしまう。阪神大震災から20年以上たった今、この言葉が真実だとは思えなくなってしまった。確かに、震災直後、僕たちは優しさや思いやりを実感する場面をいくつも見た。しかし、あれは、ただ呆然と立ちすくむしかない被害の前で、本能としてみんなが力を合わせていただけなのではないかと、僕には思えて仕方がない。
あれから、東北の大震災があり、熊本も地震に襲われ、中国地方は未曾有の水害に見舞われた。昨年は大阪でも大きな地震があった。
震災が、優しさや思いやりや絆や仲間を残してくれるなら、日本はもっといい国になってもいいような気がする。23年前よりもいい国になったと、23年前よりも優しい国になったと、誰が言えるだろう。
優しさがない、思いやりがない、ということではない。それは確かにある。震災直後、被災した友人が「地震で大変なことになったけれど、人の優しさを思い知ったわ」という言葉に嘘はない。けれど、それは自然発生的なものであり、その後のボランティアによる持続は、優しさや思いやりが、やがて消えゆくものであることを察しているからこそのものだ。
人は忘れる。けれど、あのとき、被災地に行った政治の冷たい仕打ちの数々は決して忘れてはいけないことばかりだ。それを、優しさとか思いやりという言葉で覆い尽くすことは不可能だ。だって、人が希望をもって生きていくことに寄り添うことこそ、政治の真の働きのはずなのだから。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。サイト:オフィス★イサナ
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