ロバート・レッドフォードが引退する。
恵比寿ガーデンシネマで『さらば愛しきアウトロー』を観た。ロバート・レッドフォードの引退作と言われている作品だ。ああ、ロバート・レッドフォードが引退するのか。
僕たちの世代にとって、ロバート・レッドフォードは一世代前のスターだ。アメリカンニューシネマの傑作と言われる『明日に向かって撃て』を観たのも高校生の頃のテレビ放送だし、リアルタイムで観た『コンドル』『ナチュラル』『愛と哀しみの果て』などのレッドフォードはすでにベテランの域に達していたように思う。
でも、僕はロバート・レッドフォードが好きだった。特に『コンドル』のレッドフォードがニューヨークの街でサンドイッチを買い、オフィスに向かって軽く走る姿がとても都会的だった。なんとなく特徴的な走り方で、ああ、ニューヨークの人はこんなふうに走るのか、と思い、中学生だった僕はその走り方を真似したりしていた。
ま、それはさておき。『さらば愛しきアウトロー』はいい映画だ。この映画は作品の時代背景であり1980年代の空気感を出すために、スーパー16ミリで撮影されたらしい。どうりで、昨今のデジタルビデオにはない粗い粒子の温かみを伝えてくれる。
ストーリーはいかにも、という感じ。
絶対に人を傷つけず、人を脅すこともなく、拳銃を持ってはいるが、一度も撃ったことのない銀行強盗をしわくちゃになったレッドフォードが演じている。被害に遭った銀行のスタッフがみんなが強盗であるレッドフォードを「紳士だった」と言う。なかには「いい人に見えた」と。
そんなレッドフォードの強盗仲間は、トム・ウェイツとダニー・グローヴァーという豪華な布陣。逃走の途中で知り合い、恋仲になる女がシシー・スペイセク。そして、レッドフォードたちを追う、刑事にケイシー・アフレックである。
このケイシー・アフレックがとてもいい。レッドフォード、シシー・スペイセクらが巧く手堅い演技で作品の地盤を固め、ケイシー・アフレックが自由である意味ゆるい演技で80年代を背景にした映画を、力技で現代に繋ぎ止めていく。
監督のデヴィッド・ロウリーは、ケイシー・アフレックを起用することにより、この作品を単なるロバート・レッドフォードの引退興行作品から、いま観るべき映画へと格上げしたような気がする。
ロバート・レッドフォードはしわくちゃになっているし、歩いている後ろ姿はお尻の肉も落ちて危なっかしい。それでも、やっぱりレッドフォードだ、と思うハンサムカットがグッとくる。これで本当に引退なんだろうか、とも思うが、これで引退だとしても、良い映画が出来たなあと思う。かつてレッドフォードが好きだった人にはぜひ観てほしい。観て損はしない映画だと思う。
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
ネコのマロンとは?→★
「ネコのマロン」販売サイト
https://store.line.me/stickershop/product/1150262/ja
クリエイターズスタンプのところで、検索した方がはやいかも。
そして、こちらが「ネコのマロン、参院選に立つ。」のサイト
http://www.isana-ad.com/maron/pc/
植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。サイト:オフィス★イサナ
★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。
masakobe
近頃は昼食後、BSプレミアムで映画を観(てしまう)るのが習慣になっています。古〜い映画とかもやってくれるので、エンドロールで往年のスターの名前を見ては「あぁ、あの人が〇〇か」と再確認するのも楽しみだっりします。ロバート・レッドフォードさんの出演率高し!ただ、洋画は特に、映画のタイトルにしても登場人物の名前にしても、だんだん覚えられなくなってきているので(汗)、どの映画を観てどの映画を観てないのか定かではありません・・・。
王道のハンサムさんだったレッドフォードも今では確かにしわくちゃ。お尻のお肉も危なっかしい、のですね(^^;)
引退かぁ・・・、お疲れ様でした。
uematsu Post author
masakobeさん
BSプレミアムはなかなか渋めの映画を見せてくれますよね。
僕もたまに録画して観ています。
僕が映画を見始めた頃、レッドフォードはすでにベテランというか、大御所。
『普通の人々』という初監督作品もデートで観に行きました。
アメリカの小さな家庭の崩壊と再生を描いて、良い映画だったなあ。
そんなレッドフォードの老いた姿を見るというのは、なんだか妙な気分ですが、
彼のように後進の育成に心血を注ぎ、
自身の作品も数多く作ってきた役者さんはなんだか最後まで見届けたい、という気持ちになります。
本当に、お疲れさまでした。
りかさん
私、レッドフォードっていうと
ブラピと出ているアレと、
おじさん二人で歩くロングトレイルだったかな、ソレが好きです。
昨日テレビをつけたらそのアレが放送されてて
「おおー久しぶりじゃんか」と見ていたのですが、
引退祭りだったんですね。
この世代の俳優さんが引退ってうたうのはどんな意味があるんでしょう?
監督になってくれたら楽しみ増えそうなんだけどな♪
そうだ、セリフが極端に少ないヨットの映画もありましたね!
うん、お尻が危なっかしくなってからの作品が好きみたいです私。
uematsu Post author
りかさん
思い出す作品がすべてノータイトル(笑)。
ブラピが出てるのは「リバー・ランズ・スルー・イット」ですね。
この世代の役者さんは、役者の名前で客が呼べる人が多かったので、やっぱりいまだにファンが多いんでしょうね。
それもあって、きちんと「引退しますわ。僕」と宣言する人も多いですね。
あと、「ハンサム」として名を馳せてきたので、「いやもう限界だよ」という自らの線引きもあるのかもしれめせん。
レッドフォードは、若い頃から監督作品も多いし、映画祭を主催して、若手の育成にも力を入れているので、まだまだそっちでは頑張ってくれそうですね。