ググッと出てくる。
先週、僕が手伝っている映画の学校の卒業制作の合評会が行われた。三日間で50本近い作品を立て続けに見るのでなかなか疲れる。しかも、発言の機会を与えられると限られた時間の中で、できるだけ的確な批評をしようとするので緊張感が半端ない。最後の一本を見終えた時には毎回ぐったりしてしまう。
今年も僕は個人制作のゼミを担当したので、学生一人一人としっかり向き合うことを心がけた。しかし、時間が限られていることもあり、また、相手の作品に対する熱量にも違いがあるので、毎年学生一人一人と個別に関わることになる。
そして、毎年卒業制作の納品が間近になってくると思うことがある。それは、「僕はこいつらのどこを見ていたんだろう」ということだ。こいつは、どうして真面目にできないんだろう、と思っていた学生が終盤に向けて急に集中力を発揮して、とても面白い作品を作ったり。逆に、こいつはいける、今年の優秀賞だ、と思っていた学生が急に失速して、とんでもなく凡庸な作品をつくってしまったり。
失速していく学生はまだいい。こちらは最初から注目できるので、途中で失速しても、くどいくらいに励ますことができるからだ。しかし、終盤、急に力を発揮する学生にはいつも不意を突かれる。そして、「すまん。気づけずに」と思うのである。今年もそんな学生がいた。もちろん、資質には気づいていたし、面白がってもいたのだが、ここまでできるのか、ということに気づいた時には納品日までのカウントダウンが迫っていた。それでも、必死でアドバイスをする。それを受けて作品が日に日によくなっていく。こうなると、もっとやって欲しい、もっと良くして欲しい、という気持ちが高まってくる。
おそらく、学生一人一人もそれぞれに思うところはあるだろう。しかし、こっちの思うところはなかなかに複雑だ。学生からすれば「もっとなにかできたはず」だけれど、こっちからすれば「あそこをこうすれば、きっともっと面白くなっていたのに」とより具体的なのである。だからこそ、悔しくて口惜しい。
これはもう、学校で教えることでも、仕事でも同じだ。途中からググッと出てくるやつに要注意である。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。サイト:オフィス★イサナ
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