母の自転車
実家の母はもう八十の半ばになった。あちこちが痛いと文句を言っていたのも収まって、最近は血色も良く元気が良い。幸い、ボケの兆候もなく自分の身の回りのことも自分でできる。
ただ、ひとつ心配なのは自転車で走り回ることだ。近所への買い物や友人に会ったりするときに、父がまだ生きていたころに購入した電動自転車であちらこちらに出かけていく。しかも、昔の人なので、買い物にいって安いものがあると、これでもかと言うほどに購入する。インスタントラーメンを一箱とか、大きなサラダオイルを3本とか買ってくる。
そんなにいらないと言うのだが、もうこれは癖のようなもので、たぶん直しようがない。それはいいのだけれど、やはり荷物が多くなると、どうしてもハンドルを取られたりすることを心配してしまう。それでなくても、最近は運転のあらい自転車や自動車が多いので、引っかけられたりしたら大変である。骨折でもして、そのまま寝込んでしまったらどうしようと思う。
けれど、だから「自転車に乗るな」といってしまうと、目に見えて弱っていくような気もして、言い出せずにいる。でもなあ、そのうち言わないとなあ。自動車のように、相手に怪我をさせることはないだろうけれど、自分が怪我をする格率は高いしなあ。
そういうことを考えていると、自分のことにいろいろ考えが及んでくる。いつまで、車の運転ができるのか。いつまで、ランニングができるのか。いつまで、映画なんてつくれるのか。そんなをついつい考えてしまう。
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。サイト:オフィス★イサナ
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Jane
タイトルを見ただけで、しみじみとしました。
私は「体力がついたらやろう」と先延ばしにしてきたことがありましたが、加齢のスピードにちょっとしたエクササイズの効果は永遠に追いつくことなく、体力は落ちる一方。
もう体力的にやるならラストチャンスじゃない?と思っているのに、コロナで制限。焦ってもしょうがないけど、心穏やかではありません。
uematsu Post author
Janeさん
コメントありがとうございます。
わかります。その気持ち。
デビッド・リンチの『ストレイト・ストーリー』と言う映画の中で、主人公のじいさんが若者に「歳をとって最悪なことは?」と聞かれて「若い時のことを覚えてることだ」と答えるシーンがあるんですが、そのセリフが少しずつ実感を持ってきました(泣)