なぜ、作らないのだろう。または、どうして卒業生が弱くなっていくのか、という考察。
僕が手伝っている映画の学校は専門学校なので、正直これからの時代を生き残るには創意工夫が必要だ。少子化のあおりで定員割れしている大学も多いので、行こうと思えば誰でも大学には入れる時代だ。高校の先生は進学率を上げるなら専門学校よりも大学に進んで欲しいだろう。親だって専門学校卒業よりも、大学卒業の方が有利だと思って当然だ。
だからこそ、うちだけでなく、専門学校は就職率100%を掲げる。就職率100%だからうちの学校に来てください!というのが目標ではなくスタートラインなのだ。芸術系の専門学校は基本、宣伝している内容は同じだ。「プロが教える」「プロの機材がある」「業界とのパイプがある」「卒業生が業界で活躍している」「就職率100%!」これらがスタートラインで、あとは体験入学などで、どれだけ手厚く高校生に対応するかで入学者数が決まってくる。
僕が手伝っている学校はそのあたりを抜かりなくやっていてなかなか見事だと思う。就職活動を手厚くフォローして、学校での作品制作などがあまり大きな負荷にならないように配慮する。そのおかげで入学者数も増えたりしている。
しかし、問題はその後で、優しくすると学生は甘えてくるし、学生を甘やかすことが教えるほうとしてもとても楽だから。でも、やっぱり「作品を作って生きていこうとするなら、作品を作らずに卒業するなんてありえない」ということをきちんと教えてあげないといけないと思う。
せっかく、「映画が作りたい」「ミュージックビデオが作りたい」「バラエティが作りたい」と思って入学してきた学生が、「学生の間は作らなくてもいいや」と投げやりになってしまうのを見ることほど、悲しいことはない。
そして、在学中に作品作りに必死に取り組んだ卒業生たちこそが、河瀬直美を始めとする、世界の人々から新作を待ちわびられている存在になっていることをきちんと教えてやらないといけないんだろうなあと思う。
もちろん、いまやらなくても、急にエンジンがかかるヤツだっている。でも、こっちが同じように放っておくのは違うんだろうなと思う。無視されても、裏切られても、「作らなきゃ」と言い続けようと思う。それが、僕らの仕事なんだなあと、つくづく思う。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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