ていねいなオンライン、雑な対面。
映画の学校で講師をしているのだが、ここしばらく御多分に洩れずコロナに翻弄されている。とは言え、僕たち非常勤講師は粛々と言われた通りに授業を進めるだけである。
で、言われた通りの授業がハイブリッド。なんのことはない、オンライと対面を同時に行うと言うやつだ。教室にいる学生には「はい、そこの〇〇さん、この作品について感想を発表してください」と感想を促し、オンライン参加の学生には「オンラインの人たちは、感想を授業のチャットに書き込んでください」と画面越しに伝える。
さて、ここで気づいたことがある。学生たちの対応がオンラインだけやたらていねいなのだ。普段、教室では「ええ〜、感想とか言うの苦手なんすよね〜。答えなくていいっすか」とか言ってる学生が、オンラインだと「かしこまりました。後ほど書き込みます」と返してくる。
これは、特定の学生の話ではなく、全体にその傾向が強い。メールもそうだ。対面で話していると「なんすか?いや、わかんないすよ」と、雑に返してくる学生がメールの文面は「承りました。本日中に返信させていただきます」とこちらがまるで量販店のクレーマー対応をされているかのような書き方だ。
ひとつは就活対策で文章は丁寧に書け、と言われていることがあるだろう。もうひとつは、対面だとわかってもらえるだろう、という甘えもあるような気がする。コロナ禍で精神的にまいっている学生も多いので、オンラインの学生を「サボっている」と決めつけるわけにはいかない。こちらは同じように対応することを心がけている。オンラインだけをていねいにしているわけではない。しかし、学生の側は、テキストでの反応になると、途端にバカ丁寧になるのだ。
個人的には、いつも通りでいいのに、と思う。普段が雑なら、オンラインも雑でいい。僕はそう思うのだが、逆に考えると、「いつも通り、普段の自分らしく文章を書く」と言うのは、ある意味、個人の実力というかある程度、才能が必要なことなのかもしれない。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。現在はコピーライターと大阪ビジュアルアーツ専門学校の講師をしています。東京と大阪を行ったり来たりする生活を楽しんでいます。
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