企画力と提案力
教育の現場では「企画が大切だ」と、みんなが言い出しいる。長く広告関係の世界で仕事をしてきたので、「企画とプレゼンを教える授業を」と頼まれることもある。けれど、ほとんどの場合、担当者は企画のことなんて考えていない。考えているのは就活に役立つプレゼンテーションの仕方のことだ。
だいたい、今の教育の現場に本気で学生たちの企画力を鍛えてやりたいと考えている先生たちがどれだけいるというのだろう。だから、学生たちにインカムをつけさせて、両手を広げて、まるでスティーブ・ジョブズのような仕草をほめる。これはまるで、流行りの高校ダンス部が先生に褒めてもらいたいばかりに、先生の決めた振り付けを必死で覚えているだけじゃないかという気がする。
でもなあ、その方が授業が進めやすいもんなあ。何をやるのか、どうするのか、というところから学生たちに考えさせるのが一番いいと思うのだが、そうするとだいたい物事が進まず、仲間割れをしたり、話し合いそのものを放棄してしまったりする。そして、やる気がありそうな子にだけ目をかけて(東京では手をかける、と言うらしい)、その子を中心になんとか企画を回そうとしてしまう。でも、それで潰れる学生が多いんですよね。プレッシャーに負けて。
だからこそ、じっくりと企画力をそれぞれに培ってあげないといけないんだと思う。誰もがスティーブ・ジョブズみたいに、インカム付けてプレゼンするなんて、気持ち悪いじゃないか。口下手でもいい。でも、誠実に自分の考えを丁寧に伝えられさえすればそれでいい。
えっと、自分への反省も込めて、来期も学校で教えるなら、提案力よりも企画力、という方針で走りたいと思います。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。現在はコピーライターと大阪ビジュアルアーツ専門学校の講師をしています。東京と大阪を行ったり来たりする生活を楽しんでいます。
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