じゃりン子チエを見る。
『じゃりン子チエ』が好きなのである。アクションに連載されている時から単行本を買い続け、テレビアニメももう大人だったのに見ていたのである。もちろん、連載も終わり、アニメの再放送もされなくなって、ながらく離れていたのだけれど、最近、文庫版が新装発売されていて再び読み出したら、やっぱり面白い。で、漫画が面白いので、またアニメが見たくなって『じゃりン子チエ』を配信しているサービスにまで加入してしまった。
博打をするオヤジだの、すぐに殴る喧嘩だの、今の放送コードだときっと地上波では放送できない部分が山ほどあるんだろうなあ、と思うのだが、このアニメが放送できないテレビなんて滅んでしまえばいいのに、とさえ思う。
いや、そんなことは置いておいて、『じゃりン子チエ』である。本当に面白い。そして、本当によくできている。そして、泣ける。なんとなく、ふとチエちゃんが呟くセリフや、おばあが吐くセリフに泣けてくる。アホなテツさえ、時々泣かせるようなことを言う。
僕が特に好きなのは、前にも書いた気がするのだが、おばあとチエが屋台で確かうどんか何かを食べている場面。おばあが孫であるチエに言うのだ。「ちゃんと食べるんやで。食べたらなんとかなるんや」と。するとチエが「食べたらなんとかなるの?」と問い返す。この時のおばあのセリフがふるっている。「そや、ひもじい、寒い、死にたい。不幸はこの順番にやってくるんや。そやから、とりあえずなんぞ食べてたらなんとかなるんや」と言うのである。
それを聞いていた、屋台のオヤジが「そや、その通りや、わしももう一回頑張ろう」と気持ちを立て直すのもいい。この場面を見ているだけで、『じゃりン子チエ』の良さがわかってもらえるはず。ぜひ、みなさんも『じゃりン子チエ』をもう一回、ご覧あれ。
みたいなことを書くときは、だいたい僕が弱っているときで、だいたい自分が『じゃりン子チエ』に励まされている時なのだが、今回もたぶんそうなのである。知らず知らず、弱っているのだ。夏の暑さにやられ、やる気のない学生にやられ、慣れない仕事にやられているのである。しかし、不幸なのかと聞かれると、そうでもないというのが不思議なところ。近頃の僕は慣れない仕事や思い通りにならないことに振り回され気味で、かなりお疲れモードなのではあるけれど、不幸な感じは微塵もないのである。
おそらく、それはチエちゃんが「うちは日本一不幸な少女や」と言いつつ笑っているあの感じに近いのかもしれない。「コピーは書けるけど、コピーライターという仕事が好きなのかというと、そうでもないねんで」という感じが、「ああ、今日もホルモン焼き屋をやらなあかんのか」とぼやくチエちゃんに近い感じがする。ホルモン焼き屋をやりたいわけじゃないけれど、やったらやったで楽しい感じ。というわけで、「わしは日本一不幸なコピーライターや」とつぶやきつつ割と仕事を楽しんでいるおっさんがここにおります。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。現在はコピーライターと大阪ビジュアルアーツ専門学校の講師をしています。東京と大阪を行ったり来たりする生活を楽しんでいます。
Jane
おばあの言う通りです、私も「食べたら何とかなる」と思い食べ続けましたが、ストレス太りしてどうしましょう…。
新学期の始まりは子どもじゃなくても先生でもつらいですね。いくら好きな部分があるからやっていると言っても。やり始めればやれるんですけどね。
uematsu Post author
Janeさん
そうなんです。
やり始めたらやるんですが、やり始めがなかなか辛いんです(笑)