種まきうまくできたかな?
猛暑の続いた日々が終わったかと思うと、大きな台風が何度も襲来し、今度は曇りや雨の日が続き、いったいぜんたい秋らしい秋はどこへ行ってしまったやらと思っていましたが、ようやく昨日・今日(10月21日・22日)とここ・横浜には青空が広がってくれています。そんな気持ちの良いお天気の中、とあるご縁で小4のかわいく元気な子どもたちに囲まれてきました。
半年ほど前の夜、思わぬ方からお電話をいただきました。今から遡ること10年ほど前、職場でお世話になった、元中学の英語の先生です。ご一緒させていただいていた期間は2・3年でしたがその後も年賀状やメールで細く繋がってはいたもののよくぞ覚えていてくださったという感じです。
「実は私が最後に受け持ったクラスの一人が小学校の教師になっていて、あなたの職場の近くの学校に赴任しました。よかったら今度一緒にお話しをしていただけないかしら?」というようなお誘いのお電話でした。
私で何かお役に立つのかしらと思いつつお会いしてみると、4年生の総合の時間に福祉の勉強に取り組んでみたいとのこと。それも、よくある、障害のある方にきていただいて困っていることや生活の工夫などについてお話を聞くというだけでなく、体験の中で感じたり考えたりしてほしいと考えているのですと。それはおもしろいですね、ということで話は弾み、話題はあちらこちらへと飛びました。
まずは私の今の仕事の様子に始まり、趣味の映画鑑賞や読書、それから「トークパフォーマンスグループこうばこの会」での語りの活動のことまで…。どの話も彼女にとっては新鮮だったようで興味津々で聞いてくれました。
それだけでも嬉しいことだったのですが、ほどなくして、クラスの子どもたちと一緒に朗読劇に取り組んでみることにしました。耳で聞いて想像できるように演じるという取り組みなので、いつも聞くことに注意を向けていらっしゃるであろう方、語りの活動にも取り組んでおられる方にぜひアドバイスもいただきたいと思います。そして、子どもたちと実際に会っていただく中で疑問などにも応えていただけたらということになったのです。
それから数か月。取り組むお話を選び、練習を重ねて、今日はその途中経過を聞かせてくれるということで学校をお訪ねしました。練習の成果でとてもすらすら間違えることもなく朗読している子供たち。声の大きさや速さ、役になりきれているかどうか聞いてみてくださいということだったので、ナレーターの人はお話を進めていく大切な役割だからもっとゆっくり、聞いている人が様子を思い浮かべられるように、聞き取りやすい発音でいいましょう、などとちょっと偉そうに?アドバイスをしました。
子どもたちからは「見えないと顔の様子(表情?)も分からないと思うんですけれど笑っていることとかは伝わりますか?」などと聞かれて、なかなか鋭い質問だなと感心。「声の感じでだいたいのことは伝わるよ。だから、気持ちを込めて読んだら聞いている人も楽しめると思います」と答えました。
一緒に給食もいただくことになっていて、私がどの班の子たちと一緒に食べるかでまた大騒ぎ。先生の発案により、私とジャンケンをして最後まで勝ち続けた人がいる班で食べることになったのですが、このジャンケンタイムの最後には見えない人が二人でジャンケンするにはどうしたらいいかな?という問題を出してみました。するとすぐに「声で言えばいい」「触ってみたらいい」などの正解が口々に出てきました。さすがです!そして、いざ食べるときになったら、ちゃんと今日の献立やおかずの場所も教えてくれたりしました。
取り組んでいることが朗読劇で、大道具や小道具などのビジュアルには頼らないものであって、たまたま見えない私が、朗読にも取り組んでいて、アドバイスにきて、そしたら聞いてみたいことが出てきて、なるほどと思うこともあって…。そんな経験が子供たちの心の中に残ってくれたら種まき成功かなと思うのでした。