日本語って奥深い
先月から今月にかけてはめったに遭遇することのない10連休でしたが、喜んだ人は、実はそれほど多くなかったとか…。実は私も喜ばなかった方の一人です。
というか、私の職場は市民利用施設のため連休中に閉める日はなく、職員は交代で出勤しなければならず、その分の代休というものが発生することになってしまい、なんと4月半ば過ぎから1か月間ほどの間毎日常に複数の人がいないすれ違い生活。
○○さんとは4日先まで合わないからこの引き継ぎをしなければ、という案件があり過ぎて頭の中大混乱だったのでした。
と、愚痴のようなことはさて置き。今月のお話を始めます。聞き飽きた感もある表現ですが、令和最初の投稿です。
映画については何度か書いていますが、今日もその関連のお話にしようと思います。というのも、今日は朝から晩まで6時間ほどとある作品の音声ガイド検討会だったのでほやほやの話題として書いてみようと思いつきました。
映画の音声ガイドは予め録音されたものを劇場での上映にあわせて流す方法や、実況中継さながらにライブで伝える方法などいくつかのタイプがあります。どちらの場合でもガイド担当者は何度も映画を観て、監督の意図をできるだけくみ取った言葉選びをして私たちに伝えるという、大変だけれど奥深い作業をしています。
今日はその予め録音をしておく方の音声ガイドの検討会で、私はモニターの一人として参加しました。
作品によってガイドを入れる数も違ってきますが、今回の場合はアクションシーンが多いということもあって、2時間少々の中に800以上のガイドが入ります。それらの言葉が適切か、他にいい表現はないか、挿入の場所はそこでいいのか、削ってもいいものはないかなどなどを、5分から15分くらいずつに区切って検討して行きます。
私はそれらが、画面を見ない状態でも分かるかどうかのモニターをするわけですが、見えている人の立場からも意見を言ってもらうことで音声ガイドは良いものになって行きます。真剣勝負のチーム作業です。
誰それが何々をするというガイドに対し、「が」はない方がいいね。この場合は何々する誰それの方が画が浮かぶね。確かにそういう画にはなってるけど、その通りにいうと面白さが伝わらないね。この言葉を入れるだけで怖さがぜんぜん違ってくるね。まさか間違える人はいないと思うけれど同音異義語があるから紛らわしいね。…
ときにはほんの1シーンのガイドに対して、ああでもないこうでもないと紛糾したり、勘違いが判明して大笑いが巻き起こったり…。ということもあるので本当に時間のかかる作業なのです。でも、こうして検討の場に参加していると本当に日本語って奥深くて面白いものだとつくづく感じる。そして、映画が何倍にも味わえる素晴らしい時間にもなるのです。
こんな経験をしているとますます映画の世界にのめりこみ、ずぶずぶとはまった足を抜くことができなくなって、ついつい劇場に向かって行くようにもなるのでした。さてさて次はどの作品を観ようかしら。今日のお昼にIさんが話していた○○もいいけれど、帰りの電車で話題になったアニメも早く観ないと終わってしまいそう。そんなことを考える夜でありましたとさ。
匿名
日本語、表現が豊かだなあと、つくづく思います。
教えていて、学習者から「細かい」とか「複雑だ」とか「同じ意味なのに、なんでこんなに表現がいっぱいあるんだ」とか言われます。私は、表現がたくさんあるからこそ、聞くだけで(読むだけで)、登場人物の関係や気持ちがわかったり、状況が詳しくみえてきたりすると伝えたいのですが、うまく伝わりません(笑)。
しかし、この表現の細やかさが、映画の音声ガイドを支えているんですね。
いやあ、毎回勉強になります。これからもいろいろな世界を見せてください!
あずみ
し、しまった。
先ほどは名前を書くのをわすれていました。「あずみ」です。
KEIKO
あずみ様
コメントありがとうございます。
本当に日本語って同じようなのに違う表現がいくつもあって大変なんですよね。
以前に大学の留学生たちに音声ガイド作成で日本語を学ぶチャレンジというのをされてる方がいらして、発表を聞かせていただいたことがあります。
もうずいぶん前なので細かいところは忘れてしまいましたが、言葉の表現だけではなく、例えば、日本人なら春と言えば桜とか、夕暮れにはなんとなくお寺の鐘の音などというところも難しいみたいでした。
あずみ
なるほどー、夕暮れとお寺の鐘の音。日本独特の風景ですよねえ。
しかも世代が関係しますかね?
言葉って、やっぱり文化なんですね。季節とか、温度とか空気の感覚とか、きっといろんなことが言葉と関係してるんでしょうね〜。