ネイチャープログラム
今年は卯年、年明けにはウサギを特集した番組がありました。
録画しましたが、もったいないのでまだ観ていません。
こういった自然番組はだいたい動物の恋と結婚と出産と子育てで構成されていて、とくに親が一生懸命子供にエサを調達してくるシーンは長めです。ところがウサギの番組には、ウサギが敵から狙われ逃げ回るシーンが必ずあるのです。
まあ、それはウサギの真実で食物連鎖的には下位の動物で、あの『ウオーターシップダウンのうさぎたち』でもうさぎには千の敵がいると書かれていたりするのです。
狐やイタチ、フクロウや鷹、犬、猫・・(下僕以外の人間も)。彼らにはウサギを見つけたら追いかけて仕留めたくなる本能が授けられている と。
ウサギは長い耳をくるくるさせ、丸い目を見開いて敵を察知し、逃げるのです。心臓は極度にドキドキし全身に警報が鳴っているのです。
ウサギが主人公の番組だからといって安心できません。
ウサギが逃げおおせるか、千の敵が空腹を満たすのか今までの印象だと五分五分なのです。
カメラマンはあれだけ長く追いかけっこのシーンを撮っているのだから、どうにかウサギを助けてやってはくれまいか。野生の掟はそのままにすべきというが、人間は自然にじゅうぶん手を加えているではないか、この一期一会、ウサギを助け、狐には稲荷ずしでも食べさせてそれで手打ちにしてくれまいかと思ってしまうのです。
マタギ系の番組もつらいです。深山に分け入っていく山人達は実はわりと好きなテーマですが、やっぱりウサギは狩られてしまう。
山でとれる貴重な栄養ということはわかっています。
でも、タカや鷲の羽音に似せた音を出す藁でできた狩道具を投げて、おびえてパニックになったウサギを追いかける手法はつらい・・・。
一度下僕がブラッシングの手間を惜しんで、コロコロクリーナーをびーっと伸ばして切って、ちょいちょいとうさぎ本体の抜け毛をとっていたところ、嫌がったうさぎが接着紙を背中に着けたまま逃げてしまったことがあります。
うさぎは何者かに追われていると思い、ものすごいパニックに陥りました。走っても走っても紙はついてきます。どこかに激突しそうな勢いで、部屋中駆け回りました。目を大きく見開いて口も開けて、それは自然番組でみる獲物として狙われているウサギの表情でした。
ここで下僕まで追いかけてしまうわけにはいきません。あまりのパニックぶりに下僕も血の気が引いていますが、紙をとるという一点に集中したところ、そばを駆け抜けたうさぎについた紙だけをさっととることができたのです!
そしてうさぎは自分の小屋に駆け込んで、落ち着きを取り戻しました。
怪我しなくてよかった、落ち着いて良かった。
こんなにもパニックになるのだなあ、怖い目に遭わせて申し訳ないことをした、と反省しました。
そしてますます自然番組の狩りシーンを観るのがつらくなったのです。
ウサギに限らずつらくなってきたかも・・。
でも狩る側にたてば、頑張れ!と思うわけだから仕方ないですね。食べ物がなくて痩せた動物をみるのもつらい。
そして、自然番組の撮影は本当に大変ということもわかります。
昔、薄い芽吹きの東北の山のなかで二匹のテンが文字通りいたちごっこしているのをみたことがあります。何回も行ったことがあってもたった一度、それも数秒しか出会わなかった光景です。
そう思えば仕方ない。
苦労して作られたウサギ番組を相応の覚悟をして観ることにいたします。