うさぎの予防手術-1
雌ウサギは3才を過ぎると子宮などの病気になる確率が高くなります。
10年以上前の『うさぎと暮らす』にも特集が組まれており、うっすら知ってはいました。うさぎのお店の担当者も女の子ウサギはそれが心配ではありますと説明してくれました。
今いるうさぎは家に来たときにすでに2才を過ぎていたのであまり時間的余裕がありませんでした。疾病の確率も上がるし、手術の危険も年齢とともに上がるからです。このことは軽く夫にも話してありました。
下僕の頭の中にはウサギ一般の心配事のほかに「きちんと決めないといけないなあ」という薄雲がいつもかかっていました。
きょとんとした可愛い顔をみながら「健康な体に手術をするのは本能的に嫌だしもしかしたらずっと病気知らずかもしれない、手術でもしものことがあったら決めた自分に納得できるか、でも逆に病気になってしまったときにも納得できるか」とぐるぐる考えることもありました。
そんなこんなで1年以上グズグズ考えていたところに、大怪我をさせてしまったのです。私はこんな目に遭わせてしまってもう手術はかわいそうだ、症状を注意深くみて症状が出たら相談しようというほうに大きく傾きました。家族にも「もう、いいよね」と一方的に言っていました。
しかし大怪我についての最後の診察時に担当医が「怪我についてはもう良いでしょう。でもうさちゃんはもう4才になりますね、予防手術どうしましょう」と言いました。「長生きしているウサギは雄か、手術をした雌が多いです」とも。
家でこのことを話すと夫は「予防手術やってもいいんじゃないの」と言いましたが、私は「まめに定期検査につれていくから、いいよね」とまたまた一方的に言いました。
いいよねといいながらも頭の中の薄雲はやや厚くなりました。
それから2ヶ月くらいした頃、夫がうさぎを眺めながら「予防の手術はやらなくて平気なのかなあ」とぽつんと言いました。
(あ、二度言った。ずっと気にかけていたんだ。私みたいに心配ばかりしないでこんなふうに素直に現代医療とうさぎの体力を信用するのも大事かもな)と気づき、3度目の「もういいよ」は言わないことにしました。
そして決心して手術の申し込みに行き、あっさりと日取りが決まりました。
下僕は私だけれど、夫もいれて一群れ、仲間だもん。うさぎはちゃんとみんなが揃うと満足げにするのに、私ばかり「うさぎと私」でしか考えていなかったと これまたうさぎに学んだのでした。
うさぎだって心配の圧をかけられたら縋られているようでうんざりすることでしょう。