うさぎの予防手術-2
雌ウサギは3才を過ぎると高確率で子宮などの病気になります。4才で6割、6才で8割が罹患していると聞きました。うちのうさぎは5才、悩みに悩んで予防手術を受けさせることにしました。
通っている動物病院は大勢のエキゾチックアニマルを診療していて、ウサギはめずらしくありません。手術も皆がきれいな流れ作業としてこなしている雰囲気です。こういう流れにはひょいと乗ってしまうのがよく、ちょうどよい日取りもとれました。
午前中のうちに入院させ、手術は午後、術後24時間で退院のスケジュールです。自宅での投薬はなく抜糸も不要で、順調なら一週間後に診察に行けばよいのです。あちこちの下僕や獣医師が予防手術についてあげた動画をいくつかみてみましたが、シンプルなスケジュールのほうだと思います。
動画のなかで通える範囲にウサギ診療と手術に慣れている動物病院があるのなら手術をお勧めするというアドバイスがあり、下僕は少しほっとします。また、うさフェスタ(下僕とウサギのための集まり。春と秋に横浜で開催され、オンライン視聴できるお勉強コーナーもあるのです)でも予防手術について詳しく説明されていて、またまた下僕の不安は少し減ります。
さて当日、下僕は頭痛がおきてしまいました。胃のあたりもひどく痞える。こんなことは初めてで「何かある日に調子を崩すってこういうことかー」とがっくりします。それでも、食べ慣れているドライフードと牧草をお弁当のように持ち、通院用のキャリーにうさぎを入れてタクシーで病院に連れて行きました。「よろしくお願いします」と預けた帰り道で体調が元通りになっているのに気づき「気をもむことがこんなに体に出るのか。気力が減ったんだなあ」などと考えながら電車で自宅に戻りました。
その日手術は3件あったらしく、夕方遅く主治医から「無事終わりました」と電話があり、面会に行くとうさぎはまったくの無表情でした。
怒るわけでも喜ぶわけでもなく少し顎をひいてじっとしていました。
そしてスケジュールどおり翌日夕方退院しました。食欲はその日と次の日は相当落ちたのですが、主治医から「牧草を一本でも食べていたら大丈夫です」と念を押されていたので、「数本は食べたぞ」と自分に言い聞かせて過ごしました。手術後3日目からは半日単位で元気になっていきましたが、下僕への不信感からか(または体内ホルモン環境の乱れからか?)一ヶ月くらい無表情でした。
ぷうぷうとおしゃべりだったのもしずかになりました。
そして、一年中換毛するようになりました。常にだらだら抜けていて、換毛期はものすごい。毛まみれです。これは疲れるだろうなと思います。
さて、手術でとった臓器にはたくさん病変があり、一部は放っておくと進行するものでした。ひどくなる前に取り除くことができたので、手術に踏み切ったかいがあったのでした。
手術翌日の夕方に迎えに行った帰りの車で、手術は予定通り終わり、うさぎはキャリーの中でぐったり伸びているけれど温かく生きていて、外は新緑で車は渋滞もなくすいすい走っていて、こういうのを幸せと言わずになにが幸せか とまで思ったのでした。
手術に踏み切らせてくれた夫には感謝しています。ところが寂しいオチがあり、手術前べったりだった夫にうさぎは興味を失ってしまったのです。ナデコや抱っこでうさぎがうっとりモードになるのを私に自慢げに披露していた夫は「あんなになついていたのにー」と悲しげです。