待つ動物
川の浅瀬で首と脚が長い大きな鳥が水面を見つめています。
調べたらアオサギみたいです。気配は消しながらものすごく集中している。アオサギから少し離れたところで魚がちゃぽんちゃぽん跳ねていても気をそらしません。自分の届く範囲を静かな構えで見つめているのです。頭は魚でいっぱいだろうけど、全然イライラして見えない。
魚を捕まえるのは見届けられませんでしたがその静かな佇まいは記憶に残りました。ゆるがないアオサギ。
そして、似たような佇まいをうちでも感じることがあるのです。
それはうちのうさぎです。
冬至が近づくにつれ、下僕の朝も遅くなっています。少し前まではうさぎは下僕のベッドのそばに足音を立てて走って来て、下僕をじーっと見ておりました。下僕はうさぎの目力を感じて目が覚めていたのですが(起きてうさぎと目が合うなんて最高!)最近は薄暗くて覚めにくい。うさぎは目力を断念したらしくケージの入り口付近で座って待つようになりました。そこは下僕がドライフードをエサいれにいれる作業のために座る場所なので、ぜったいにハズさないポイントです。
そのポイントでなかなか始まらない一日を静かに待っている。アオサギよりもっと静か。虎視眈々の雰囲気が全くありません。拗ねている雰囲気もありません。
それと対照的に、おやつがほしい時はやや積極的で下僕の前まで走ってきて自分の部屋のほうに戻りながらチロッと視線で振り返ります。
そして空のおやつ入れに頭を一度突っ込んでからこっちを見て「ないよ」というのです。
「うさちゃん、求メヨサラバ与エラレン だね」などと言いながらちょっとだけおやつを出してやると頭をぶんぶん振って喜びます。かわいい。
おやつを食べてしまってすぐ、初めからなかったかのような顔をして空のおやつ入れの隣で待ち始めることもありますが、これにはひっかかりませんよ。
ちょっとウサギと関係ありませんが
用事で東京駅を通りました。
昔は東京駅周辺や銀座などに行くと「生きてて良かった~!明日からまた頑張ろ!」と元気になっていました。
うさぎで元気になるのとはちょっと違うタイプの明るい気持ち。
今だって、大きく「東京駅」と書かれた下を大勢が行き交う様子をみれば沈んだ気持ちにはなりませんが、ここ数年で同年代の親しい人が何人もいなくなってしまったため、生きてて良かったと思うより、私はどうしてか生きているんだなあとぼんやり考える感じになりました。
大きくのびをしかけて伸びきらず元にもどってしまうような。
ぼんやりしたまま帰宅するとうさぎが静かに待っていましたよ。