ブラジルから届く音
リオ五輪は熱かった!早朝起きてテレビをつけると、日本勢のメダル獲得ニュースがわんさ!さらに、生番組中も続々と速報が入ってくる。スポーツに疎い私は大変!卓球って何セットまであるんだっけ?ラグビー7人制ってどんなの?テコンドーのルール?さっぱりワカラナイ!
・・・とはいいつつも、ブラジルは以前からとても興味のある国。この一カ月、ちゃっかりブラジルモードで仕事をした。一押し音楽コーナーでは、得意のブラジル音楽を選曲。ブラジルの歌手でギタリスト、ジョルジ・ベンによる「マシュ・ケ・ナダ」をご紹介。(後にセルジオ・メンデスがカバーして世界的ヒットとなりました)
電話インタビューコーナーでは、隣県のサンバダンサー(日本人女性)の方に出演していただいた。サンバ発祥の地サルバドールで修練し、日本でサンバを広めようと、教室を主宰されている。教えるのは、リオのカーニバルのような激しい踊りではなく、生活に根ざした‘ルーツサンバ’。ゆったりとしたリズムでステップを踏み、腰を振る。生徒さんは初心者や年配者も多いそうで、健康によく、ウェストがくびれ、女性らしい体型になるという。お話を聞きながら「これなら、私にも出来るかも・・」と大変興味をそそられた。もちろん派手な衣装は必要ない。羽なし!肌の露出なし!性格的にも明るくなれそうだ。周囲には内緒で、秋からこっそり始めてみたい。
さらに電話インタビューコーナーでは、ブラジルの県人会の方にも出演をお願いした。10代で海を渡り、今日までブラジルで歩んできた70代の男性。時差12時間のため打ち合わせは深夜となり、結構ハードな仕事だったけど、その方の人生のにじむ優しい語り口に、なんとも心が癒された。そして、「いまだにポルトガル語が苦手でねえ・・」と、郷里の訛りでお話して下さったのが沁みた。
第一回移民船笠戸丸がサントス港へ向けて出港してから106年、たくさんの日本人が移り住み、ブラジル社会を支えてきた。中でも日系人が多く暮らすサンパウロには、日本全国の県人会があり、毎年7月には各県人会がブースを出展する“日本祭り“が開催されるそうだ。サンパウロで繰り広げられるお国自慢!戦後移住した一世の方々と、初期移民の子孫3世4世たちが一緒になって盛り上げるという。
地球の反対側の物語に思いを馳せながらも、お盆は完全休養!実家に帰り、父とビールを飲んだ。父はこの夏90歳になった。腰を痛めて不自由な生活ではあるが、ヘルパーさんにサポートしてもらいながら、なんとか一人暮らしを続けている。私も食事の用意やゴミ捨てなどで週に一度は実家に足を運ぶけれど、普段は仕事との両立で大忙し、ゆっくりはできない。だからこのお盆休みは、とにかく実家でリラックスして過ごそうと思っていた。
一緒にお酒を飲みながら、昔の話をしてくれた。昨日食べた食事は忘れても、若いころの記憶はいつまでも鮮明らしい。子供時代や現役時代のことを思い出すとき、自分が今90歳の老人であることが、受け入れ難く思うことがあるようだ。そうだろうなあ…、私も来年50歳を迎えるけど、振り返ればあっという間だった。きっとこの先もあっという間だろう。そして、おお!と気付いたことがある。私は歴史が苦手で、特に世界史は赤点を頂戴したこともある超苦手科目。「○○時代」とか、「紀元前○千年」とかきくと頭痛がするし、自分とは無関係の、宇宙かどこかの出来事のようにしか感じることができなかった。…でも仮に父の年齢を、10歳プラスして100歳とすると、父の人生を10回繰り返せば、1000年前!…えっとぉ、日本は平安時代。紫式部が活躍した時代かぁ(それくらいしか浮かばないけど)。では父の人生を20回繰り返すと、なんと、2000年前!キリスト誕生だ!…ということは、50回繰り返せば、紀元前3000年、メソポタミア文明だっけ?!100回繰り返せばあっという間に1万年前!(新石器時代ですって)。ではそのままずーっと繰り返すと、人類誕生だわ…。
父の生きてきた時間の長さから、時代を遡り、いろんな妄想をし、私なりに「夏休みのワクワク感」を味わった。ビールも美味しく、有意義だった。子供のころに気がついていたら、歴史研究家になっていたかもしれない。(なっているわけないけど)