第9回 最近見た映画日記 その1
い、一ヶ月以上ぶりのご無沙汰です……おげんきでしょうか。
映画を見てはいるんだけど、なかなかご紹介するものをしぼりきれず、そこにきて連休やら体調不良やらなにやらで、すっかり間があいてしまいました。
ごめんなさい!
絞りきれなくなったので、
ご無沙汰している間に見た映画日記でお届けしようと思います。
しかも、長いので2回に分けて。
あーーー、ほんといろいろごめんなさい!!
4月某日 「パレードへようこそ」
イギリス映画「パレードへようこそ」を見る。
1984年、イギリスでストライキを起こした炭鉱労働者たちと、彼らを支援したLGBTの活動家グループの交流を描いた、実話に基づくお話。人気ドラマ「シャーロック」のモリアーティー役で脚光を浴びたアンドリュー・スコットも出ています。(あのモリアーティー役はほんとにペトペトした質感でよかったもんね~。抜擢もうなずける!!)
他者を理解するというのは、口でいうのは簡単だけど、ほんとに難しい。
特に、セクシュアリティの違いは、無理解だけでなく嘲笑や蔑み、無意識のうちに忌避していたり。人の、ごく個人的な繊細な部分に結びついているところだから、その扱いにはほんとうに心を砕き続けるしかないんだけれどなあ。
4月某日 「ラスト5イヤーズ」
別れを決めた一組の夫婦。妻は別れから出会いまでを、夫は出会いから別れまでを思い出し、ふたりの記憶は一瞬だけ重なり合う……それがミュージカルとして展開されると聞いて、すっごく楽しみにしていた(予告もちょうおもしろそうだったし!)。
の、ですが。
夫婦役のふたりは、ものすごく歌がうまい。演出も悪くない。
でも、でもよ? 最初から最後まで、ず~っと歌っているのです。ああ、この感じって何年か前に大ヒットした「レ・ミゼラブル」見たときにも味わったなあ。
正直いって、飽きてしまいました……。幕の内弁当のおかずが、ぜーんぶ同じ甘じょっぱい味だったような感じ。
わたしはいろんな味のおかずを食べたいんだよ!!! この味ばっかりで飽きた!!
歌って、すごくエモーショナルな効果を生む道具だと思うんだけど、全編それだとダレちゃうよ~。あーあ、ここだ! っていう時にバーンと歌って、泣かせてほしかったなあ。
妻役を演じたアナ・ケンドリックは、このあと日本でも公開される「ピッチ・パーフェクト」でも歌声を披露しているらしく、こちらはとてもよい前評判をよく聞くので、そちらを楽しみにしておこうっと。
4月某日 「群盗」
ひさびさの韓国映画。しかもハ・ジョンウ主演作ということで、朝イチの回にいそいそと。いや~、面白かった!
子供の頃にテレビで見ていた痛快娯楽時代劇が、ものすごくお金をかけてブラッシュアップされてきた感じ。
「必殺!」シリーズの、痛快なんだけど陰をまとった雰囲気もあったりとたまらないものがありました。
父に認められることだけを望み、そのために圧制を行う武官と、苦しむ民衆を解放しようと戦う盗賊団の間で戦いが起こるのですが、武官役のカン・ドンウォンがよかったー。背も高く、手足が長いので、殺陣がまるで踊っているように美しく見えるのですねー。いいのものを見ました。ウフフ。
盗賊団の紅一点、弓の達人マヒャンを演じるユン・ジヘもすてきでニコニコ。添え物じゃないし、きっちり活躍するし、こういう映画に出てくる紅一点にありがちな「男のドリーム感」も背負ってないし、いや~よかったなあ。何よりつおいんですよマヒャン姐さん。最高。
やっぱりねー、韓国映画おもしろいです。豊かな水脈がこれでもかっていうくらいある。今後も楽しみです。
5月某日 「セッション」
海外では一足先に公開しており、飛行機の中で見た!面白かった!という前評判も聞いていた本作、楽しみにしておりました。最初、行こうとした回がまさかの満席(連休中で、席数が少なめのスクリーンだったということをさしひいても、びっくり!)、映画好きだけでなく、評判を聞いた人たちがたくさん詰めかけているようで。
あーん、緊張した! すごくいやな汗をいっぱいかいた!!
打たれ弱いのと「オレが白といえば白だ!」的な体育会系強制感が大っきらいなので、見ている間はずーっとおなかが痛かったです……。
それと同時に、主人公アンドリューの「オレはこれでやったるで!」という強い気持ちと、その裏にある強烈な焦燥感やコンプレックスに、また違う意味で胃がキリキリしたり。アンドリューの、あの実家に親戚一同が集うシーンのいやな感じ、地方出身者にはたまらないものがありました。
文句なくおもしろい映画ではあるんですが、二度は見たくないな~。
5月某日 「私の少女」
寂れた地方都市に左遷されたエリート女性警察官をペ・ドゥナが、義父や祖母から虐待を受ける少女をキム・セロンが演じているこの映画。
もう、それだけで見にいかなくてはリスト入りは決定! 韓国映画をあまり見ない人にわかりやすく言うならば、大竹しのぶがふたり出ているようなものです。
見終わって、あれを希望と呼んでいいのか、それとも絶望の闇に囚われたままなのか、よくわからないままフラフラと映画館を出てきました…。
前々すっきりした結末ではないけれど、過酷な環境の中で、生き残るための知恵を身につけてしまった少女と、彼女に関わってしまった女性警察官の物語の着地としては、たぶんこれがせいいっぱいの誠実さと光を示したものなんじゃないかと。
とくに、女性は見ていて痛みや苦しさを伴う映画かもしれませんが、おすすめです。
小関さんの詳細なプロフィールやお仕事はこちら→kittari-hattari
はしーば
前回のオススメで、イミテーション・ゲームを観て、サイコーに面白かったんです!
今回も私にとって、後半3つはストライクゾーン的な作品。
しかも、2回に分かれてるんですね。
あー、来週も気になります。
まだ、上映してて欲しい〜。
小関祥子 Post author
>はしーばさん
コメント、ありがとうございます!
お~、「イミテーション・ゲーム」ごらんになったのですね。
しかも、楽しんでいただけたようで。ウフフ、うれしいです。
練られた脚本、すばらしい演技、抑えた演出がそろった
映画ならではの美しいアンサンブルを味わえる作品でしたもんねー。
今回ご紹介している「セッション」「群盗」「私の少女」も、
タイプはまったくちがう映画ですがどれもよかったです。
まだ上映期間中だとよいのですが、機会があれば
ぜひごらんになってくださいませ~