10月24日はカレー記念日

カレー記念日

欲が減り  近づく気がする 仙人に

10月24日はカレー記念日

爽子

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カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

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あの頃、アーカイブ

エピソード12★運転手さんがくれた卵。

さてさて、聞いた話を形に残すことを仕事にしている「有限会社シリトリア」(→)。
普通の人の、普通だけど、みんなに知ってほしいエピソードをご紹介していきます。

【エピソード 12】

「物価の優等生」と言われる卵。60年間、価格がほぼ横ばい。それだけ昔は高級食材だったということですね。まもなく還暦を迎えるトモコさんにも高級品だった頃の卵で思い出す、幼い頃のこんなエピソードがありました。

もう50年以上昔の話。時代はNHK朝ドラ『ひよっこ』より少し前になります。
トモコさんの通っていた幼稚園は、自宅から少し離れたところにありました。
当時は幼稚園バスなんて気の利いたものはありませんから、
路線バスを使って通園していました。
家の近くの停留所でお母さんに乗せてもらい、
幼稚園前の停留所で降りると園の先生が迎えてきてくれました。


昭和40年代のバスと幼稚園児たち(しもさかべ幼稚園HPより)

その日は雨が降っていました。
天気が悪い日は、おうちの人が幼稚園まできて
子どもを引き取ることになっていました。
お友達とお母さんたち、みんな一緒にバスに乗り込み、
いつものようにトモコさんはお友達と一番後ろの席に座りました。

少し後から、レインシューズ姿のお母さんがバスのステップを上がり、
トモコさんたちのいる座席に向かって歩き始めた、その瞬間でした。

いきなりお母さんが倒れたのです。
本当にいきなり、バタン!と、
バスの中ほどでお母さんはうつ伏せになってしまいました。
立ち上がって座席に腰掛けた後、
お母さんが少し興奮した様子でトモコさんに囁きました。

「あそこの女の人がいきなり足を前に出したの」

バスの中ほどの座席に座っていた女性が、
お母さんが通った瞬間、なにげなく足を動かして当たってしまった。
そんなところだったと思います。

その証拠に、トモコさんたちが降りるとき、
その女性は小さく頭を下げてすまなさそうな顔をしていましたから。

というわけで、トモコさんのお母さんが転んだのは、

急発進などが原因ではないことは明らかでした。
ところが、転んだ後、すりむいた膝の傷をハンカチで拭いているお母さんのところまで、運転手さんがわざわざやって来ました。

そして、運転のしかたが悪くて…とお詫びを言って、白い紙を差し出しました。
後で思えば、それはトモコさん宅の連絡先を書くための紙だったようです。
「いいえ、運転手さんのせいではありません」とお母さんは言いましたが、
運転手さんはずっと申し訳なさそうな顔をしたままでした。

数日後、トモコさんがお母さんと買い物をしての帰り道。
トモコさん一家の住む団地の踊り場に、一人の男の人が立っていました。
あの日のバスの運転手さんです。
留守だったので、帰りを待っていたそうです。


庶民の憧れだった団地(UR都市機構HPより)

怪我の様子を尋ねた後で、運転手さんは茶色の包みを差し出しました。
本当に運転手さんのせいではないのですからと固辞するお母さんに
押し付けるようにして、運転手さんが帰ったあとで開けてみると、
それは、丁寧にくるまれた20個ほどの卵でした(高級品です!)。

運転手さんの一連の態度は幼いトモコさんにも強く響くものがあったそうです。
自分のせいではないのに、温かい気遣いを見せてくれたこと、
50年以上経った今も、トモコさんは忘れることができないと言います。
あの日、階段の踊り場の運転手さんの姿と、丁寧にくるまれた卵の美しさは、
今も鮮明にトモコさんの脳裏に焼き付いているのです。

 

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コメント、ありがとー!

  • アメちゃん

    たまごって、丸い形や色合い、その小ささから
    送る側の心の素朴さというか、誠実さを感じられる気がします(うまく言葉にできないんですけど)。

    「たまご」といえば思い出すのが
    向田邦子さんの「ゆでたまご」というタイトルのエッセイと
    市川雷蔵さん主演の「破壊」という映画です。
    向田さんの「ゆでたまご」は、なんど読んでも切なくて涙が出ますねぇ。

    「破壊」では雷蔵さん扮する教師が
    死ぬまで秘密にするつもりだった出自が周りに知られてしまい、町を離れるのですが
    送りにきていた子供の親?が
    新聞紙にくるんだ卵をそっと渡すシーンがありました。
    ほんと一瞬なんですけど、私にとってはとても印象深いシーンです。

  • まゆぽ

    まゆぽ Post author

    アメちゃんさん、こんにちは。

    たまごの形、色、大きさで伝わるものがあるって賛成です!
    手触りや壊れやすさなんかも、なんだか訴えてくるものがあるし。

    いろんな方にお話を聞いていると、
    たまごにまつわるエピソードが出てくる頻度が高いのですが、
    アメちゃんさん分析で、腑に落ちました。なるほどですね〜。

    向田邦子さんの「ゆでたまご」沁みますよねっ。

    埼玉のわたしの実家の方は「うでたまご」って言うんですが
    「うだるような暑さ」の「うで」なのかなあ。

    「破壊」のたまごシーンは初めて知りました。
    あの藤村の「破壊」なんですね。
    図書館でDVDを探します。

  • 鈴木さん

    ごめんなさい、どうしようか迷ったけど、書いちゃいます。破壊、じゃなくて破戒です。
    こわすのではなく、戒めを破ることです。これがテーマだから直した方が良いと思って。

  • まゆぽ

    まゆぽ Post author

    鈴木さん(敬称略でごめんなさい)、
    迷ったけど教えてくださって、本当にありがとうございます。

    そうだよ、そうだよ、「戒」ですよね。
    おっしゃる通り、テーマに関わる大事な一文字です。

    一文字とか、一単語で意味が全く変わってしまう
    言葉って素敵なものですね。

    鈴木さんのおかげで、言葉への愛おしさが増しちゃった!
    繰り返しちゃいますが、ご指摘ほんとに感謝します。

  • アメちゃん

    鈴木さん!(私も敬称略で・・)ありがとうございます!!!

    コメント寄せたあと「破壊」という文字をみて、
    なぁ〜んか違うなぁ・・こんな字面じゃなかった気がするなぁと感じてたんですけど
    島崎藤村の「はかい」ね、、とふと検索して
    ハッ!としました。
    パソコンで変換されたものを、ささっと送信してました。
    こわしちゃいけませんよね。
    漢字間違いについて再コメントしようかと思いつつ、そのままにしてました。
    ありがとうございました。