4月26日はカレー記念日

カレー記念日

背中痛い 言われてのみこむ 私もよ

4月26日はカレー記念日

Jane

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カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

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50代、男のメガネは

山の仕事。その3

 

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ポインターにポイントされるの巻。

 

原生林とおぼしき山を登り、自分よりも背の高い草木が生えている原野を走り回る。そして、宝探しゲームのように、ひっそりと佇むお化けのポストのような機械を探し当てて、データを書き込む。そんな山の仕事をしていると、不思議な天候に遭遇することがよくあった。

 

さっきまで晴れていたのに、急に雨が降ってきたり。降ってきたと思ったら、また陽が差してきたり。まあ、町中でもそんな天気に遭遇しているのだと思うだけれど、土砂降りになって陽が差さなくなってしまったら、帰れなくなるかもしれない、という恐怖が僕に注意深く天気を観察さていたのかもしれない。

 

その日も、天候が激しく変わる日だった。とりあえず、雨が降ったら山の仕事は延期する。基本、一人でやる仕事だし、その週の内に、すべてのお化けのポストを回ればいいので、1日、2日、延期してもなんとかなる。

 

でも、その日は見事なくらいに晴れていて、天気予報を見ても雨の「あ」の字もなかったのだ。だから、途中でにわか雨が降ってきたときは慌てた。慌てたけれど、山の中に入っていたので、どうすることもできない。土砂降りにならなきゃいいけどなあ、と思いながら小雨の降る中、山を移動していた。

 

すると……。突風のような風が吹いて、一瞬にして雨が上がったのだった。おどろいた。というかなんだか気持ちが悪くて、ものすごく晴れているので、僕は「なにか物の怪のようなものがいるぞ」とびくびくしながら仕事を続けたのだった。

 

とても、大きな広場が山の中腹にあった。山と山をつなぐ渡り廊下のようなといったらいいのだろうか。なんとも妙な感じの広い草原が山の上り下りの中腹にあるのだった。そして、その草原のど真ん中にもお化けのポストがあった。

 

僕は急に晴れ渡った天気の中を、草原の真ん中にあるポストに向かった。そのポストは全部で50くらいあるポストの中で唯一、ポストの足が短く、しゃがまないと機械が操作できないのだった。僕は仕方なくしゃがんだ姿勢で、機械にテスターをつなぎ、数値を記録し始めた。

 

その時だ。さっきの物の怪のような気配が近づいてきた。僕は背後を気にしながら、記録をとり続ける。カサカサという草がすれる音がして、何かが近づいてくる。ふっと振り返ると、そこには大きな犬がいるのだった。スマートな、白地に黒い模様がある大型犬が、知らぬ間に僕の背後に迫っていたのだ。

 

その犬は、僕から数メートル離れたところで、じっと僕の方を見て、微動だにしない。僕は犬が大嫌いで、というよりも、犬が怖いので、恐怖のあまり声が出ない。そして、よく見ると、その犬は姿勢を低くして、右足をあげて僕の方向を指し示している。

 

よく分からない僕と犬との膠着状態が数分続いた。もしかたら、恐怖のあまりそう思っているだけで、数十秒だったのかもしれない。再び、草を掻き分ける音がして、なんと猟銃をもった男が銃を構えながらやってきた。

 

「えっ!な、な、なに?どういうこと?」

 

僕は素っ頓狂な声をあげた。僕はいまま52年ほど生きてきたけれども、素っ頓狂な声をあげたのは、後にも先にもあの時だけだ。すると、今度は猟銃を持ったおじさんが声を上げた。

 

「えっ!に、に、人間?」

 

猟銃おじさんの声に、僕はちょっと余裕を取り戻した。

 

「に、人間ですよ!」
「に、人間なのか」

 

というやり取りがあって、おじさんは猟銃を降ろし、犬に首輪をつけ、自分の側に引き寄せた。

 

そのあと、おじさんと話をしたところ、この辺りは近所では有名な狩猟場で、猟友会の人などがキジなどを狩っているらしい。しかし、よくよく見ると工事が始まってから立てられたようだが、『狩猟禁止』の立て看板もある。立て看板があるということは、猟をしていたしていたということに他ならない。そして、このおじさんはそのことを知ってか知らずか、いまだにこの辺りで猟をしていた、ということなのだろう。

 

途中から、事情を察したおじさんが平謝りだったので、僕も「もういいや、助かったんだし」と許してあげたのだけれど、それにしても、犬が僕を前脚で指し示していたポーズが気になっていたので、そのことを聞いてみた。

 

すると、おじさん曰く。この犬はポインターという猟犬で、獲物を見つけると、吠えもせず、足音もさせないように近づいていって、ある一定の距離のところでピタリと停まり、前脚で獲物の位置をポイントするのだそうだ。

 

獲物をポイントするからポインター! そうだったのか!ポイントするからポインターなのか!とその日、無事に撃ち殺されることもなく山を下りると、翌日から自分の友人みんなに「ポンターっていう犬がおるやろ?あれ、なんでポインターいうか知ってる?」と吹聴して回ったのだった。いやもう、山の仕事は恐ろしくて面白い。

 

(次回は、あわや車ごと山から転落寸前の巻)

 

 


 

植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、オフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京神楽坂で暮らしてます。

 

★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。

 


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コメント、ありがとー!

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    いまねえ

    おおお。。。ポインターってそういう由来だったんですか。。
    犬って、今は愛玩犬のようなものも、そもそもは猟にたけた特徴に作られていた、
    そんな背景が思いも寄らない犬も多いですが、
    「スマートで白地に黒い模様」という表現だけで
    その姿がすっくっと獲物を狙う凛とした絵で思い浮かぶポインター。
    その名前の由来はなるほどっ!・・と膝を打ってしまいますね。
    私も犬は駄目なので、相手がどんな小さな犬であっても
    身体が縮こまる気持ちになってしまいます、
    山中で獲物として標的を定められてしまうなんて、
    読むだけでもうもう心臓どきどき。。
    それにしても面白いです、山の仕事の次回、
    どんなどきどきがあるかしら!!

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    uematsu Post author

    いまねえさん

    山の中の仕事をしていたのは、たぶん3ヵ月ほど。
    いや、暑い夏の時期から雪の降り始めだったので、
    もしかしたら半年ほどやっていたのかもしれません。

    短い時間だったのですが、かなりいろんな体験をしましたよ。
    次回は、さらに死にそうな目にあった話です。
    お楽しみに。

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    じじょうくみこ

    植松さん、もうこのまま一生山の中にいてください(笑)
    山の仕事シリーズ、毎週水曜の更新が楽しみすぎます。

    ときどきニュースで間違えて人が撃たれた、みたいな話が流れますが
    そうか、そういうことだったのか!
    とりあえず植松さんが狩られなくてホントよかったです。

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    uematsu Post author

    じじょうくみこさん
    なんかその時に、
    「あ、人ってこんな具合に、
    簡単に死ぬのかも」
    なんて思いました。

    でも、そう簡単にも死なないんですよねえ。
    山の中でいろいろ学びました。

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