2月26日はカレー記念日

カレー記念日

固まった 肩を回して 寝違える

2月26日はカレー記念日

Jane

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カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

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なんかすごい。

断水の金曜日

 金曜日、家にいると果てしなく無になっていきそうなので、スーパーにでも行こうと思った。
力をふりしぼってコートを着、全身全霊で靴を履いて、渾身の力で玄関ノブを回して家をでる。外は明るい。

 自転車を門から出して路地に出ると、表の通りにぶつかるあたり、道路を盛大に掘り返しているところだった。
ここのところ、この界隈、水道管を入れ替える工事をしている。今日は、1m以上垂直に掘ってあって、長くて深い溝ができている。

 自転車を押しながら近づくと、工事のおじさんたちが困惑した顔でこちらを見た。幅50センチほどの溝をまたがないと、通りには出られないのだが、たいていこういうとき、歩行者用に、溝にわたす板など用意してあるものではないだろうか。
しばしお互い困惑していると、警備のおじさんがやってきて、
「あっ自転車」と言った。そして、
「んーどうしよっか、そしたらさ、自転車持ち上げて道のほうまで運んじゃうね!」と言うので、あわてて「いや、自転車じゃなくてもいいんで…」と言おうとしたが、もうおじさんは私の手から自転車をひきとって、溝をまたいで向こう側に行ってしまった。
そして、私にも50センチの溝をまたいだらよいと言うのだった。えっと、ふつう、板がないか?しかし、跨ぐときに1m分の土の層がのぞけたのが面白かった。関東の土は赤茶と黒。工事のおじさんが、落ちないように手を貸してくれた。

 またすぐ戻ってくるのに、悪いなあ、しかし、くりかえしますが、板はないのか?と思いながら、ふたたび自転車をこぎだして、やにわにハッと気が付いた。

今日!断水!って、通知がきていたじゃん!

「2月12日(金曜日)13時から17時、水道管切り替え工事のため、断水します。」

 ちょっと前にお知らせがポストに入っていて、冷蔵庫にマグネットで貼っていた。休みの日だけど、午後は家にいられないなあ、久しぶりにTitleにでも行って、本を買ってお茶をのんだりしようかなあ、って思ったじゃん…。

 現在の時刻、13時半。工事は、始まったばかりである。工事のおじさんたちも、まさかこんな序盤に断水対象の奥の家からぼやぼやと人が出てくるとは思わなかったであろう。板がないはずだよ。

 あーあ、どうしてこういうことが、ちゃんとおぼえていられないのかなあ。
日にちや時間や、ちょっとしたおつかいごとを、いつも次々忘れてしまう。

 気付いてしまったら、スーパーでちょこっと買い物をしてすぐ戻るということができなくなった。でも、着てるものよれよれだし、「無」だしで、電車に乗ってどこかに出かけることはできそうにない。とりあえず、駅前まで自転車を走らせよう。

 駅前の商業ビルの地下に、大型の書店チェーンが入っていて、そこの品揃えがいつも面白いので気に入っている。特に、人文系ノンフィクションの充実ぶりには驚くばかりで、小説やエッセイの平積み棚より、よほど目立つところにババンと設置してある(パネルもでかい)。取次を通さないような小さな出版社の特設などもあり、この小さな町でこうした本を買う人がどのくらいいるのかわからないが、とても気骨のある本の売り方をしていると思う。
 同ビルの地上階には、世界文学史上に輝く名作の、妄執と憧憬と蛮勇に彩られた主人公の名を冠する大型店舗や、100円ショップ、電気屋等が入っており、また、基本的には文庫、マンガ、雑誌、実用書などをそなえた総合型書店であることから、よれよれでも、電車に乗らずとも、気兼ねなく行けるところがありがたい。

 よれよれのまま、エスカレーターをくだり、店内をうろうろした。
気兼ねなく、と書いたが、ほんとうは、本屋に来るのはひさしぶりだった。来ない間に、知らない本がたくさん出版されていて、どこを見たらいいのかわからず目が泳いでしまう。知っている本を見つけると、しばし足がついたような気持ちで、周りを見渡す余裕ができる。

 読んだ本や、知った書き手や、どこかで聞いて面白そうだなと思っていた本、日常で感じているさまざまなこと、そんな既知のものがフックとなって、そのまわりの「まだ見ぬ何か」を、ひっかけて見せてくれているんだな、と思った。地引き網みたいに、知ってることに新しいことがくっついてくるのだ。

 新しい本や、知識に出会うことは、本屋に行く醍醐味のひとつだけれど、見るものすべてが未知、という場所で、さあ、好きに選んで、と言われて、新しいことに出会えるかというと、じつはけっこう胆力がいるしむずかしい。そのとき寄りどころとなる「知ってるもの」が、どのくらいあると安心するのかは、人によってずいぶん違う。わたしは、けっこうそれが必要なほうかもしれない。

 そして、この膨大な本の海のなかで、その人がどんなフックを持っているかで、目にとまる本は全然違うのだろう。同じ空間にいて、みんなまったく違う景色を見ているとしたら、人間っておもしろいけど少しこわい感じがする。他の人の視界の中では、どんな本が光をはなって見えるのか、のぞいてみたい。

 今日は、もともと気になっていた『大阪』(岸政彦・柴崎友香/著)(これは、エスカレーター下りてすぐにミニ特設コーナーが設けてあった。見透かされている。こわい。)、「東京人」の最新号(階段特集)、それと、前に1巻だけ買って放置していたマンガ『違国日記』(ヤマシタトモコ/著)の2巻を、ふと思い出して買う。
今日は「無」なので、新しいものは入らない。いかにもなものばかり。

 ビルを出て裏手にあるDコーヒーショップに行く。ミラノサンドC、カフェオレ。ワンフロアのみの店内は、まあまあ混んでいて、8割がたはおじいさんだ。クロスワードをやったり、新聞を読んだり、図書館にいるおじいさんと同じである。

 お店の人は、30代後半くらいの店長と、若いアルバイト(多分)の男の人2人。おじいさんたちは、気が向くと2人としゃべる。完成したクロスワードを見せて、「頭いっすね」と言ってもらったり、コーヒーカップにお湯を足してもらったり(いつもそうしてもらっているっぽかった)、「この店は女の子がいなくなって殺風景になった」などとぼやいたりしていた。店長は、そういうおしゃべりが嫌いじゃなさそうだった。

 4時を過ぎると、店内はすいてきて、長居していて悪いので、カボチャタルトと紅茶もたのんだ。本屋で会計のときにもらってきた冊子と、『大阪』の最初の数章を読む。大阪には、数年前にはじめて行った。

 おじいさんたちが帰ってしまうと、店長はアルバイトの子にたまに嫌味をいったりして、少しいじわるになった。アルバイトの子は、慣れたものだった。

by はらぷ

※「なんかすごい。」は、毎月第3木曜の更新です。

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コメント、ありがとー!

  • Jane

    最初の段落、まるで今の私のようでした。

    なのに本屋と喫茶店のくだりを読んでいたら、「これ現代の話ですか?」ってくらい、レトロな感じがしました。
    ふらふらさまよって手に取って本を見ることのできる、品ぞろえの豊富な大型書店。コロナ禍でもそこそこ混んでて、本読んで長居して飲食できる喫茶店。贅沢な空間と、ゆったりとした時間の流れと、そこにいる人たちのゆるーい一体感。

    ほんのいっとき、水晶の映し出す虹の中の別世界を垣間見たような気がしました。たぶん、そちら側からみたら、こちらが別世界なのでしょうが。

  • はらぷ

    はらぷ Post author

    Janeさん

    こんばんは。
    春のせいか、コロナの不穏さのせいか、なんだか気持ちがふわふわ落ち着かない日々です(花粉症か?!)

    そうですね、こちらはまだ緊急事態宣言下というのに、なんだか世間はのんきで、去年の4月頃の感じと違って、うっかり油断するとなぜか「昼ならふだんどおりでいい」みたいな感覚におちいってしまいます。
    それは、手探りだった去年と比べて、有効な対策がある程度わかってきたからなのか、ただ慣れてしまっただけなのか、気をつけろと言いつつ何かと状況を過小に報道したがる政府にまるめこまれているせいなのか…。
    比較的感染者の多くない東京都下という場所柄もあるのかもしれませんが。
    家から徒歩圏内に、こうした人間くさい場所があるというのは、ありがたいことだなあと思いつつ、この10年ほどで、そうした場所がすべてチェーンや大型資本の店に入れ替わったなあ、としみじみ感じいっています。
    Janeさんの周囲は、今どんな景色でしょうか。

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