「昭和ですよ」
最近、甘酒にハマっている。麹の香りと舌触りがたまらない。夜は日本酒を加えて冷で、朝はレンジで温めていただく。特に朝早い仕事の日は、この一杯が体に効く。
真っ暗なうちに家を出る。凍っている車のフロント硝子にお湯をシャバシャバかけて、住宅街の小路をゆっくり運転する。
日の出前にもかかわらず、通りでは散歩をしている人をよく見かける。もくもくと1人でウォーキングする女性や、仲よさそうに歩く御夫婦、ゴミ出しをする奥さん(決まってすっぴん)。そして、ここ数ヶ月、よく遭遇するのが、ちびっ子軍団!小学生の男女10人くらいが、楽しそうにスキップしたり、歩いたり、走ったりしているのだ。町内の仲良しグループかな?スポーツクラブの朝練かな?窓を開けて「おはよう!」って声をかけたら、「おはようございます~!」の大合唱。かわいい!嬉しい!ちびっ子軍団のおかげで心が元気になる。
さあそんな日々、リスナーさんから寄せられるリクエスト曲も、季節感いっぱいだ。レミオロメン「粉雪」、ユニコーン「雪が降る街」、松任谷由実「サーフ&スノー」、アダモ「雪が降る」・・・。
受験生への応援歌も寄せられる。ファンキー・モンキー・ベイビーズ「あとひとつ」、北乃キイ「サクラサク」、ザード「負けないで」・・・。
センター試験の日には、高石ともやの「受験生ブルース」をかけた。これは渋かった。リリースは1968年、「♪お~いで皆さん聞いとくれ ボク~は悲しい受験生っ♪」で始まるペーソスいっぱいのフォークソングだ。聴いているうちに、なんだか自分の受験を思い出してしまって(この曲ほど古くはないけど)落ち着かない気持ちになった。ボンクラ化した高校生活がよみがえって、ちょっとせつない。
その気持ちをごまかそうと、スタッフに話しかけた。「ねーねー、今年のセンター試験ってさあ~」と言おうとして、「今年の共通一次ってさあ」と言ってしまった。「きょ、共通一次じゃなかったね、ガハハ・・」と笑ってごまかすしかなかった。せつなさ全開であった。
そういえば私、最近この手の間違いが多い。なんでも自分に引き寄せて言葉を選ぶというか、頭の中が青春時代に戻るというか。
例えば、俳優のジュード・ロウのことを、ロブ・ロウと言ってしまう。ロウときけば、ロブである。マシュー・マコノヒーのことを、マシュー・ブロデリックと言ってしまう。マシューとくれば、ブロデリックしかない。「それ誰ですか?」という冷ややかな反応でハッとする。
私の母は、中学生が自転車通学でかぶるヘルメットのことを、鉄兜と言っていた。「鉄兜かぶった子どもたちがね、今日、川沿いを自転車でね…」というふうに。当時は「鉄兜~?!?」とツッコミを入れていたが、私もあと10年くらいしたら、ヘルメットより鉄兜の方がしっくりくるようになるのかも。
平成の元号もあと数年でかわるというのに、私の頭の中は永遠に昭和である。