第66回 機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島
「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」を見た。公開初日午後一番の上映回だったが、いつもの観客層とは違う気がする…。仕事を抜けてきた風な半袖ワイシャツとスラックス姿や気合の入った漫画Tシャツ姿…。ひょっとして皆さん、古参ファンですか?
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本作はファーストガンダムの15話を膨らませたストーリーだ。「帰らずの島」を調査せよとの命令を受け、アムロ・レイの属するホワイトベース隊がその島を訪れる。そこには何故か畑があり子どもたちがいた。実はジオン軍の脱走兵ククルス・ドアンが戦災孤児の面倒を見ているのだった…。強いて分類するなら戦時下のヒューマンドラマ。ストーリーは難しくないが問いかけるものは深い。こういうお話は見ていて、落ち着く。
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ファーストガンダム15話は外部スタジオの手を借りて作られたという。当時のククルス・ドアンは安彦氏の手によるものではない。ドアンは今回の映画で初めて安彦氏によってデザインされた。輪郭線や上三白眼の目線さらには僧帽筋が、いかにも安彦さんのキャラクターだ。
ドアンの元同僚であるジオン軍のパイロットたちや20人の新しい子どもたちは、総作画監督の田村篤氏がキャラクターデザインを担当した。まあ、その馴染みの良いこと!安彦さんのデザインだと言われても疑わないだろう。田村氏はジブリ出身のアニメーターだが、昔から熱烈なガンダムファンだという。
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「THE ORIGIN」とはメカのCGが違う…と思ったら、なんとYAMATO WORKSが担当!(その昔ヤマトワークスの「KAKURENBO」が好きすぎて周囲の人たちに勧めまくっていた。カップヌードルのアニメCM「FREEDOM」を作った会社です。)
今どきの彩色では質感をたっぷり盛り込んでいるが(本作ではあえて?)昔の手描き風の背景が見られる。そのちょっと懐かしい背景にここまで違和感なく立つ3DCGのメカがあっただろうか。そして、ここまでキレッキレに動くごついロボットメカがあっただろうか。地球での地上戦を描いているので、自由に動ける宇宙とは勝手が違うのだろう。これは剣戟だ。
本作では20人の子供たちが食卓につくシーンや、夢のシーンなどアニメーションの見どころが多く、「ここが好き!」と書きたいけれど、ネタバレになってしまうのでやめときます。
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安彦良和の画についてはここで何度か書いている。静止しているのに動いている、動いているのに決めポーズをとっているように見える不思議な生きた画。メカまでも筆で描かれており、モビルスーツも甲冑を着た人物のように生き生きと見える。
私は安彦良和氏の漫画「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」由来のガンダムファンで、テレビシリーズのファーストガンダムを知らない。なので、俺のガンダムはこれじゃないともこれぞガンダムとも言わない。ただ見た後に、安彦氏の絵が動いていたなぁ…と感動したのだった。
「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」公式サイトはこちら↓
htpps://g-doan.net
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